進展は?
ヴィクトルから、お父様と仲直り出来たと手紙をもらい、遊びに来るように誘われ、私はまたエルランジェ邸に来ていた。
ただ私を出迎えてくれたのは、マリアとヴィクトルだけではなかった。
アル様が笑顔で私を見ている。
なっなんで、アル様がここに!?
「ヴィからセティーが来るって聞いて、私も仲間に入れてもらったんです」
とアル様がにっこりと笑って、私の疑問に思っていることに答えた。
まだ何も言ってないのに、考えを読まれた!?
「そうだったのですね」
私はとりあえず返事をする
「今日はみんなであそぼう!」
「みんなで遊べるの楽しみにだったの!」
マリアとヴィクトルが私達を応接室に案内する。
案内する途中ヴィクトルが私の腕を掴む
「セティー、改めて、ありがとう!セティーのおかげで父様と仲直りできたよ!」
うん、いつもの笑顔だ。
「ヴィクトルが、頑張ったからだよ」
「セティーが話を聞いてくれたおかげだよ。もし、セティーが困ったことになったら言ってね!今度は俺がセティーの力になるから!」
「ありがとう、ヴィクトル」
困ったことかぁ。
将来処刑か暗殺されそうで困ってるなんて言えないよねぇ。
「うん。あっあと、そろそろヴィって呼んでよ。マリアもアル様も呼んでるし」
「ゔーん、慣れたらね」
男の子を呼び捨てにすることだって慣れないんだけどね。
ヴィかぁゲームのヒロインは呼んでた気がするけど、私は慣れないなぁ。
アル様は前世の時でも呼んでたから平気だけどね。
ヴィクトルと会話しているとアル様がこっちを冷たい目をして見ていた。
えっ!?
なに?
どうしたんだろう?
あっヴィクトルを取られるって思ったのかな?
そんなつもりないんだけど!
「何しましょうか?」
いつのまにか応接室に着いていた。
「トランプにしませんか? いつもヴィと2人なんですけど、人数が多い方が楽しいですし」
マリアの提案によってトランプをすることにした。
だが、しばらくしてヴィクトルが飽きた。
表情が素直に顔に出るヴィクトルは勝てない。
勝てないゲームは楽しくない。
だからすぐに飽きる。
ヴィクトルは外で駆けっこをしようと言ったが、それだと私とマリアが2人について行けない。
「かくれんぼはどうかな?」
と私が提案をし、みんなが賛成してくれたので、かくれんぼをすることにした。
最初の鬼はマリアだ。
私は隠れるために図書室へ向かう。
この棚の隙間なんか良いかも。
「セティー」
「きゃっ!?」
「ふふっ驚かせてすまない。ドレスの裾が見えてますよ」
「えっアル様ですか? 驚きました」
「そこだとすぐ見つかってしまいますよ。こっちにおいで」
アル様に連れてテーブルの下に一緒に隠れる。
ちっ近い。
「ねぇセティー?」
ひぃー!
アル様のお顔がすぐそこにぃー!
やっやばい、心臓がもたない!
「なっなんでしょう?」
かろうじて返事をする。
「ヴィとずいぶん仲良くなったんですね。敬語も使ってないし、私といるより楽しそうですね」
「えっええ。ヴィクトルが明るくて気軽に話しかけてくれるので、敬語も使わなくなりました。」
「そう。セティーはヴィクトルのことヴィと呼ばないんですか?ヴィクトルは呼んで欲しそうですけど」
「まだ慣れなくて、でも呼ばなきゃ慣れないですよね。」
「慣れなくていいですよ。私はセティーが私以外の男を愛称で呼ぶのは嫌です」
「えっ?」
どうして?
「私もセティーに敬語を使わないから、私とだって敬語なしで話してほしい。私の方が早く知り合ったのに、ずるいじゃないか」
あれ?
なんか拗ねたような顔してる。
えっ可愛いぃー!!
今の話しだと、先に知り合った私が自分よりヴィクトルと親しくしてるのに拗ねてるんだよね?
あっあれか!
自分の友達に新しい友達が出来て、そっちとばかり仲良くして、友達の友達に嫉妬する奴か!
