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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
213/235

女官選考①

3年生になって2ヶ月が経ったわ。


シャル様は4ヶ月後に迫った早期卒業試験の為、猛勉強中。

ヴィクトルも騎士団の内定試験を受けているわ。

既に内密に近衛騎士団に内定しているのだけど、公平を保つため、内定試験を受けているの。

試験が終わったら卒業まで配属騎士団の修練に参加するのよ。


マリアの王妃教育も佳境に差し掛かっているわ。

エメリアも勉強に忙しいし、リュカも事業が忙しいみたい。

アルも今日は公務で欠席だし。


今日は珍しくマリアと2人きりのランチ。


「皆んな忙しそうね」

「何言ってるのよセティー。セティーの方こそ、そろそろ女官を選ぶ時期でしょう?」

「そうね。そろそろ選ばないとね」


エメリアには官僚試験に合格したら女官見習いになってもらうの。

でもその前に現在王宮で働いている人の中から女官を選ばないといけないの。


エメリアの先輩になる人達だし、良い人を選びたいけど、政治的な偏りが無いように選ばないといけないわ。

女官選びに伴って幾つかお茶会へ参加しないといけないし。


「そういえばリーファン姫の留学決まったのね」

「うん。そうなの。来月には到着するそうよ」

「セティーも忙しくなるじゃない。リーファン姫に気を配ったりする必要あるし」

「それでも皆んな程じゃないわ。マリアは結婚式の準備と出国に向けた準備もしないとでしょう?」

「そうね。でも結婚の準備はセティーも一緒でしょう?」

「私は一回だし、まだ時間があるわ。こっちで挙げる式は卒業後の予定でしょう?」

「えぇそうね。シャルと一緒に帰国する前に挙げる予定よ」

「楽しみね」

「えぇそうね。もう少しだって思うと胸が高まるわ」


マリアとシャル様の結婚式。

楽しみだわ。

ナハラセスでの式は私達の結婚式の後に挙げるの。

アルとシャル様が相談して日程を少しずらしたのよ。

そうしないと距離的にマリアとシャル様が私達の結婚式に参加が難しいから

私達の結婚式が終わったらマリアはシャル様とそのままナハラセスへ旅立つの。

マリアとシャル様の結婚式への参加は私が王太子妃となって初の公務になるわ。


初の公務が他国。

いくらシャル様の国といっても、粗相がないようにしないと。

そして私が初めて女官を公務に帯同させる公務になるわ。



----------------------------


女官選考のために王宮に来ているわ。

目の前にズラリと女性達が並んでいて圧巻だわ。

ここに居るのは政治的な兼ね合いで選ばれた方、お茶会などで顔合わせして印象の良かった方。

この中で絶対に選ばなければいけないのは、皇太后陛下の生家である侯爵家の4女、ケイミー様

皇太后陛下にとって彼女は兄の孫にあたるわ。

ここに居る誰よりも血筋が良い。

自分が選ばれるとわかっているからか、自信に満ちた表情をしているわ。


「お集まりありがとう。皆さんをより良く知る為に茶会を用意しているわ」

「まぁ!我々の為にありがとうございます」


侯爵令嬢のケイミー様が皆なの代表かの様にお礼を言ってきたわ。

他の方はケイミー様に配慮して一歩引いている感じね。


「こちらへ。お席はお名前をお呼びした順に座っていただくわ」


私は私の中で有力候補だと考えている方、よく知りたい方の順に名前を呼んでいく。

早く呼ばれるという事は、私と近い席に座るということ。

私からの期待値がわかる。

私は露骨だけどケイミー様の名前を最後に呼んだ。

ケイミー様は不服そうな顔をしたけど、仕方ないわ。

ケイミー様は縁故採用。

立場的に信頼しきれないから重要な仕事は任せられないし、採用が決まっているケイミー様と話すより、他の方と交流したいし。


「リーファン姫が正式に留学して来られるの。歓迎の意味を込めてお茶会を開くのだけど、どなたか良いアイデアはないかしら?」


私の質問に女性達はキラリと目が光らせる。


「東の国の言葉で、リーファン姫のお名前の由来は植物です。歓迎の意味を込めて植物園を借りて行うのはどうでしょう。お喜びになられるかと思います」

「こちらに早く慣れて頂くために、流行りの物を取り入れた方がよろしいかと」

「技術について知りたいはずです。今話題のカメラを使用して催しをしては如何でしょう」

「今の時期ですと、東の国はこちらより気候が涼しいはずです。リーファン姫には暑いと感じるかもしれません。植物園で行うなら日差しを遮れるようにして、お飲み物にも配慮が必要かと思います」


