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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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結婚準備

今日は王宮に来て、たくさんの商人と会っているわ。


「カーテンはこちらなど如何でしょう」

「クロスはこちらがオススメでございます」


将来、私の部屋で使う家具を決めているわ。

1年以上も先だって思うけど、1つの宮殿を綺麗に掃除して廊下の飾りや展示品も変えないといけないし、庭も私の好みに植え替える為には今やらないといけないのよ。


私室は好みの家具を置いて良いと言われたので選んでいるの。


「昔見たセティーの部屋はとても可愛らしい物が多かったな」

「アル様、あれはお母様の趣味よ。今は落ち着いた雰囲気の部屋になっているわよ」


子供の頃のピンクにレースやフリルたっぷりの部屋はとっくに卒業したわ。


「そうなのか。子供の頃以降、セティーの部屋を見ていないな」

「婚約者同士でも私室に2人きりは憚れるもの。仕方ないわ。私だってアル様の私室は見た事無いでしょう?」

「そうだな。そもそも普段セティーと会っている宮殿とは違う場所だからな。結婚式が近づいたら遊びに来ると良い」

「えっいいの?」

「もちろんだ。その代わり、私をセティーの私室に招待してほしい」

「それは良いけど、結婚式間近だからって許されるのかしら?」

「2人きりでなければ良いだろう」


ゔーん。

限りなくグレーな感じがするけど、アル様の部屋は見てみたいわ。


「寝室はどう致しましょう」

「セティーの好みの物で良い」


アル様と使う寝室の家具を決めるなんて、なんだかドキドキする。

私1人で使う部屋じゃないから、落ち着いた色合いの家具にしたいわ。


色味はモスグリーンとか目に優しくて疲れが取れる色合いが良いわ。


「続いてベットですが、王太子妃様がお使いになられるなら、こちらがよろしいかと」


商人がオススメしてくれたベットはもちろん最高級の物だわ。


高級な物を選ぶのは必然として、悩むのはそのサイズよ。

私の部屋で使っているベットはキングサイズ。1人で使うにはかなり大きいわ。

貴族だから大きいベットなのは当然だし、それに慣れたけど、2人で寝るサイズってどれくらいなの?


カタログに書かれたサイズを見ても、いまいちピンとこないけど、きっと特注よね。


「ベットの大きさは一般的な大きさで良いのではいないか?」


アル様が希望したのは、私が今使っているベットと同じサイズ。

普通に2人で寝れるサイズだけど、王族的にこのサイズはありなのかな?


「私は構わないけど、もっとゆったりと寝たいとかはない?それと王族の寝室に使う物として大丈夫かしら?」

「大きすぎな方がセティーと近くで寝れるだろう。品質が保たれていればサイズはどんな物でも構わない」

「そっそうなの。じゃあこのサイズで。色合いとデザインはこれがいいわ」


アル様とくっついて寝てる自分を想像して、母が熱くなったわ。

人前で恥ずかしい。

しかも目の前に居るのは、ただの商人ではなく、サリュート商会の会頭であり、リュカのお父様なのよ。

友人の親の前でする話じゃないわ。


「倅に聞いた通り、仲睦まじいですね」

「あぁ。私の最愛の恋人だ」

「アッアル様!」


リュカのお父様は暖かい笑顔で私達を見ているわ。


「そんなお2人に相応しい物を、御結婚のお祝い私共から贈り物をさせて頂きますね」

「それはありがとう。楽しみにいている」

「今後とも倅共々よろしくお願い致します」


この後はカーテンやテーブル等の家具のデザインを決めてリュカのお父様は他の商人と共に帰っていったわ。


「疲れてしまっただろうか?」

「いいえ大丈夫よ。今日はありがとう。私が家具を選べるとは思ってなかったわ」

「嫁ぎ先とはいえ、自分の部屋だ。自分の好みに合った物の方が落ち着けるだろう。数年で模様替えをするだろうが、その際も好きな物を選んでくれて構わない」

「ありがとう。嬉しいわ」

「この後、良ければ王太子妃宮に行ってみないか?」

「まだそこに入れる身分じゃないのに良いの?」

「大丈夫だ。今は使われていないただの宮殿だ」


アル様に案内されて王太子妃宮に来たわ。

初めて来たけど、やっぱり大きい。


「こちらが、食堂。ここは以前から図書室として使用していた」


中も凄く広いわ。

我が家の屋敷と同じくらい広いわ。

そして全てが豪華。

廊下の柱や扉に彫刻が施され、宮殿全てが芸術だわ。


私ここに住むのね。


「そしてここがセティーの部屋になる予定だ」

「ひっ広いわね」


家具が置かれていないから余計に広く感じるけど、我が家の私室の倍以上あるわ。


「衣装部屋にそちらが寝室。そしてこの扉の先は使用人達が控える部屋だ」


我が家の私室との大きな違いは、すぐ隣の部屋にメイドや女官が居ることね。


「どうだろうか。結婚後の生活がイメージ出来ただろうか」

「えぇ。実際に見てここでの暮らしを想像したわ」

「ここでは1人になる事はほぼ無いだろう。だが周りに人が居ても孤独を感じてしまうかもらしれない」

「そうね。常に側に人が居ても家族ではないし、政治関係が絡む人が側に居る事になるものね」

「そうだ。女官はどうしたって貴族派の者も選ばなければならない。言動や情報統制に気を使うだろう」


私が気を許せる人は数少ないだろうし、アル様か来来ないと会えないものね。

寂しい気持ちを抱く日もあると思う。

でも…。


「でもアルは私を放ってはおかないでしょう?」


きっと忙しい日々が続いても、完全に放っておかれる事はないと思うの。

私はアル様を信じているわ。


「もちろんだ。顔を出す事が叶わない日もあるかもしれないが、セティーを放っておく事などしない」

「えぇ信じているわ。だから心配しないで。私ね、アルと結婚出来るの楽しみなの。何年も前からずっと。だから今も、そしてこれからも嬉しさと幸せな気持ちで一杯よ」


ギュッとアル様に抱きしめられる。

私も抱き締め返す。


「ありがとう。私に愛する人と結婚出来る幸せを与えてくれて。王族に産まれ、得られないと思っていた」

「私達、お互いがお互を幸せにする為に出会ったのね」

「あぁ。セティーに出会えた事、神に感謝する」

「今この幸せに感謝を」


私達はお互いを見つめ合った後自然とキスをした。


これまでも結婚後の大変さは話し合ってきたし、アル様が心配してくれているのはわかっているわ。

でも私ならきっと大丈夫よ。

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