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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
211/235

写真撮影③

写真撮影から数日。

生徒達は写真を手に盛り上がっているわ。


「反響が凄いわね。貴族の家から撮影の依頼が入っているんでしょう?」

「はい!有難い事に家族写真の依頼を頂いています。セティー様の写真も明日には出来上がります。他の方々の現像を優先して下さり、ありがとうございます」

「他の生後達の写真を優先するのは当然よ。何せ凄い数の写真を現像しないといけないのだし」


写真に写った人数分となると何百という数になるはずだわ。

今回の撮影会、相当な出費なはず。

本当はもっとリュカに謝礼を渡したかったけど、断られたのよ。

結局カメラマンやデザイナーに謝礼、それと作ってもらった物を支払う際に少し上乗せで払っただけなのよ。


こんなに協力してもらって、労働以外に金銭的にも、負担を掛けてしまってなんだか心苦しいわ。


「ねぇリュカ。やっぱり御礼させて。謝礼はもちろん、私で協力出来ることなら、なんでも」

「いえいえ、既に多く支払って頂いてますし、カメラマンとデザイナーにも謝礼を頂いてますから」

「でも他の生徒達の写真、かなりの出費でしょう?せめてその出費分だけでも払わせてほしいわ」

「そちらはお気になさらず。損得の話であれば、十分儲けが出る宣伝になりましたから。何より頂いた代金で十分です。これ以上は逆に貰いすぎなくらいです(心付けに頂いた代金だけでもかなりの額。それに、セティー様達のおかげで頭の固い方々にも受け入れられている。僕はこれ以上ない対価を頂いているんですよ)」


リュカはこれ以上のお礼は不要と受け取ってくれなかったわ。

だったらせめて社交界でカメラを宣伝をしよう。


「それより、明日出来上がった写真を学園に持って来させますので、ご確認ください」

「私がお店に出向こうと思っていたのに。何から何までありがとう」

「アル様や他の方にも見て頂きたいですから。皆様が一度にお越しになられると、目立ってしまいますので」


そうだったわ。

写真撮影が終わって気が緩んでしまっていたわ。

最後まで他の人にバレるわけにはいかないのに。


「リュカ。本当にありがとう」

「いえ、お気になさらないでください」


翌日、リュカの職人が写真を持って来てくれたわ。

放課後、私達は他に誰もいない事を確認して写真を見たわ。


「「「わぁ!!!」」」

「セティー綺麗!!」

「どの写真もすっごく可愛いです!」


写真はどれも綺麗に撮れていて、全て理想通りだったわ。


「凄いわ!どれも理想通りだわ!」

「お気に召されて良かったです」


私達は大いに盛り上がったわ。

それは男性達も同じだったわ。


「しかし、どれも凄いな。これなんかキャンドルの灯りで、とても幻想的だ」

「灯りで周りがボヤけているが、逆にセティーを輝かせているな」

「こっちの花びらの写真も凄いよ。床に引き詰めとは思えないよ。まるで花びらが背景だったみたいだよ」


「これは…可愛いという概念がイマイチ理解していない私達とてわかる。これは女性を熱狂させるな」

「アル様の言う通り、この写真は話題になる事は間違いないです!」

「でもリュカ。申し訳ないけど、この写真を店に飾ってもらうわけにはいかないわ」


あんなに協力してくれたのに、宣伝に協力出来ないのは申し訳ないわ。


「あっそうだ、マリアがこの写真を撮るのはどうかしら?」

「もちろん!私もこの写真撮りたいわ!エリザベート様と同じ大階段でも撮りたいけど、同時に撮るのは可能かしら!?」

「もちろん可能ですよ。ただその分、撮影時間が長くなりますが、大丈夫ですか?」

「この写真が撮れるなら、私は多少長くなっても構わないわ」

「マリア。重いドレスを長く着てられるの?」

「うっ…。写真の為なら頑張るわ!」

「マリアの撮影の際は俺も居る。マリアが少しでも楽になるよう手伝うからな」

「シャル…ありがとう」


「アル様とセティー様に是非見て頂きのは、こちらの写真になります。最後に撮った写真です」


リュカが出したのは最後に撮った、祭壇の明かりのみを残し、周りを暗くした写真。

写真に写っていたのは、祭壇の明かりで私達が影となっている写真。


「これは、私達のシルエットか。あの時の写真がこの様に撮れていたとは」

「シルエット写真とても綺麗だわ」

「お2人さえ良ければ是非こちらの写真を店に飾られせて頂きたいのです」


顔が写っていないこの写真なら、私達とバレるんだろう可能性が低いかしら。


「私はかまわない。この写真なら顔も髪の色さえわからない。私達だとバレる可能性は低いだろう」

「アル様が良いなら、もちろん私も大丈夫よ!」

「ありがとうございます!この写真、話題になりますよ!マリア様の写真とエリザベート様の写真と合わせてウチの看板写真になります!」


後日私達の写真は『夢の結婚式を』というキャッチコピーを付けられてリュカの店に飾られたわ。

ちなみにリーゼ義姉様の写真には『人生最大の美と幸福を』と付けられていたわ。



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写真撮影から初めての社交界。


「あの写真見ました?エリザベート様の美しさといったら、言葉では表せない程、美しかったですわ!」

「見ましたとも!それに、あのシルエットの写真!あちらも綺麗でしたわ!」

「あの写真!どちらの令嬢と殿方なのかしら?シルエットからでもプロポーションが素晴らしいのがわかりますわ!」


やっぱり凄く話題になっているわ。


「マリア様も写真を撮影されるそうよ」

「まぁ!絶対素敵な写真になりますわね!」

「あっセレスティーヌ様ですわ。そうだ、セレスティーヌ様なら、あの写真が誰なのかご存知かもしれませんわ」


「セレスティーヌ様ご機嫌よう」

「ご機嫌よう。皆さん何を話されていたのですか?」

「今話題の写真についてですわ」

「エリザベート様の写真も素敵ですし、あのシルエット写真の人物は誰なのかと話題ですのよ」

「セレスティーヌ様は写真事業を始めた彼とは親しいですし、どなたかご存知ではありませんか?」

「あいにく私にも誰なのか、わかりかねます」

「そうですか…。セレスティーヌ様は写真を撮りませんの?」

「私は家族で写真を撮りますよ。お兄様達が新婚旅行から帰ってきたら家族で撮る予定です。リーゼ義姉様が新しく家族になって下さった記念です」

「まぁ!素敵ですわ!」

「写真は広間に飾る予定ですので、茶会などで我が家に来られた際にご覧になって下さい」

「そのように公爵家に歓迎されて、エリザベート様は幸せですわ」


それからもしばらく話題は写真についてだったわ。

リーゼ義姉様の着ていたドレスや髪型についても聞かれたわ。


「私も自分の結婚式の写真を撮りたいですわ」

「それなら早く予約しませんといけませんわ。これだけ話題ですもの、早くしませんと予約で一杯になってしまいますわ」

「そうですわね。さっそく明日にでも伺ってみますわ」


少しは宣伝の手伝いが出来たかしら。

少しでもリュカに恩返しが出来ていたら嬉しいわ。


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