お茶会
マリアと王宮の廊下を歩いていると、目の前に金髪縦ロールに青い目の令嬢が現れた。
うわっ!金髪縦ロール!
本当にいるんだ!
えっなんだろう?
あの子こっち見てる?
するとこっちに、カツカツと靴を鳴らしながら向かってきた。
隣に居たマリアが体をビクッとさせて、私の後ろへ逃げるかのように動きをする。
令嬢が目の前まで来て口を開く。
「あーらマリアじゃない。あなたのことだから来ないと思ってたけど、相変わらず人の後ろにいるのねぇ。
所で、あなた誰ですの? 見かけない顔ね。名乗りなさい!」
はっ……?
えっなにこの子……?
いやいやいや!あなたこそ誰よ!?
すっごい上からの物言い。
悪役令嬢のセレスティーヌである私が言うのもなんだけど、悪役令嬢みたいな子だな。
なんか腹立つけど、イザベル夫人はこんな時こそ礼を尽くして牽制しろって言ってたよね!
「申し遅れました。わたくし、マルヴィン公爵が娘、セレスティーヌ・マルヴィンと申します。以後お見知り置きを」
よし、完璧なはず!!
私は余裕を感じさせる笑顔を作り、相手をみる。
「フン!あなたが、あの、セレスティーヌね。私はクリスティーヌ、クリスティーヌ・アルベール。由緒正き、侯爵令嬢ですわ!まったく、その気がないなら、さっさと辞退なさってくださいませ。アルベルト様は私がしっかりとお相手しますので」
うわぁ、何様?
ゲームのセレスティーヌでもここまで酷くないとおもうけど。
私と名前似てるの嫌だなぁ。
というか、名前だけでなくて服装も似てるな。
私たち2人はブルーのドレスだ。
私は綺麗なブルーのドレスに白いレースがあしらってあるドレス。
クリスティーヌ様は派手なブルーのドレスにフリルとレースが盛り盛り、宝石もギラギラしている。
うん、これと一緒にされたくないな。
離れてよう。
「ふふ、公爵令嬢ですのにずいぶん、控えめな装いですわねー。私のように煌びやかにはなりませんのね。お可哀想に。」
これはケンカを売られてるな。
でも、こんな人相手にするだけ、私の価値が下がる気がする。
ここは無視しよう。
「マリア、そろそろ遅れてしまうわ、行きましょう」
「はっはい」
「なっ!?ちょっと!」
クリスティーヌ様がキッと睨んでこっちを見ているが無視する。
そしてマリアと会場についた。
会場は全体的に長方形でセットされ、左右と奥に長椅子が置かれている。
すでに他の令嬢達が居るが、みんな手前にいる。
それは手前の中央に1つだけ違う、1人掛け用の椅子が置かれているからだ。
おそらくそこがアル様の席なのだろう。
みんなアル様の近くに座りたいのか、その椅子の近くの長椅子は、令嬢達で埋まっていた。
あぁー出遅れたか。
まぁ、仕方ないよね。
マリアとおしゃべりしてて、結局時間ギリギリだし。
すると、突然クリスティーヌ様が一番近くに座っていた令嬢の所へ歩きだす。
「そこのあなた!どきなさい!!」
クリスティーヌ様はその令嬢に向かって言い放った。
相手はイキナリ言われ、言い返せないでいる。
「私は侯爵家の令嬢なのよ!ここに座るのは私の方が相応しいわ!わかったならどきなさい!」
言い返せないでいる相手にさらに追い討ちをかける。
相手の令嬢は涙目になり、仕方なくその席を立ち、他の席に移る。
うわっ可哀想。
私とマリアは奥の長椅子に座ることにする。
近くの令嬢がさっきのクリスティーヌ様を見て、席を譲ろうとするが、丁重に断る。
わたし達の方が後から来たのだから、余った席に座るのは当たり前だ。
3人掛けの長椅子に座わると、すぐにアル様が来られた。
アル様は入り口からキョロキョロ辺りを見渡す。
全体を見渡した所で、私と目が合った。
すると、1人掛けの椅子には目もくれず、私とマリアが座っている方へ来た。
「やぁ、セティー。お久しぶり。私もここに座らせて頂いていいかな?」
「えっ、ええもちろんです。しかし、あちらの席に座られなくて良いのですか?」
「別に私の席と決まっているわけではないですよ。私はセティーの隣がいいです。」
ざわっ!
