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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
182/235

再会②

前回の続きです

クリスティーヌside


「えっ?」


私は、オリヴィアさんの言葉に衝撃を受けましたわ。


お母様が…。

来てる…ここに…。


「あっまだお会いで無かったのですね。会えると良いですね」


ハッとして慌てて会場を見渡しましたわ。

視界に捉えられる限り、お母様の姿を見つける事は出来ませんでしたわ。


王城の会場は広いですわ。

目立つ存在でない限り、簡単には見つける事は出来ませんわ。


この会場で今1番目立っているのはセレスティーヌやマリア達。

次いでレティシア様とマリエット侯爵令嬢。


レティシア様は社交界に受け入れられた様ですわ。

お義兄様の元にも令嬢達が来ていますわ。

ここで、お母様に会って悪目立ちするわけにはいきませんわ。


そもそも…私はお母様に会いたいのか…

わかりませんわ…。

あんな別れ方をして…私は、お母様を切り捨てましたわ。

それに…今の落ちぶれたお母様を見たくは…ありませんわ。


「クリスティーヌ様、ご機嫌よう」

「えぇ…ご機嫌…レニー」


レニー達が挨拶に来ましたわ。


「クリスティーヌ様、オリヴィア様とその婚約者様には、もうお会いになられました?」

「えっえぇ会ったわ」

「オリヴィア様に素敵な方が出来て喜ばしいですね」

「えぇそうね」


何が言いたいのですの?

レニーが何か謀っているに違いありませんわ!


「クリスティーヌ様の婚約者様にもいつか合わせて下さいませ」

「っ!?えぇいつか素敵な婚約者が出来ましたら」

「あら既にお決まりの方が居るのではありませんか?確か地方貴族の三男だとか。今日は一緒にいらして居ていないのですか?」

「なっなんの話ですの?私にはそんな相手居ませんわ」


あの三男とのお見合いの話が知られてしまっているいるなんて。


「あら?既にお顔を合わせは済んでいると聞いてましたのに。私の勘違いでしょうか?」

「そっそうよ。貴方の勘違いですわ」

「でもその方との話を進めているようですね。それでは失礼します」


レニーは去り際に私にだけ聞こえる様に囁きましたわ。


「(平民の夫人と呼べる日を待っていますね)」

「!?」


いったい何処まで情報が漏れてますの!?


