成長する思い
13歳になり、お兄様が学園を卒業し屋敷に戻って来て、文官になった。
ゲーム通りに進んでる。
後2年で私も学園に行く。
ゲームの本編が始まってしまう。
そういえば、私ヒロインの顔覚えてないんだよね。
転生して8年も経つし、ゲームだと自分がヒロインで、自分目線でゲームが進むから、顔って中々出てこないから覚えてない。
名前も変えてたからデフォルト名なんて覚えてないよー。
でも、銀の髪なんて珍しいし、見ればわかるよね!
アル様との初接触の場所はわかるし、ヒロインを見つけ次第、関わらないようにしよう!
ふと、鏡を見る。
13歳かぁ、やっぱり日本人より大人っぽく見えるわ。
ここ最近背も伸びて150cmはある。
胸も前世の自分よりある…。
なんか複雑な気分だ。
鏡に映る自分を見続けると、疑問が浮かんでくる。
セレスティーヌってたしかもっと意地悪そうな顔してたよね?
ツリ目がちで、いかにも悪役みたいな顔だったはず。
でも今の私はツリ目じゃないし、悪役顔というわけではない。
アメジストの大きな瞳、高く筋の通った鼻に形の良い口。
自分で言うのもなんだけど、可愛くて綺麗だ。
普通に結婚する気になれば、相手に困らさそう。
まぁゲームのセレスティーヌのように自分が一番とか思ってない。
上には上がいるだろうし、ヒロインはきっと自分より可愛いはずだ。
その自分より可愛いヒロインを妬む気はない。
けど、嫉妬しない自信がない。
クリスティーヌ様がアル様とオペラに行ったというだけで嫌な気分になった。
きっと嫉妬したんだと思う。
今までの様子でアル様がクリスティーヌ様をそんなに好いてはいないとわかっているのに。
こんなんでヒロインの時大丈夫なんだろうか。
転生した最初はアル様の内側の人間に、近くに立てる人間になりたいって思ったけど、だんだんとそれだけじゃ嫌で、もっと特別になりたいって気持ちが大きくなって来た。
嫉妬に狂ったらどうしよう。
自分に自信がないよ。
令嬢としても、婚約候補者としても特別秀でているわけではない。
特別頭が良いわけでもないし、令嬢として行ってることも普通だと思う。
つまり、ヒロインに勝てるものがない。
自分に自信をつける必要がある。
自信をつけるためには今まで以上に努力しなきゃ。
私は王妃教育以外にも学習時間を取り、その他に刺繍やお花のお稽古の時間を増やした。
ピアノの練習も忘れない。
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「セレスティーヌ様!素晴らしいです、ほとんど正解ですよ」
「ありがとうございます」
外国語のテストの点数が良かった。
褒められるのは嬉しい。
マナーの授業もなんとかこなせている。
今までの淑女教育よりもさらに厳しく、式典などの注意事項や来賓に対する応対を学ぶ。
他国の来賓の場合、向こうの文化や宗教にも影響されるので、覚えなければ失礼にあたる。
そのため、授業がだんだんと厳しくなっていく。
私は疲れたので休憩の時間は庭園に行くとこにした。
クリスティーヌ様のようにアル様にアピールしに行こうかと思ったけど、最近のアル様は公務やお勉強で忙しい。
押しかけては迷惑だと思い、辞めた。
ベンチの方へ行くと誰かが寝ている。
「えっ!?アル様?」
「ん?セティーか。セティーも休みにきたのか?」
近づくとなんとアル様だった。
「えぇ。いつもは御部屋にいるのに、ここで休んでるの?」
「ああ、いつもこの時間はクリスティーヌ嬢が部屋に来て休めないから、逃げてきた!」
アル様は笑いながら言う。
「そっか。じゃあ私も邪魔しては悪いし、退散するわ」
そう言うとアル様は焦りだす。
「まっまて!邪魔じゃない。セティーは邪魔じゃないから! このまま私と話をしよう」
「アル様が良いなら、じゃあお言葉に甘えるね」
少し悩んだが、せっかくアル様に会えたのでお言葉に甘えることにする。
私達はベンチに腰掛けて話しをする。
「そういえば、クリスティーヌ嬢はよく訪ねて来るが、セティーは中々私に会いに来てくれないな。私のことが嫌いか?」
「嫌いなわけないわ!アル様が忙しいから、休憩時間くらいゆっくりしてもらいたくて、訪ねなかっただけで、嫌いじゃないわ」
私は慌てて答える。
「そうか、良かった。ただ私は傷ついた。セティーは心を許した婚約者だ。私がセティーと一緒に居て疲れるはずがないだろう」
心を許したって!
えぇー嬉しい!!
「謝罪として、1つ頼みを聞いてもらおう。全く、これからはちゃんと会いに来てくれ、私も最近セティーに会いに行けなくて寂しいんだ。」
「っ!!」
アル様!それは反則ですよ!
私は顔が赤くなった。
アル様の顔を見ると薄っすらクマが見える。
本当はお疲れなんだよね。
「私で出来ることなら、なんでもするわ」
「なんでも!?セティー!女性がなんでもするなんて、言うもんじゃない!」
アル様、自分から言っといて何を言うの?
まぁアル様になら何をされても良いけどね。
「アル様になら平気よ」
「っ!!あーもう、無自覚はこれだから。じゃあ私の望みを叶えてもらおう。後で文句を言わないように!」
アル様の顔が赤い気がする。
大丈夫かな?
やっぱり疲れてるのに無理してるのかな?
「はい、どうぞ」
わたしがそう答えると、不意に膝に重みを感じた。
「っ!!」
私の膝にアル様の頭が!
これは俗に言う膝枕!?
ヒャー!!
「謝罪として、私の枕になってもらおう」
「はっはい!!」
「うん、気持ちいい。悪いがこのまま寝かせてくれ」
そう言われてしばらくするとスゥーとアル様の寝息が聞こえてくる。
アル様の顔が近くに!
膝に伝わる体温がぁ!
心臓よ! おさまれ!
私は深呼吸をして、アル様の顔を見つめる。
出会った頃はあんなに小さかったのに、もうほとんどゲームのアル様と変わらない。
王太子としての重責や皆の期待がある中で、努力し続けている。
だけど、努力し過ぎて無理をするタイプだから心配だなぁ。
今だけでも休んでもらおう。
休憩時間が終わるまで、私はアル様に膝枕をして過ごした。