ヒソヒソ…
うっ!アル様が私を愛称呼びしていることと、私の隣がいいと言ったことで、かなり注目されてる。クリスティーヌ様なんて特に怖い。
般若みたいだ。
隣のマリアも震えてるよ!
そのままアル様は椅子に座り、左からアル様、私、マリアの順で座っている。
そして、従者の方が進行を務め、お茶会が開始された。
「セティー、中々会いに行けなくて申し訳ない。お元気にしてましたか?」
「いえいえ、アルベルト様こそ、お元気でしたか?剣術のお稽古を始められたと聞いたので、お疲れではないですか?」
私は公的な場なので、愛称ではなく、アルベルト様と呼ぶ
「セティー、アルで良いと言ったでしょう?この場でもそう呼んでほしいです。剣術の稽古は楽しいですよ。それに一緒に稽古をする者も居るし。確かそこにいるマリア嬢はヴィクトルと双子でしたね?」
「えっはっはい、そうです。あっ兄がお世話になっています。」
急に話題が振られ、マリアは慌てて返事をする。
「こちらこそ、お世話になっています。ヴィクトルには色々と助けられてますから。」
「いっいえ、そっそんな、恐れ多い」
マリアは周りからの視線を気にして、萎縮してしまっている。
ここは、マリアを庇わなきゃ!
「ヴィクトル様には先程お会いしましたわ。気さくな方で、ヴィと呼ばせて頂くことになりましたの」
私がそう言うとアル様から一瞬笑顔が消える。
「へぇーいつのまに親しくなったんですか?」
あれ?
冷やっとする?
なんだかアル様から冷気が…
「マリアとお友達になったので、仲良くさせていただくことになったのです。今度、2人の屋敷に遊びに行く約束をしましたの!」
「へぇーそれは良かったですね」
あっあれ?
貼り付けた笑顔がなんだか怖い。
私何かした!?
「アルベルト様!!」
その時、クリスティーヌ様が席を立ち、アルベルト様に話しかける。
「なんです? クリスティーヌ嬢。話しの最中なのですが」
「まぁ。アルベルト様はお優しいから、そこの人達に構ってあげているのだと思いますが、そろそろ本来の席に、こちらに来て下さい!」
その言葉にアル様から笑顔が消えた。
「なんですか突然。私がどこに座ろうと自由です。貴方に命令される筋合いはありません。それにこちらの2人にも失礼です。彼女達は公爵家と侯爵家の御令嬢ですよ。貴方も侯爵家の人間ならば礼儀を覚えて下さい」
アル様の言葉にクリスティーヌ様は顔を真っ赤にし、椅子に座る。
周りの令嬢達はクスクス笑っている。
まぁ、いい気味ではあるよね。
「あっあのアル様、私何か気に触ること言いましたか?」
「ん?セティーには怒ることなんてないですよ」
私はコソッと小声でアル様と話す。
「先程ヴィクトル様の話しをした時になんだかいつもと違う気がしまして」
「あぁ、それは貴方とヴィクトルが仲良くなったと聞いて。ヴィクトルのことだから、かなり親しく接していたのだろうと想像したら、なんだか、取られてしまうような気がして。すいません。」
そう言うアル様はいつもの笑顔になっていた。
ん?取られる?
あぁ!ヴィクトルをか!
そうだよね。ゲームでも2人は親しい仲だったし、親友を取られてしまうと思ったのか!
ふふっアル様可愛いなぁ。
その後は令嬢達の自己PRを1人1人行なうこととなった。
落ち込んでいたクリスティーヌ様は復活したのか、かなり熱の入ったアピールをしている。
そして私の番になった。
「私、セレスティーヌ・マルヴィンと申します。私は今教会や孤児院への支援活動を行なっています。将来人の為に何か出来る人になりたいと思い、今は福祉に力を入れています。皆様にも活動の一環でご協力をお願いすることがあると思いますが、何卒お願い致します。」
他の令嬢達が特技やらチャームポイントやら言っていたので、特に言うことがない。
そこで、今やってる活動と皆さんへのお願いをする。
今後チャリティーバザーの出し物とかお願いするかもだしね。
「セティーはもう奉仕活動をしているのですね、素晴らしいことです。」
「いいえ、奉仕活動と言っても出来ることは少ないのですが」
「わっ私もその心がけが立派だと思います!」
アル様とマリアに褒められ、なんだか照れ臭い。
そうして、お茶会はお開きとなった。




