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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
199/235

パーティーその後

「セレスティーヌ様。レニーの嫁ぎ先をご存知ありませんか?」

「パーティーの後、突然学園を辞め嫁いだと聞きましたが、嫁ぎ先が遠方としかわからないのです」

「セレスティーヌ様ならば、国内外問わず、貴族にお詳しいので何かご存知かと思いまして」


パーティーから数日。

レニーさんはパーティー以降学園に姿を見せなかなってたわ。

そして昨日遠方に嫁ぐため、学園を退学したとの報せがあったの。


レニーさんの友人達は突然の事で戸惑い、子爵家に手紙を出したのだけど、既に嫁いだ後で、詳しい嫁ぎ先は教えてもらえなかったの。


そこで国内外の貴族の情報を持っている私なら何か知っているかもと聞きに来たの。


「生憎、私にもわからないの。ごめんなさい」

「そうですか…」

「マリアは何か知ってる?」

「いいえ。私も何も知らないわ」

「そうですか…お2人がご存知ないのでは、仕方ありませんね」


高位貴族で、情報が集まりやすい令嬢である私達2人が知らないのではと、レニーさんの友人達は落胆するわ。


「あまり落ち込まないで。落ち着いたらレニーさんから手紙が来るかもしれないわ」


「私達、あのパーティーでレニーを励ます言葉も見つけられず、力になれなくて」

「今レニーが辛い目に遭っているのではと心配でして。何か情報が手に入りましたらお教え下さい」

「わかったわ。何かわかったら貴方達に伝えるわ」


友人思いの人達ね。


「心配よね。何かレニーさんについて調べる術はないかしら」

「セティー。結婚式の準備以外にも公務もあって忙しいんだ。わざわざセティーが調べずとも、用があれば友人達に便りが来るだろう」


アル様はそう言うけど、本当に大丈夫かしら。

カミーユ様に心を寄せていると思っていたのに、急に嫁ぐなんて、訳ありの婚姻に決まっているから、友人達が心配するのも無理ないわ。


まぁアル様が言ったとおり、忙しいのだけど。

明日からリーファン姫が学園に来るし、クリスティーヌ様が学園の案内やお世話をしてくれるとはいえ、色々と準備があるわ。

レニーさんの事を探るのはアル様の言う通り時間がある時にしましょう。


--------------------------


「これが学園を案内するのに使用する資料とリーファ姫に受けて頂く教科にの一覧になります。クリスティーヌ様本当にお任せして大丈夫ですか?」

「大丈夫ですわ!貴方に心配される様な事はありませんわ!」


リーファン姫が学園に通うための資料を渡す為にクリスティーヌ様を訪ねたわ。

クラスには私達2人だけ。


「そうですか。ではよろしくお願いします」

「えぇ。話は以上ですわね」

「あっ待って下さい」


クリスティーヌ様が渡した資料を持ってクラスを出て行こうとしたのを呼び止めたわ。


「なんですの?」

「レニーさんが何処に嫁いだのかご存知ですか?」

「知りませんわ。私達皆さんが思っているより、仲が良くありませんの」

「そうなのですか。レニーさんの御友人たちが心配しておりますので。何かわかれば教えてあげて下さい」

「そうですの。わかりましたわ」


レニーさんの事で今出来る事はここまでかな。

今はクリスティーヌ様がリーファン姫が学園に馴染めるように支援できるかの方が重要だわ。


リーファン姫が学園に来て数日。

リーファン姫は教師達からの評価がとても高いわ。

勤勉で真面目。

学習意欲が高く、学園に通った事も家庭教師も居なかったと聞いたけど、知識も多くて授業には問題なく受ける事が出来ているわ。


それに令嬢達からも慕われているわ。

姫という立場でありながら、低姿勢でお優しくて、話しかけやすい方だもの。


それに、この間のパーティーでカミーユ様との仲が噂されていて、気になる方が多いみたい。


----------------------------

(リーファンside)