会場ではダンスが始まっていましたわ。


会場中の注目を浴び、中央でダンスを踊っているのはやはり、アルベルト様とセレスティーヌ。

羨望の眼差しを一身に浴び、まさに社交界の中心でこの場で1番輝いている存在。


セレスティーヌだけじゃありませんわ。

マリアだってシャルエラント様と婚約し、ナハラセスの王妃となる存在。

次の曲ではセレスティーヌと交代する様に中央で踊っていますわ。

一国の王子に求婚されるほど、魅力ある女性としてマリアの地位はセレスティーヌと並ぶ程高くなりましたわ。


それだけではありませんわ。

セレスティーヌ達といつも一緒にいる、あの元平民の男爵令嬢。

彼女は血筋や地位の低さに関係なく、社交界で有名であり、人気の女性になりましたわ。


彼女と親しくなれば、セレスティーヌやマリア達と繋がりが持てるというメリットのおかげですが、並みの女性ではセレスティーヌ達の金魚のフンだと思われるだけですわ。

だから、悔しいですが、彼女にその実力があったという事。


「あぁやっぱり、輝かしい場所で、輝けるのは素晴らしいですわ」

この場から縁が無くなる未来は避けたいですわ。

この輝かしい社交界を諦める事は出来ませんわ。


ダンスをしない人は、ダンスエリアの外に集まり談笑をしているか、壁の花となるか。


お母様と踊られる方は居ないでしょう。

このままではお母様と遭遇し、騒ぎになってしまいますわ。

そうなれば、あの気色悪い男に嫁ぐ未来がより現実になってしまいますわ。


外に行きましょう。

今日は騒ぎを起こさず、最後までパーティーに参加する事が大事ですわ。

そうすれば、王家の社交界には、これからも参加させてもらえるかもしれませんわ。


「ふぅ。ここなら誰も来ませんわよね」


会場を離れる際、レティシア様はお父様とお義兄様はレニーとダンスをしていましたわ。

レニーがお義兄様とダンスしていたのは、腹ただしいですわ。

本来でしたら、お義兄様のダンスの相手は私でしたのに。

これからは、私の居場所を取り戻さないといけませんわね。


しばらく空を見上げ黄昏ていると、急に誰かに肩を掴まれましたわ。


「きゃあ!?だっ誰ですの!?」

「…クリスちゃん…」

「ひっ!?」


振り返った先に居たのは、くたびれた女性。

ドレスも古く、顔は血色が悪く、頬はコケて目元にはクマがハッキリと表れていた。


「クリスちゃん…やっと…会えた…」

「おっお母様…」


くたびれた女性は、まさかのお母様でしたわ。


「お母様…何故こちらに…」

「クリスちゃん…お母様と一緒に暮らしましょう」


お母様は私の両肩を掴み、懇願する様な顔をしましたわ。


「えっ…。いっ嫌ですわ…」

お母様は拒絶されるなんて思っていなかったのか、金切り声で叫びましたわ。

「どうして!?あんな血の繋がりの無い人達よりお母様と一緒の方がいいでしょう!?」


どう見ても生活が上手くいっていないお母様。

そんなお母様の必死さに恐怖を覚えましたわ。


「クリスちゃんが一緒に来てくれたら、お母様は助かるのよ!?母親を助けたいとは思わないの!?」

「どっどういう事ですの?わっ私にはお母様を助ける力なんてありませんわ」

「クリスちゃんを連れて来たら旦那様は優しくして下さるの!だからお母様と一緒に暮らしましょう!?」


それって、私を犠牲にして自分は助かりたいという事ではありませんの!?


お母様は衣食住をまともに与えられていないのかもしれませんわ。


確かにアルベール家では、皆から冷たい視線を送られてますが、衣食住困る事はありませんわ。

何より、お義兄様とレティシア様は私に優しくして下さいますわ。


お母様と一緒に再婚の男爵家で暮らす。

想像すると背筋がゾッとしますわ。


「嫌ですわ!今のお母様が辛い生活をしているのも、落ちぶれてしまったのも今までの行いが悪いからですわ。私はお母様の様にはなりませんわ!」

「お母様を見捨てるっていうの!?」


お母様は手を挙げ私を打とうとしましたわ。

咄嗟に身を縮め、衝撃に備えましたわ。


「いっ痛い!離しなさい!」


しかし、想像していた衝撃はなく、お母様の声が上がりました。

顔を上げると、お義兄様がお母様の腕を掴んでいましたわ。


「クリスに手を挙げようとするなど、どういうつもりですか?男爵夫人」

「母親の言うことを聞かない娘に、躾をしていただけよ!」


お義兄様はお母様の腕を離し、冷たい口調で言い放ちましたわ。


「クリスはもう貴方の娘ではありません。例え血の繋がりを主張しようと、成人したクリスは自分の意思で親を選ぶ事が出来ます」

「!?お前の様な卑しい血が入った奴にとやかく言われたくありませんわ!」

「気品とは血筋では身に付ける事は出来ない様だな。失せろ、私の前から消えろ」

「!?」


お義兄様がこのような発言をするなんて初めてですわ!

お義兄様にこのような口調で威圧的に言われ、お母様は怒りでワナワナと震えていますわ。


「お前はもう侯爵家の人間ではない。私の方が身分が上だ。今回の事、正式に訴えも良いんだ」

「なっ!」


いけませんわ!

事が大きくなれば、私にも煽りがきてしまいますわ!


「ここにはもうお母様の居場所はありません。今の家に大人しくお帰り下さい。もう2度とお会いする事はないでしょう」

「なっ…」


「お義兄様、行きましょう」

私はお義兄様の腕を引き、その場を離れますわ。


「クリス。怪我はない?」

「大丈夫ですわ。それよりお義兄様はどうしてここに?」

「レニーがサンドラ様を見掛けて、もしかしたら、クリスに会いに行ったかもしれないって教えてくれてね。心配で探したんだよ」


レニーが!?

どうして!?


まぁとにかく、助かりましたわ。

このまま何事もなくお義兄様と会場に戻り、パーティーが終わるのを待てば良いですわ。


その後何事もなくパーティーが終わり、屋敷に帰る事が出来ましたわ。

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