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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
227/236

手料理

誤字脱字報告ありがとうございます。


私達はエルド様と過ごす事がさらに増えたわ。

今はエルド様とヴィクトルとが剣を交えているのを見に来ている。

話しながら剣を交えている様だけど、2人とも器用ね。


「本日のランチは何かな?ここの食事は美味しいから毎日の楽しみだよ」

「俺は今日はフライのランチにするよ!美味しいし、腹が満たされるんだ!」

「そうだね。私もそれにしようかな」

「腹を満たすなら肉が良いんだけど。そういえば前にセティーが作ってくれたカツサンド、凄く美味しかったなぁ」

「セティーが料理を?」

「前に一度だけね。アル様にジルさんが王宮に何日も詰めていたから、ジルさんの着替えと一緒に届けてくれたんだよ」

「そうか。セティーの料理なら一度食べてみたいな。絶品だったのだろう?」

「それはもう!ってエルド様はだから食べて大丈夫かな?アル様だって公には食べてないよ」

「私はそんな大層な身じゃないから平気だよ」

「じゃあセティーに頼んでみようか!」

「そうだな。ダメ元でお願いしてみよう」

「じゃあ今日はここまでにしよう!」


剣を納めた2人は私達の方へ真っ直ぐ歩いて来たわ。


「セティーにお願いがあるんだ!」

「無理なら無理と言ってかまわないから」


ヴィクトルと目をキラキラさせているけどエルド様は少し申し訳なさそうな顔をしてる。


「私に出来る事なら」

「本当!前に作ってくれたカツサンドが食べたいんだ!」


カツサンド。

前にアル達に差し入れしたわね。


材料と道具さえあれば出来るけど、ここは学園だし、食堂の厨房を借りれれば良いけど、生徒の食事を作るのに忙しいから無理よね。


「材料と道具さえあれば作れるけど、作る場所がないわ」

「あっ!そうだった…」

「それもそうだった。ヴィから聞いてとても美味しそうだと思ったのだけど、残念だよ」


前に差し入れした時、一応アルにも食べてもらえたけど、時間が経ってお肉とパンが硬くなっていたはず。

可能なら出来立てを食べてほしいわ。


「良ければ今度の週末に我が家に来ない?正式な招待で目の前で調理すれば、アル様も食べれるはずだし」

「本当!セティーが良ければ是非お願いしたいよ!」

「ありがとう。とても嬉しいが、無理はしていないか?」

「大丈夫よ。それに出来立てを食べてほしいわ。アル様や皆んなには私から話すわ」


食事を作って振る舞うと話したら、皆んな喜んでいたわ。


週末。


「うん、大丈夫そうね」

「お嬢様、あまり気を張らずに頑張りましょう!」

「えぇありがとう」


皆んなが来る前に食材と道具の確認をしていたらシェフ達に激励されたわ。


昨日学園での授業を終えて帰ってきた後、一応練習したけど、手際よく料理が出来るようになったわけではないから、少し気を張り詰めたいたかしら。


「お嬢様、皆様がお越しになりました」

「ありがとう。皆をここに案内して」


厨房の隅にテーブルと椅子を置いて、皆んなが私やシェフが調理しているのを見る事ができる様にしてあるの。


私の格好大丈夫かしら。

今更ながら少し不安よ。

髪をおさげにして後ろでまとめて、簡素なワンピースを着て、シェフ達とは違うエプロンを身につけているわ。

揚げ物をするから汗で化粧が落ちちゃうから、薄化粧なの。

アルに変だと思われなれば良いけど。


「「セティー今日はありがとう」」

「セティーさんお招きありがとうございます」

「私の願いを叶えてくれてありがとう」


ヴィクトル、マリア、エメリア、エルド様が口々にお礼を言ってくれたわ。


「皆んな来てくれてありがとう。応接室じゃなくて申し訳ないのだけど、そこに座って出来上がるのを待っていて」

「セティーの手料理がまた食べられると聞いて楽しみにしていた。今日の装いも新鮮だな」

「ふふふ、ありがとう。今日は出来立てを食べてもらえるわ」

「あぁ楽しみにしてる」


皆んなが席に座ったのを確認して、エプロンをキュッと結んだわ。


さて!

やりますか!


昨日練習して良かったわ。

昨日より手際よく出来ている気がするわ。


「前に差し入れてくれた時、油で揚げるって言ってたけど、大変そうだね」

「そうね。凄く暑そう」

「火傷の危険もありますし、大変な作業です」

「これは…大変なお願いをしてしまったかな…」

「以前、もっとたくさんの人間が食べられる量を待ってきてくれた。作るの大変だっただろうな」


ふぅ。

揚げ終わったわ!

後はパンに挟むサイズに切ってソースを掛けて、野菜と一緒に挟んで終わり!

