理想と尊敬-後日談(ヴィクトル視点)-
俺はセティーと話した日の夜、父様と話をするため、父様の私室に来た。
「父様!今お話し良いですか!?」
「ああ、ヴィクトルか、いいぞ。どうした?最近は私を嫌っていると思っていたが」
「っ!?ち、違います!嫌ってないです!今日友達に言われて気づいたんです。俺は、父様が簡単に騎士を辞めたのが悔しかったんだって。友達に父様が国の為に外交についたって言われて。俺父様に言ったこと謝りたくて」
俺は剣術の稽古中に言われたこと、そしてセティーと話した俺の思いと謝罪を父様に伝えた。
「ははっそうか。いやすまん。お前ならわかってくれると思って、何も言わなかったな。怪我のことは、部下を庇ったと美談の様に言われてるが、結局の所はただの失敗だ。それに、私は団長だったからな。部下に対して責任を負うのが私の仕事だ。そう言う意味では怪我をしたのが私で良かったと思っている。
そして、このまま表舞台を退き、騎士団を影で支えるというのは、私でなければいけない仕事ではない。既に何名も指南役はいるし、作戦室だって同じだ。私の場合、外交の仕事は他の文官とは違う仕事も含められてる。私だからこそ出来ることがある。今の私でも王家の、この国に役に立てる。そう思ってこの道を選んだ。だがすまない。お前には肩身の狭い思いをさせたな。」
やっぱり!
セティーの言う通りだった!
父様は臆病なんかじゃない!
国への忠誠は騎士のままだ!
「俺、父様に認めてもらえるような騎士を目指します! みんなに何か言われたってもう気にしません!誰にも負けない、父様にだって負けないくらい強くなります!」
「ああ。お前ならなれるさ」
「はい、なのでこれからも俺に稽古をつけてください!」
「もちろんだ、厳しく仕込んでやる」
やった!
父様との仲が元に戻り、俺は自分の目標を決めることが出来た。
「で、その友達とはアルベルト様か?昨日の今日でお前が来たから変だと思ったが、アルベルト様のアドバイスか?」
ふと父様が俺に聞いてきた。
「違います! セティーです。セティーに、モヤモヤした気持ちが何なのか教えてもらって、父様と話すように言われました」
「セティーとは宰相殿の所の令嬢か?お前がマリア以外の女の子と仲良くなるなんて珍しい。」
「セティーは特別です!マリアとだって友達だし、セティーはいい奴なんです!」
「ほぅーいい奴ねぇ。アルベルト様のお相手に特別とは、ね。まぁマリアもお世話になっているし、仲良くさせていただきなさい。」
「はい、もちろん仲良くします!」
セティーには感謝しきれないほど、感謝している。
俺は何があってもセティーの味方でいられるように努力しよう!
そう誓った。