うん。

中々良い意見が出たわ。

その後発言をしていない何名かに声を掛けたわ。


「皆さんありがとう。参考にしてみるわ」


その後は実務的なテストを行ったわ。

私の仮のスケジュール管理や書類管理。

公務の補佐など。


「来賓の歓迎を行います」


私の後ろに女性達が続き、来賓役のメイドを迎える。


「ベスタトールへようこそ」

「お出迎えありがとうございます。こちらはお近づきの印に受け取って頂ければ幸いです」

「まぁこれは貴重な物をありがとうございます。お疲れでしょう。陛下が来られるまでの間、応接間でお過ごし下さい」


私はここで頂いた品を女官の誰かに預ける。

預ける相手は決めているの。


「ケイミーこちらは貴方が責任を待って管理して」

「えっあ…わっわかりましたわ」


その後は応接間で来賓と親交を深める。

その間、頂いた品はずっとケイミー様が持っている。


うん。

機嫌が下がっているのがわかるわ。

家ではメイドがしてくれていた仕事を、まさか自分がさせられるなんて思ってもいなかったでしょうね。


いくら侯爵家の令嬢とはいえ、4番目の令嬢。

多額の持参金を出せるのはせいぜい3番目まで。

4番目以降は高位貴族や有力貴族に嫁げる可能性が低いため、淑女教育は厳しく教えたりはしないわ。

だから、不機嫌さを隠しきれないのも仕方ないわね。


それに加えて現在、貴族派の家々は経済的に厳しい状況。

それはケイミー様の家も同じ。

確か3番目の令嬢は商家に嫁いだはず。

おそらく持参金無しでの結婚。

つまり、自分の持参金は期待出来ないはず。

自分の将来の為にも、私の女官となって箔を付けないといけない。

どんなに屈辱的でも自ら辞退する事ができないわね。


今回は試験の一環だから、来賓との交流は20分程度で終えたわ。


「あの、これはいつまで待っていれば…」

「責任を持って管理する様言ったはずよ。では次の組み、行いましょう」

「っ……」


もう1組同じ事をして、この日は終了。


「さてと。ケイミー様はやっぱり、メイドに押し付けたのね」

「はい…部屋に品を持ってくるなり、私達に言い付けられました。もう1人の方は最後までご自身でされていきました」

「そう。ありがとう」


親交の証に頂いた品はとても貴重な物。

それを清掃メイドに預けて、片付けさせるなんて。


ケイミー様を採用しなきゃだけど、任せられる仕事は、本当に少なそうね。

他の令嬢は家とは関係なく、私を慕ってくれそうな方もいるけど、ケイミー様は無理そうだし。

この際ハッキリと縁故採用だから、任せる仕事はないと言ってしまおうかしら。

肩書きさえあれば良いはずだし。


そんな事を考えていたら王妃様が訪ねて来たわ。


「セティーちゃ〜ん!どう?選考進んでいるかしらぁー」

「王妃様、今本日の選考が終わった所です」

「もう!セティーちゃんったらお義母様でしょう!」


王妃様今日も相変わらずだわ。

今日の結果を報告したら、王妃様はお腹を抱えて笑ったわ。


「アハハハ。もう良い気味だわぁ。セティーちゃん良くやったわぁ!」


王妃様は私の頭を撫でて喜んでいるわ。


「良くはないですよ。今日の試験内容でケイミー様が皇太后陛下に泣き付いたら、絶対に皇太后陛下が突っかかってきてしまいますよ。とはいえ、ケイミー様を採用しないといけないし。与えられる仕事はないし、困りました」

「別に無理に採用しなくて良いわよぉー。だって家の問題とは別に女官として使えそうにないものぉー。1番良いのはぁ私が皇太后になるまで上手く飼い殺してくれることだけどぉ。セティーちゃんが苦労する必要はないわぁ」


王妃様はそう言ってくれているけど…。

いくら国王陛下が生前退位するつもりでも、アルが王位を譲られるまで数年はあるだろうし。

その数年が煩わしいし、貴族派を蔑ろにしてると言われたくないわ。


「ありがとうございます。もう少し考えてみます」


後日、他の試験の結果を踏まえ、女官に選んだ女性達を呼んだわ。


同じ派閥の伯爵令嬢が2人、子爵令嬢が1人。

貴族派は男爵令嬢1人、そしてケイミー様。


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