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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第1章
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デート?

王妃教育は進み、私とクリスティーヌ様は競うように頑張っている。

今は授業が終わり、クリスティーヌ様がアル様に猛アタックをかけに行っている。

前のようになりたくないので私は庭園で習ったことを復習をすることにする。


外国語の授業のために、暗記用に作った単語帳をめくる。

単語帳とか懐かしいなぁ。

中学生以来かも。


「ねえセティー、それはなんだ?」

「きゃっ!?」

急に話しかけられてびっくりした。

私に話しかけたのはアル様だ。


「驚かせてすまない。クリスティーヌ嬢から逃げてきたらセティーが居たから。それは一体なんだ? 見たことがないものだが」

「これは単語帳と言って、単語を暗記するのに使うの。ほら、外国語を表に書いて、裏に意味を書くの」

「へぇーすごく便利だな、覚えやすそうだし、私も真似てみよう」

「ふふ、小さいから持ち運びも楽でちょっとした時間に復習できるのよ」

褒められたことが嬉しくて、私は頬が緩む。


「セティーは本当にいろんなことを思いつくなぁ」

「そんなことはないけど」


「そうだ、話は変わるが、今度一緒に王都に遊びに行かないか? えっと、その、息抜きにどうかな?」


えっ王都!?

アル様と一緒にって、デートみたい!?

「嬉しい、行きたいわ!」


私が答えるとアル様は眩しいほど笑顔になる。

「そうか!良かった!今度の週末にしよう、迎えに行く!」

「っ!あ、はっはい!」

笑顔が眩しすぎる!



-----------------

私は王都に行くため、簡素な白いワンピースに帽子を被る。

裕福な家庭の子に見えるだろうか。


「お嬢様、アルベルト王太子様がいらっしゃいました。」


アル様は普段履かない半ズボンに上は簡素なシャツだった。

可愛い!!

いつものきっちりした服も良いけど、ラフな姿もいい!!


私が悶えていると、アル様は私の姿をジッと見ている


「ドレスではないセティーも新鮮だな。その、似合ってる!」

「っ!!あ、ありがとう。アル様もその、素敵だわ」

私達はお互い顔を赤くする。



馬車に乗り、王都に到着する。


「では言った通り付いては来るな!セティー!行こう!!」

そう言ってアル様は護衛を置いて行き、私の手を握って走り出す。


手!!

アル様と手を繋いでる!!

きゃーっ!!


「あっあのアル様!?」

「ん? どうかしたか?」

「あっあの手が……」

「ん? 逸れると行けないからこうしておこう。それとも、嫌か?」


ああっそんな顔されたら断れない。

それにけっして嫌じゃない。

けど恥ずかしいー!


「い、いえ。でも、恥ずかしい。」

ああっ、顔が赤いのがわかる


「今の私達は貴族の令嬢でも、王子でもない。誰も見てないんだ。今日はお互い立場を忘れて楽しもう!」


手を繋ぎ、リードされながら王都を歩く。

王都は賑やかだ。

人や物で溢れかえっている。


アル様と出店や小物屋を見て回る。


あぁ!

こないだ読んだ本にあったデートみたい!

やばい、顔の筋肉が崩壊しそう!


しばらく歩き、ガラス細工のお店が目にとまる。

自分達でガラスに色を付けられるようだ。

綺麗だなぁ。


「興味があるのか?せっかくだし、やってみよう」

「えっ!いいの?」

「もちろん、さぁ入ろう」


そうして私達はガラス細工に色を付けていく。

私は自分の瞳と同じアメジスト色にした。

アル様も自分の瞳と同じブルーグレーにするようだ。


「セティー、良ければお互い作ったガラス細工を交換しないか?」

「えっ?良いけど、私自分の瞳の色で作ってしまったわ。作り直した方がいいかしら?」

「その色が良いんだ!セティーが作ったやつを貰えたら嬉しい。セティーの色を見る度に今日のことを思い出すだろう」

「思い出の品ね!わぁ、私もアル様の色のガラス細工を見て今日のことを思い出すわ!」


お互いのを交換するなんて、特別な思い出になるなぁ。


作り上がったガラス細工を交換して、私達はそれぞれ加工する。

私は紐を通して、キーホルダーにする。


アル様の色の品とか嬉しすぎるぅー!!

これはお守りにして、肌身離さず持っていよう!


その後は屋台で食事を買い、広場で一緒に食べることにした。

ナイフもフォークもないので、串に刺さったお肉にアル様がかぶりつく。

「うん、見た目より美味い!セティーも食べてごらん」


にかっと笑うアル様の表情は完全に王太子としての表情はなく、純粋に12歳の少年の顔だった。


「っ!!」

アル様の表情を見て、胸が跳ねる。


あぁやっぱりこの素の表情が好きだなぁ。

もっと、ずっと見ていたい。



「アルベルト様、そろそろお時間です」

スッと護衛の方々が現れる。


ど、どこにいたんだろう?

全然分からなかった。


「なんだ、もう時間か。あんまり長く連れ回して、宰相殿に怒られるのは面倒だし戻るとするか。セティー、時間のようだ屋敷まで送るよ」


「はっはい。アル様、今日はすごく楽しい時間をありがとう」

「ああ、こちらこそ、ありがとう」









次の日王宮でクリスティーヌ様に会ったがいつもと違い、笑顔だった。

「あら、セレスティーヌ様ご機嫌よう。ふふっ私ったらアルベルト様にオペラのお誘いをされましたの! セレスティーヌ様はお誘われましたかしら?」


「えっいやオペラは誘われてませんが」

私がそう言うとクリスティーヌ様は勝ち誇った顔をする。


「あらー残念ですわねぇー。私は今から胸が踊りますわぁー」


そっか、私だけじゃないんだ。

そうだよね、私は候補者でアル様の特別ではないんだよね。


私はこの時、泣きたい気持ちになり、アル様の特別になりたいと強く思った。

次アルベルト視点です

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