たくさんのお茶会への招待状が届きましたが、全てに参加する事は不可能です。

どちらにお招きに上がれば良いか、クリスティーヌ様にご相談させて頂きましょう。


「リーファン姫を誘う際は私をお通し頂きますわ!」

「何故ですの?リーファン姫は成人されてますわ。ご自身でご自分の行動をお決めになれますわ」


招待状にお返事する前に、学園で御令嬢達に直接お誘いされ、返事に困っていたら、クリスティーヌ様が対応して下さいました。


「リーファン姫は今まで社交の機会が少なく、慣れてませんわ。まして此処は他国ですわ。リーファン姫の世話役として口を挟むのは当然ですわ」

「フフ。それなら尚更、私達が教えて差し上げた方がよろしいかと。正常な社交をしていない方よりは良いかと」


御令嬢はクリスティーヌが社交が上手くないと侮辱とも言える発言をしました。


クリスティーヌ様御本人から、以前は傲慢で高飛車な態度を取ってしまい、令嬢達に謝罪して回ったと聞きました。

私には親身になって下さるクリスティーヌ様。

きっとたくさん反省して変わったのでしょう。


きっとこちらの御令嬢は、クリスティーヌ様に嫌な事を言われていた方なのでしょう。

例え過去がそうであっても、侮辱するなんて。


ここは私が頑張って前に出なければなりませんね。


「まぁ。クリスティーヌ様も社交が苦手だったのですね。でしたら、共に学良い機会です。お茶会はクリスティーヌ様と御一緒出来る会を選ばせて頂きますね」


私が一歩前に出て御令嬢にそう伝えると、少し驚いたような表情をしていました。


クリスティーヌ様もお誘いを受けている所へ参加する事をお伝えすれば、諦めてくださるかもしれません。


「まぁそうですか。クリスティーヌ様は私達の茶会はお嫌かと思いまして、招待を遠慮しておりましたが、よろしければクリスティーヌ様にも招待状をお送り致しますわ」

「では、クリスティーヌ様との予定が合うか、後日お返事しますね」

「えぇ。良い返事をお待ちしてますわ」


御令嬢達が去った後に息を吐きます。


「はぁ。上手く立ち回れたでしょうか」

「私のせいで申し訳ありませんわ。私の過去のせいで」

「いいえ大丈夫です。それに私は遠回しに言われる方より、ハッキリ言って下さる方の方が好きです」


クリスティーヌ様に、どうして私に親切にして下さるのかと聞いた際、『あっ貴方の為ではありませんわ!お父様に認めてもらう為ですわ!」と照れながら言われました。


クリスティーヌ様と接して、クリスティーヌ様はある意味、裏表がない方なのだと感じました。

人の嘘や探り合いが下手な私にとって、クリスティーヌ様は気を張らずに居られる方です。


-------------------------

「というわけで、クリスティーヌ様には良くして頂いています」

「それは何よりです。学園にも慣れた様ですね」


本日はセレスティーヌ様達のお茶会にご招待されました。


セレスティーヌ様の他にマリア様とエメリア様、そして私の4人のお茶会です。


エメリア様は元平民の男爵令嬢だそうですが、身分を飛び越え、親友なのだそうです。


「私達の個人的な茶会ですので、気を張らずに楽にして下さい」

「はい。ありがとうございます」


セレスティーヌ様達とのお茶会は本当に肩肘を張らずに居られるものでした。

好きにお菓子やお茶を頂いて、話題も社交に関するものではなく、自分の好きな物を話す楽しいものでした。

マリア様がオススメした本読んでみたいですし、エメリア様の領地で染めた布も素敵でした。

そして、セレスティーヌ様の公案した結婚に関する事は関係の無い私でもドキドキしてしまいました。


「とても楽しい時間でした。今度はクリスティーヌ様も御一緒してもよろしいですか?」


こんなに楽しい会はクリスティーヌ様もお好きなはずです。

私はセレスティーヌ様達に今度はクリスティーヌ様もお誘いしても良いか聞きましたが、3人の表情は優れませんでした。


「ごめんなさい。私達はクリスティーヌ様とは折り合いが悪いのです」

「昔の事はクリスティーヌ様御本人からお聞きしました。今のクリスティーヌ様しか知りませんが、きっと楽しい時間を過ごせると思います」

「私やエメリアに行った無礼とは違い、彼女はセティーに対して、超えてはいけない、一線を超えました」


マリア様の冷ややかな声が響きました。


「マルヴィン公爵家、そしてアルベルト王太子様の婚約者として、私はクリスティーヌ様との関わりは最低限でなければいけません」


セレスティーヌ様とは、アルベルト王太子様の婚約候補者同士であった時の遺恨があるのでしょうと考えていました。

でも、それ以上の事をクリスティーヌ様がしてしまったのですね。


「リーファン姫。私達はもうクリスティーヌ様と親しくなれません。反省し、謝罪されても、全てが遅すぎてしまったのです」

「そうですか…。仕方ありませんね」


諦める私の手セレスティーヌさまが握って下さいました。


「ですが私は、先入観無くクリスティーヌ様と接して下さる方が必要だと考えています。リーファン姫、クリスティーヌ様をよろしくお願いします」

「はっはい!」


セレスティーヌ様は疎まなければならない存在であるクリスティーヌ様の事を、気に掛けて差しあげているのですね。

私はセレスティーヌ様の優しさに感動しました。


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