そうだよね、アル様だってまだ8歳。
お友達と仲良く遊びたいよね!
あれ?
私もしかしてアル様のお友達枠に入れてる!?
悪役令嬢の私が!?
アル様とお友達!?
キャー!!
「わっわかりました!ヴィクトルのことはヴィクトルと呼びます。」
するとアル様はパァっと笑顔になる。
「じゃあ私にも敬語はやめてくれるね?」
「はい、いいえ、うん!」
アル様はますます笑顔になる。
それも無邪気な笑顔。
あぁっアル様!
アル様の笑顔が眩しい!
「セティー、君は私にとって……
「私、アル様のお友達として頑張ります!あっ敬語になっちゃった。」
アル様が小声で何か言った気がするけど、私は高らかにアルにお友達宣言をする。
「はぁ!? えっ友達!?」
えっ?
やっぱり悪役令嬢の私じゃあダメ?
そうだよね、私セレスティーヌだった。
アル様と普通に交流してたから、調子に乗っていたのかも。
「わっ私なんかがアル様のお友達なんて、すいません、調子に乗っていたようです。」
なのにあんなら高らかに宣言するなんて…
泣きそうだ。
するとアル様が慌ててだす
「あっ、いや待て、そんなわけないだろ」
アル様の言葉に希望が出る
「で、では私はお友達として、アル様と一緒に居られますか?」
「ああ、もちろんだ一緒に居てくれ」
あぁ!
本当にアル様とお友達になれるなんて!
自然と頬が緩む。
「嬉しい!すごく嬉しいです!」
「っ!」
「あっ!セティー、みーつけた。アル様も見つけました」
鬼のマリアに見つかり、私達はテーブルの下から出る。
なんだかアル様の顔が赤いような気がする。
狭いところに居たからかな。
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アルベルトside
友達か……。
セティーに私以外の男と仲良くなるなと言ったが、まさか友達と返されるとはな。
セティーが泣きそうな顔をするので、慌てて肯定したが…。
たっ確かに瞳を潤ませたセティーは可愛かったし、最後の笑顔なんて、もう最高に可愛かった。
「アルベルト様はセティーのことが好きなんですか?」
「はっ?」
ふいにマリア嬢が聞いてきた。
今はセティーが鬼になりヴィを探しに行っていて、この部屋に居ない。
しかし、慌てて周りを確認してしまった。
確かにそうだが、仮にも婚約候補者のマリア嬢に言うのは気がひけるな。
「ふふ、慌てなくても大丈夫ですよ。ここには私達しか居ないですし。それに私に遠慮することはありません。私はあと数年すればアルベルト様の婚約候補者を降りさせて頂きますから。」
私はその言葉に驚いた
「そうなのか?マリア嬢は王太子妃の座に興味がないのか?」
「ええ、お父様の為にしばらくは候補者で居ますが、私には王太子妃なんて務まりません。」
「そうか。しかしなぜ、私がセティーを好きだと思ったんだ?」
「私は臆病なのです。それ故に人の感情には敏感です。」
「そうだったのか。しかし、私と普通に話しが出来ているし、最近のマリア嬢は臆病とは思えないな」
「それはセティーのおかげです。ですからアルベルト様の選ばれた方がクリスティーヌ様ではなく、セティーで良かったと思ってます」
マリア嬢は優しい顔をしながら話し続ける。
「セティーのおかげで人と話す勇気が持てました。私は、兄と共に王家と嫁がれた妃に仕えます。その仕える相手がセティーならと思っています」
マリア嬢は未来の王太子妃にセティーを望んでいるのか!
「では、マリア嬢は私の味方。私とセティーの為に協力してくれるな!」
セティーの情報が手に入る!
「違います!私はセティーの味方です!ですから、セティーが他の誰かを好きになったら、その方とセティーの為に協力をします。今のところセティーがアルベルト様を嫌っていないようなので多少は協力します」
なっセティーが他の誰かを好きになるだと!?
そんな未来嫌すぎる!
「では、今のところ協力してらもらおう」
「良いですよ。ただセティーの嫌がることはしません」
「もちろんだ!」
協力者が出来たのは嬉しいことだ!
これでセティーとの関係を進展させられるかもしれない!




