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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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幼馴染

「さぁレオ。今日はお友達に会いに行きましょうね」

「ついにこの日が来たのね。レオ君、お友達に会えるの楽しみね」

「あーい」


レオ君を抱き上げているお母様と私はウキウキとしているわ。

なんたって今日は、レオ君とアナスタシア姫が会う日なの!

レオ君と姫様が仲良くなれると良いな。


権力が集中し過ぎてしまうから、2人は婚約する事はないけど、幼馴染になれたら嬉しいわ。


「レオ、気負うことはないよ。今日はただの顔合わせだし、ご学友になるというわけではないんだしね」

「あーい。りーねぇー」

「リーゼ。今日はありがとう。無理を言ったね」

「いえいえ、ジルの婚約者として招待して頂けたのですから、光栄ですわ」

「りーねぇー」

「レオ様、こんにちは」


リーゼ義姉様はレオ君を抱っこする。

レオ君はすっかりリーゼ義姉様に懐いたみたい。


王家所有の庭園でランチ会。

国王陛下とお父様以外が参加するの。

リーゼ義姉様もお兄様の婚約者として、王妃様に招待されたわ。



「エレオノーラ達ぃようこそぉ」


私達を出迎えてくれたのは王妃様とアル様、それとアル様に抱かれたアナスタシア姫。


「アイリーン久しぶりね。姫様も元気そうね」

「元気よぉー。元気過ぎて困っちゃうくらいなのぉ。エリザベートさんも来てくれてありがとうぉ」

「本日はお招き頂きありがとうございます」


リーゼ義姉様はレオ君を抱えたまま王妃様にお辞儀をする。


「そんな畏まらないでぇ。今日は王妃としてじゃなくてぇ、親友の家族と遊ぶただのママよぉ!レオったらさっそく新しいお姉さんに懐いているのねぇ」

「はい。ありがたい事に私に怖がる事なく、『りーねぇー』と呼んで下さいます」

「あら、もう人の名前を呼べるのねぇ!凄いわぁ!」


レオ君はもう少しで1歳になるけど、やっぱりレオ君は天才だわ!


姫様とレオ君を見ると、姫様は今ハイハイから掴まり立ちを覚えた所。

レオ君は歩きが上手くなってきた所。

月齢差だわぁ。

赤ん坊の2人を見るとほっこりするわ。


姫様はレオ君へ目を輝かせて視線を送っているわ。

レオ君に興味を示してくれたみたいね。

あっハイハイして来たわ!

可愛いぃ!


さぁてレオ君の反応はどうかしら!?


レオ君は姫様とは裏腹に、ぷいっと顔を逸らして別の方向を見てしまったわ。


レオ君は向かってくる姫様から離れ、お菓子の入ったバスケットを持って私の所へ来た。


「ねぇーね!どーじょ」

「にぃーに。りーねぇー。かーしゃあ。どーじょ」

「おーひしゃま」


「わぁありがとうレオ君」

レオ君は皆んなにクッキーを配ってくれた。

アル様以外…。


「んっ」

「あっああ。ありがとうレオ」


私が気にしていたら、レオ君がアル様にクッキを差し出したわ。

相変わらず、名前は呼ばないけど、良かった。


「アル様、レオ君がごめんね」

「ハハ、相変わらず、好かれていないんのだな」 


アル様が乾いた笑いをすると、お兄様もやれやれといった表情をしている。


「姉を愛する弟というのはそういうものですよ。私もマティアス殿から厳しい視線をもらいますし」


「まぁ!やっぱりマティーが失礼な事を?弟に代わって謝罪しますわ」

「大丈夫だよ。大事な姉を奪っていく者への当然の仕打ちだよ。そうですよね?アル様」

「あっああそうだな」


「えぇ可愛い妹を奪っていくのですから、当然ですよね」

お兄様はレオ君を抱きあげ、2人とも不敵な笑みをアル様に向ける。


「2対1の私は辛い立場だな」

アル様は囁くように呟いた。


「きーやぁーあー」


姫様がレオ君に向かって手を伸ばしているわ。

それに対してレオ君は興味を示さずにいるみたい。


まぁまだ赤ん坊だもの。

一緒に遊ぶとかは難しいし、レオ君の周りには大人がたくさん居るから大人の方が慣れてるし。


「レオ君、アナスタシア姫よ。仲良くしようねー」

「ひーめ?」

「そうお姫様よ。さぁ遊びましょう」

「ねぇーね。ねぇーね」


姫様にレオ君を近づけさせたけど、私の所へ戻ってきてしまったわ。


その後もレオ君が姫様に興味を示さないまま、しばらくが経った頃、姫様がとうとう泣き出してしまったわ。


そりゃあ、一生懸命にハイハイでレオ君に近づくのにレオ君が離れていくんだもん。

泣くわよね。


姫様の乳母やお世話係のメイド達が姫様をあやすけど、姫様は泣き続けているわ。


「ほらレオ君、姫様の手を握ってあげて」


レオ君を抱き上げ、姫様に近づかせる。

すると姫様は泣き止み、レオ君の手を握ってニコニコ笑う。


「良かった。姫様の機嫌が直ったみたい」

その様子をみてお母様と王妃様が近づいてきたわ。


「ふふ。今は無理でも成長していくうちに仲良く出来るでしょう」

「そうねぇ。そうなると嬉しいわぁ」


そうなると良いけど、成長して大きくなると、同性の友達と過ごす事が増えると思うわ。


お披露目の年を過ぎたら、レオ君にお友達がたくさん出来るかな。


しばらく和やかかな雰囲気に包まれ、皆んなで談笑し、お茶会はお開きとなった。


「レオ様、今度私の義弟とも会って下さいませ」

「あーい」


リーゼ義姉様の義弟、マティアス様かぁ。

レオ君にとっては義兄になるのよね。

私もだけど、仲良く出来ると良いわね。



それから、レオ君とアナスタシア姫は定期的に会うこととなったわ。

相変わらずレオ君は姫に興味ないみたいだけど。



「アナスタシアはレオを気に入ったようだな。レオに会うと機嫌が良いらしい」

「そうみたいね。逆にレオ君は姫に興味を示さないみたいだから申し訳ないわ」

「別に無理に仲良くしなくても良いさ。アナスタシアとレオは婚約する事はないからな。それに、もう少し大きくなったら、別の家の子供達とも面会させるつもりだからな」


そっか姫様にはレオ君の他に幼馴染が出来るのね。

その方が良いかもね。

側から見れば権力が集中し過ぎてるし。


「はぁ。父上はアナスタシアに婚約者は不要などと言っていて、今からこれでは、先が思いやられる」

「まぁまぁ女の子だから仕方ないわよ」


アル様はため息をついて困った表情をしているわ。


「そうは言っても、父上が決めないままでは、いずれ私が決めねばならなくなる。私達の子供が女児の場合、アナスタシアと年齢も近いだろうし、条件に差が無い男児を見つけるのに苦労するだろう」

「!私達の…子供…。そっそうね!それは困るわよね」


そっそうよね。

来年の卒業後にはもう結婚するんだし、子供の事だって考えるわよね。

後継者は必要なんだし、がっ頑張らないと。


「突然子供の事を言い出してすまない。セティーには負担な話しだと言うのに。ただこれだけは言っておこう。後継者については気負う必要はない」

「えっ!?でも後継者は必要でしょう!?」

「私にはアナスタシアや準王族である者たちも居る。それに、継承順位は低いがジルも居るしな。だから心配する必要はない」


アル様、大丈夫なはず無いのに。

私の為に…。


「ありがとう…。アル」


私はそう小さく呟いた。

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