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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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その後のお茶会

皇太后宮が焼失してもう1ヶ月。

後処理も終わって皇太后宮があった場所は跡形も無く更地となったわ。


「あそこは土地をひっくり返して畑にするつもりなのぉ」

「完全に皇太后陛下が帰って来ない前提なのですね」

「そうよぉー。万が一帰ってきても、住む場所はありませんって追い返すわぁ」


王妃様はケタケタと楽しそうに笑っているわ。

皇太后陛下が領地へ行ってから王妃様は本当に楽しそうだわ。


一緒にお茶をする回数も増えたわ。

王妃様のドレス、前と少しデザインが違うけど、皇太后陛下の目が無くなって、好きな物が着れるようになったのかしら。


「そう言えば皇太后宮の侍女や女官はどうしたのですか?」

「女官は左遷したわぁ。残った侍女も降格させて下働きしているわよぉー」


降格に左遷かぁ。

まぁ王妃様にとって嫌な思いをした人ばかりだから仕方ないわね。

本当なら全員解雇したいだろうけど、理由が無いとねぇ。


そういえば、そろそろお母様が来る頃だわ。


「アイリーン!セティーちゃーん!遅くなってごめんねぇ!」

「エレオノーラ!よく来たわぁ!」

「お母様!お久しぶりです!」


「お母様、外でその装いは珍しいですね」


お母様は動きやすいドレスだわ。

家では良く着ていたけど、外では装いを替えていたのに。


「煩い古狸はもう居ないし、今日はアイリーンとセティーちゃんの3人だけだから良いのよ」

「そうなのですね」


確かに私も王宮に来る時は服装に気を使う様になっていたけど。

前までは好きなドレスを着てたけど、最近は可愛過ぎないものだったり、品格を気にしていたわね。


お茶と軽食を楽しんでいると侍女がホールケーキを運んで来たわ。


「ケーキを切り分けさせて頂きます」


侍女がケーキを切り分けようと、ケーキカット用のナイフを取り出すわ。


あら?

この侍女初めて見るわ。

それに、ケーキカットにしてはナイフが長いような…。


そう思った瞬間、私の目の前にお茶とカップが舞ったわ。

そして次の瞬間にはお母様が短剣で侍女を制圧していた。


侍女が私達を害そうとして王妃様が自分のカップを投げてお母様が短剣を取り出して侍女のナイフを弾き飛ばして制圧していたの。


「貴方達のせいで皇太后様が!」

「皇太后派の者ねぇ。尻尾を出してくれて良かったわぁ。これで粛清する理由が出来たわぁ。エレオノーラありがとう」

「良いのよこれくらい」


「お母様、流石ですね」

「これでも辺境伯家出身だもんの。こんなの、お手のものよ」


侍女は離れた場所で待機していた騎士達によって捕縛されたわ。


「良かったわね、これで古狸に仕えていた人を整理できるわね」

「良かったわぁ。嫌いだからってポイ出来ないから困ってたのよぉー」


何はともあれ、お母様が居てくれて良かったわ。

私も少し護身術を習ったのだけど、全然ダメね。

疑問に思っただけで、行動に移せてないもの。

もっと訓練しなきゃだわ。


連れていかれる侍女の後ろ姿を見ながら、本当に終わったのだと実感したわ。


皇太后の女官達は地方の城へ左遷され、残った侍女も降格。

だけど、王妃や公爵夫人、そして私を害そうとしたとして、皇太后の侍女達は解雇になるわね。

あの侍女の後ろにいる女官にも繋がれば、女官達も粛清出来るわ。


「エレオノーラが短剣を持ってきてくれていて良かったわぁ」

「お母様、こうなるのを予測していたのですか?」


王妃様と親しい侯爵夫人。

皇太后派の人が王妃様を害そうとする情報くらい耳にして当然だけど。


「そうね。でもアイリーンが危ないというより、私もセティーちゃんも危なかったのよ?私達は古狸の敵対勢力の筆頭だもの」

「フフフ。相手が今日犯行をする気になる様にぃ、わざわざ本殿から離れた後宮の奥でお茶会を開く事を公言してぇ、護衛の騎士達を遠ざけたのよぉ」

「それでこの場所なのですね。確かに助けを呼ぶには遠いですね」


護衛の騎士達には政治的な会話をするとでも言って遠くで待機してもらったのね。


「王妃様、それ国王陛下やアル様は知っていますか?」

「知らないわよぉー。私とエレオノーラ2人だけの秘密だものぉ」


あっこれ後でアルの所へ行かなきゃだわ。

後で知って物凄く驚かせる事になるわ。

そして物凄く怒るだろうなぁ。


「さぁ移動してお茶会の続きをしましょうぉー。私の部屋にしましょうぉ」


王妃様の部屋に移動して新しいお茶とお菓子が運ばれてきたわ。

アナスタシア姫と一緒に。


「あらアーシアも来たのねぇ」

「姫様!大きくなりましたね!」


アナスタシア姫に会うの久しぶりだわ!