シェフがスープとサラダ、それからポテトも用意してくれたわ。

彩りが寂しいからから、フルーツサンドも用意したわ。

映える様にフルーツを切ったから断面が綺麗なはず。


「皆んなお待たせ!」

「「「わぁ!」」」

「美味しそうな匂いがするね」

「とても美味しそうだ。このフルーツが挟まっているのは前回なかったな」

「フルーツサンドはクリームが入って甘いから、苦手な人は無理に食べないでね」


ヴィクトルは甘いものが好きだから大丈夫だと思うけど、甘いものが苦手なアルには辛いと思うのよね。

エルド様はどうかしら?

前のお茶会で用意したお菓子は甘さ控えめだったし。


「せっかくせティーが作ってくれたんだ、1つは食べたい」

「ありがとう。じゃあキウイが入ってるのにした方が良いかしら。エルド様は甘いもの大丈夫?」

「ありがとう。私は甘い物は好物だよ」

「それなら良かったわ」


「冷めないうちに食べよう!」

「あっ待って食堂に移動しましょう。食堂の方が広いし、ゆっくり食事が出来るわ」

「俺はここで構わないよ」

「皆んながここで食べたら、シェフ達が反応を気にして、仕事が手につかなくるわ」

「それもそうだな。予定外の業務を与えてしまっているからな。移動しよう」


私達は食堂に移動し、皆んなの目の前に食事と飲み物が置かれたわ。


「では改めて、皆んな召し上がれ」

「「「「「いただきます」」」」」


私も食べよう。

うん。

美味しく出来たと思うわ。


とはいえ、貴族で良い物を食べてる皆んなの反応が気になるわ。

アルとヴィクトルが前に食べた時は軽食やスープばかりでお腹が空いていた時だし。


「「美味しい!」」

「セティーさんこれとっても美味しいです!」

「とても美味しいよ。肉を油で揚げるとこんなに美味しくなるんだね」

「前に食べた時よりも美味しいな。セティー、出来立てを食べさせてくれてありがとう」

「皆んな、好評のようで良かったわ」


それから皆んな用意したカツサンドとフルーツサンドを食べてくれたわ。


「はぁ美味しかった!また食べてれ嬉しいよ!フルーツサンドも美味しかったよ!」

「本当に。胃と心が満たされて幸せだよ。セティーありがとう」

「どういたしまして。2人のお願いを叶えられて良かったわ」


「ヴィに美味しかったって聞いて気になっていたから、私も食べられて嬉しいわ」

「フルーツのサンドイッチも美味しかったです!今度自分でも作ってみたいです!」

「ふふありがとう」


「2度もセティーの手料理が食べられて幸せだ。本当にありがとう」

「満足してもらえて私も嬉しいわ」


食べ終わったし、解散しても良いけど、せっかく集まったしどうしようかしら。


「そうだ!せっかくだからセティーの部屋に行きたいわ!」

「良いわよ。じゃあ私の部屋に行きましょう」


「俺、子供の頃に入った以来だよ」

「それは私も同じだな」

「アル様もなんだ!懐かしいなぁ。小さい頃は良くお互いの私室で遊んだよね」

「カードゲームの他にかくれんぼとかもしたわね」

「懐かしいな。ハメを外して怒られた事もあったな」


あったわね。

ヴィクトルが皆んなを木登りに誘って、私とマリアが降りれなくなって怒られたわ。


私達の会話にエメリアが少し頬を膨らませているわ。


「皆さん、小さい頃の思い出があって羨ましいです」

「そうだね。でも幼馴染が居るエメリアも私からしたら羨ましいな」

「あっ。それは…ごめんなさい」

「ハハ大丈夫だよ」


エルド様には幼馴染が居ないのかしら?

護衛の彼とは親しい仲の様だったけど。


「エルド様と護衛の方は幼馴染ではないの?親しい間柄に見えたけど」

「あぁ…そうか…気づいた時には隣に居たから、彼が幼馴染という立場になるのかな?」

「それは幼馴染だと思うわ」

「そうか…私にも幼馴染が居たのか」


エルド様は穏やかな顔をして微笑んでいるわ。


「ここが私の部屋よ。どうぞ」


「わぁ可愛い部屋ですね!」

「模様替えしたとは聞いてたけど、雰囲気が全然ちがうわね」

「前はピンクと白でフリフリだったもんね」

「あれはお母様が娘が出来たら可愛いものをって選んだからよ」


ちらりとアルの方を見ると固まっているわ。

無理もないわよ。

だって今の私の部屋

ブルーグレーと白を基調とした部屋なんだもん!


せっかくならアルの色が良いと、ブルーグレーを選んだのは自分だけど、まさかアルに見られる日が来るとわ。

前に私室に入れる約束したけど、2人きりを想定してたし。


マリア、エメリア、ヴィクトルはニヤニヤしながらこちらを見ているわ。


「アルベルト殿の色とは、お熱いことだね」

「エルド様…揶揄わないで…」


アルと顔を見合わせて、気恥ずかしい気持ちになったわ。

アルも照れた顔をしているわ。


そんな私達をエルド様がジッと見ていたのを私は知らなかった。

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