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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
184/235

音楽祭①

更新が開いてしまって申し訳ありません。

私達はいつも通りに模範生専用の温室に集まり、頭を悩ませていた。


「今年の音楽祭の演奏者…どうしようかしら…」


私は演奏希望者リストを眺めてため息をつく。


「今年はセティーとマリアが出ないからか、演奏希望者が少ないようだな」

「特に目立つ2人が出ないとあれば、自然と注目度も下がってしまうからな」

「2人のどちらかでも参加するなら、話が違うだろうな」


アル様とシャル様は仕方ないといった表情をしている。

2人の言葉に私とマリアは少しムッとしてしまった。


「シャル、その言葉、そっくりお返しするわ」

「そうよ。アル様とシャル様が出ないとあって男性の参加希望者も少ないのよ」

「それは、そうだが…」

「仕方ない事だ。今年は運営を行う立場だからな」

「「それは私達も一緒よー」」


マリアはナハラセスに嫁ぐ為の勉強が忙しいわ。

それに、私達はずっと注目を集めていたし、これ以上目立つ必要はないわ。

他の生徒達が輝けるようにしないと。


でも、クラスの令嬢達には『お2人がお出にならないのに、私達がなんてとんでもありませんわ』なんて言われてしまったのよね。


「まぁまぁ2人とも落ち着きましょう」

「そうだよ。とりあえず、参加者を呼びかけようよ」


エメリアとヴィクトルが私達を宥めている間、リュカが何か考えているみたい。


「この状況、下級貴族の方々には逆にチャンスなのではないでしょうか?去年は希望者が多く、実力的に高位貴族の方々ばかりになりましたし」

「リュカの言う通りですね。セティーさんとマリアさんに遠慮してる方や、昨年より注目度が下がるからと参加を渋っている方に、参加して頂けたら良いのではないでしょうか?」

「昨年と違って下位貴族ばかりといっても、マリエット様がご参加されますし、注目はされるかと」


確かに侯爵令嬢であるマリエットが参加するお陰でか1学年の令嬢達の参加希望者は一定数は居るわ。

ただ、私達の代に高位貴族が集中していて、1学年と3学年は下位貴族の割合が多いわ。

もう1人くらい目立つ方が居たら良いんだけど。


「とりあえず、参加者を募る為に、声掛けしよう」

「そうね。昨年参加していない方を中心に声を掛けてみましょう」

「同じクラスの方々にももう一度お願いしてみましょう!」


お願いして回ったおかげで同じクラスの令嬢が2人参加してくれる事になったわ。

後はクリスティーヌ様のクラスへもお願いしに行こう。


楽器や歌を習うのは女性の方が多いから男性の割合が少なくなってしまうのは仕方ないとして、あと数名参加者がほしい所だわ。


「あの、セレスティーヌ様」

クリスティーヌ様のクラスへ向かっている途中、声を掛けられたわ。


「貴方は…レニーさんね。どうかしましたか?」

「突然声を掛けてしまい、申し訳ありません」

「気にしないで下さい」

「あの、音楽祭の参加者を募っていると聞きまして、是非私も参加させて頂ければと思いまして」

「まぁ!ありがとうございます。是非参加して下さい!」

「ありがとうございます!」


この状況で自ら名乗り出てもらえるなんて有り難いわ。


「それで、楽器は何にします?それとも歌でしょうか?」

「楽器はハープにします。あの、参加にあたって一つご相談がありまして…」

「なんでしょう?」

「あの、クリスティーヌ様も参加させて頂けないでしょうか?」

「!?クリスティーヌ様も参加の意思があるのですか?」

「いえ、そうでは無いのですが、音楽祭を通じてクリスティーヌ様がクラスメイト達と交流が持てるようになるかもと思いまして」

「何か込み入った理由がありそうですね。出来たらお話しを聞かせてもらえますか?」

「はい」


私はレニーさんを模範生専用の温室に案内したわ。

案内されたレニーさんは少し困惑しているみたいだけど。


「私の様な者が良いんでしょうか?」

「ここなら他の方に聞かれる事はありませんから」


「それで何があったのですか?」

「セレスティーヌ様ならご存じだと思いますが、クリスティーヌ様は今クラスで孤立してしまっています。いえ、クラスだけではありませんね、令嬢達の間でも距離を置かれています」

「…。そのようですね」


クリスティーヌ様が今までの事を令嬢達に謝罪しているみたいだけど、遠巻きにされているのよね。


今までの事はもちろんあるけど、クリスティーヌ様が家での立場が悪いという噂があるわ。


お母様が離縁されて、家の中で血の繋がりがあるのはお父様だけだけど、厳しく管理されているだろうし。

クリスティーヌ様が家の中で軽視されていると考えられても仕方ないかもしれないわ。


「元々友好的な関係でないので仕方ありません。しかし、私の友人達やクラスメイトがクリスティーヌ様を避けているのは、私がクリスティーヌ様と揉めてしまったからです。だから、私と一緒に音楽祭で演奏したら、クラスでの立場が変わり、わだかまりが解消されると思ったのです」

「貴方はどうしてそこまでクリスティーヌ様を心配されるのかしら?今まで酷い扱いをされいただけでなく、この間は手を挙げられたと聞きましたけど?」


レニーさんが1番の被害者と言っても過言ではない筈だけど。

離れられて良かったと思わないのかしら?