「れーおー」

「あらごめんなさいね。レオは今日お留守番です」

「すっかりレオにご執心なのよぉー」


アナスタシア姫はレオ君の事が好きなのね。

まぁまだ赤ちゃんだし、お気に入りのオモチャみたいな感覚なんだろうけど。


それにしてもアナスタシア姫可愛いわぁ。

近隣の幼い王子との婚姻の話が来ているのも納得だわ。


「でもねぇ。お父様はアーシアを何処にも嫁がせる気がないみたいよぉー。アルはさっさと婚約させたいみたいだけどぉ」

「後々、王妹となるアナスタシア様が困らない様にしたいのですよ」


本当の所、後々で面倒にならない様にって気持ちなんだろうけど。


「少なくとも他国には嫁がせたくないみたいよぉ。中々会えなくなってしまうからぁ」

「それは…そうですね」


自分の愛娘に会えなくなってしまうのは悲しいわよね。

政略的に他国に嫁がせる理由は今の所無いわけだし。


私も数年後には、この悩みに直面するのかも知れないわ。


「ウチのレオはジルと同じで自分で相手を探してもらうわ。大きくなったら、令嬢達と会う機会は設けるけどね」

「そこで良い出会いがあると良いですねお母様」

「そうねぇ。でもレオは本当に自由に生きてほしいわ。他国を見てみたいと言うなら、留学でも何でも協力するつもりよ」

「留学ですかぁ。レオ君の将来がとても楽しみですね」


将来お父様が持つ第2爵位の伯爵位を継ぐけど、領地を運営するわけではないし、自由にしたい事をしてほいわ。


「お互い、子供の行く末が心配だけどぉ、楽しみでもあるわねぇ」

「跡取りとは関係のない子だもの。それも跡取りであるジルやアルベルト王子が立派に育ってくれたおかげね」


そりゃあ跡取りとは関係ない子だから、子供の夢を純粋に応援出来わよね。


「そうねぇ。アルには苦労をかけたけもどぉ。セティーちゃんが幸せにしてくれるから心配ないわぁ」


王妃様…。

良い夫婦になれる様に頑張ります。


「ジルもリーゼさんを見つけてくれて嬉しいわ」

「ジルなら良い父親になるんじゃないかしらぁ?」

「そうねぇ。子供は授かりものだけど、レオの面倒もよく見てくれるし、ジルもリーゼさんも良い親になりそうね」

「その点、アルは心配だわぁ。アーシアにあまり興味ないみたいだしぃ」

「王太子だもの。それに、王族はそれくらいが普通じゃない?」

「そうだけどぉー。アルは王族としては満点だけどぉ子供に興味もってほしいのよぉ。セティーちゃんも不安じゃなぁい?」


アルが父親に…。

何年先になるか分からないけど、アルなら自分の子供に無関心って事は無いだろうから不安はないわ。


「大丈夫ですよ。アル様は優しいですから、きっと良い父親になります」

「セティーちゃんが大丈夫なら良いんだけどぉ」


「セティー!」

「アル様?」


ドアをノックする音と共にアルが息を切らしながら入ってきたわ。


「セティー!無事で良かった!怪我は?」

「えっと無いわ。大丈夫よ」


あぁ。

やっぱり凄く心配掛させてしまったわ。


「もうアルったらどうしたのよぉ」

「母上!セティーを危険な事に巻き込まないで下さい!」

「もうアルったら心配しすぎよぉ。エレオノーラが居るから大丈夫に決まってるじゃなぁーい」

「夫人が居ようが、居まいが関係ありません!」

「もう。でもこれで色々と片付くのよぉー」

「こんな事しなくとも、いずれは片付きましたよ」

「今、煩わしいのよぉー。それにズルズルとー次の春まで掛かってしまったらアルも嫌でしょうぉー?」

「それは…確かにそうですけど…」


アルはチラリと私を見て答えたわ。

次の春。

私が王室に嫁ぐ時期ね。


皇太后陛下に付いていた女官や侍女達が私付きの候補に上がってしまう事を懸念してるのね。


「アル様、私も含め誰も怪我をしていないのだから、それくらいにして一緒にお茶を飲みましょう」

「…。セティーがそう言うのなら…。だが、知らせを聞いてとても心配したんだ」

「えぇそうよね。心配してくれてありがとう」


この後、国王様とお父様もアルの様に心配して来て、少し騒がしくなったわ。

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