「半分は自分が1番近くに居たのに、この様になるまで何も出来なかったという罪悪感があるからだと思います」

「もう半分の理由はなにかしら?」

「もう半分はカミーユ様の為です。カミーユ様はずっとクリスティーヌ様の事を心配していました。クリスティーヌ様が本来得る筈だった権利や教育を奪ってしまったのではと憂いていた事もありました。クリスティーヌ様が円満に学園生活が送れ、更生する事がカミーユ様の望みなのです。私はカミーユ様の望みを叶えてあげたいのです」


レニーさんは少し頬を赤く染めて話したわ。


「それに、そうなればクリスティーヌ様も幸せになって良い事ばかりですし」


全てクリスティーヌ様の為なんだと偽善を装って話されるより、半分はカミーユ様の為で、好きな人の為と話してくれた事に好感が持てるわね。


「わかりました。ですが、クリスティーヌ様は参加を希望されているわけではないので、説得が必要ですね」

「私から参加を促しても、嫌がるでしょう。そこでお願いなのですが、模範性達からの推薦という事にして頂けませんか?」

「それは、皆で検討が必要ですね。正式に理由がない方を推薦する事は出来ませんから」


確かに推薦も出来るわ。

だけど、それには演奏や歌唱技術に優れた上で人格に優れた方という事が条件だわ。


クリスティーヌ様の場合、演奏や歌唱が優れているかは不明だし、人格に優れているとは言えないわ。


「そうですよねー…。失礼なお願いでした。申し訳ありません」

「いいえ、推薦の件は一度皆んなで話し合ってみるわ。とりあえずレニーさんだけでも参加登録しては如何かしら?」

「はい、お願い致します」



私は次の日皆んなにレニーさんとの話を説明したわ。


「というわけなの。クリスティーヌ様に参加してもらうのに良い案があるかしら?」

「確かに推薦が1番楽ではあるが、後々面倒になりそうだな」

「それもあるが、アルとセティーはクリスティーヌ嬢と関わるのは不味いのではないか?」


シャル様の言うとおり、クリスティーヌ様に関わるのはダメよね。


皆んなにアルベール侯爵との契約については話していないけど、私達がクリスティーヌ様と関わりを絶っている事は、皆んな察してくれている。


リーゼ義姉様に頼むという案もあるけど、なんでもお任せはダメよね。


「それなら僕が話してみますよ」

「えっリュカが?」

「はい。あくまでも推薦ではなく、お勧めするという形で上手く話してみます。それに、僕なら皆様と違って後々の面倒になる事は少ないでしょうし」

「リュカ、本当に良いの?」

「はい。音楽祭的にも、クリスティーヌ様が参加されたら、侯爵令嬢お2人が出られる事になりますから、盛り上がりますし」


リュカは自信あり気な笑顔をしている。


「それじゃあリュカにお願いしてもいいかしら?」

「はい、お任せ下さい」

「嫌がられたら直ぐに諦めて良いからね」

「はい」



リュカside


「クリスティーヌ様、少しお話しをいいでしょうか?」

「貴方は確か…模範生の平民。私に一体なんの用ですの?」

「では、単刀直入に。今年の音楽祭へご参加しませんか?」

「私がですの?はぁ大方、参加者不足の穴埋めに侯爵令嬢である私に声を掛けたという事ですわね。(前の私だったら推薦されたと勘違いしていましたわ)お断りしますわ」


やっぱりクリスティーヌ様は以前より、思考が巡られる様になっている。

それに、僕を見下す発言もしない。


「参加を断る理由をお聞きしても?」

「あまり目立つ事は避けていますの」

「それでしたら、クリスティーヌ様お1人で舞台に立つのではなく、他の令嬢との連奏をお願いしたいのです。それに、学外の方々へご自身をアピールする事も出来ますよ。音楽祭をきっかけに学外の方と縁が出来る事もありますし、令嬢達と交流を深める良い機会にならばと思ったのですが」

「うっ(確かに婚約者を見つけるキッカケになりますわ。それに、お話しできる令嬢も出来るかもしれませんわ。でも、演奏会に着るドレスがありませんわ)」


クリスティーヌ様も今の現状を良しとはしていない様子だ。

もう一押しかな。


「これは個人的なお願いですが、出来たら演奏の際はこちらが用意したドレスや飾りを着用して頂けませんか?」

「貴方が用意したドレスですの?」

「はい。ウチの駆け出しのデザイナーなのですが、近々王都に店を構えるつもりなのです。侯爵令嬢であるクリスティーヌ様に着ていただければ良い宣伝になります」


駆け出しと言っても、今ウチで雇っているデザイナーの中でピカイチの才能の持ち主だけどね。


僕はクリスティーヌ様にドレスのデザイン画を幾つか見せる。


「なっ中々素敵ですわね」

「気に入って頂けたようで。彼女はアクセサリーのデザインも行いますので出来ればそちらも身に付けて頂けたら幸いです」

「(このドレスを着て、良い演奏が出来たら良い出会いがあるかもしれませんわ)そっそんなに言うのであれば、音楽祭に参加してもよろしいですわ」

「ありがとうございます。演奏楽器は何になさいますか?」

「私はハープにしますわ」

「かしこまりました。では他の令嬢とハープの連奏をお願いします」


クリスティーヌ様自身の評判は置いといておいて、話題に上がりやすいお方だし、マリエット嬢にもドレスを着て頂ける様お願いしているし、店の宣伝は上々かな。

父達が彼女の才能に気づく前に僕側に引き抜けて良かった。

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