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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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婚姻成立②

ジェラルドは話しかけてきたマティアスに対し、笑顔で答える。


「マティアス殿。エリザベート嬢なら支度中ですよ」

「私は貴方に話があるのです。単刀直入に聞きます。本当に義姉様を愛しているのですか?」

「もちろん愛している。それに尊敬もしている。彼女となら、互いを尊重しながら生きていけると思っているよ」

「僕を使って義姉様を脅したようですが?」

「あぁすまないね。ああでも言わなければ自分がリーゼだと認めてもらえないと思ってね。彼女と約束して通りマティアス殿の事業には手を出さないよ」

「本当に義姉様を愛していたら、そんな手段は使わないのでは?」


ジェラルドは溜息をついてマティアスの問いに答える。


「早急に話を纏めなければいけなかったからね。そうでなければ彼女は早々に他国での婚姻を結んでしまう。そう例えば…ジュレミー王子とか」

「っ!」

「マティアス殿は私よりもジュレミー王子の方が良かったかな?それとも他の他国の貴族の方が?」

「そんな訳がない!あんな人の元へ嫁ぐなど…」

「そうだろうね。争いに巻き込まれるのは必至。そうでなくても政治の駒に使われてしまう」


ジェラルドとマティアスは険しい表情をする。


「私とマティアス殿に共通している事は、彼女の幸せを願っているという事だね」

「なにを当然の事を…」

「それなら相手が私でも構わないね?」

「なっ!?」


「私以上の男が居ますか?」

ジェラルドは飛び切りの笑顔をマティアスに見せ、マティアスは顔を引き攣らせる。

「ずいぶんと御自身を過剰評価される様ですね」


「公爵家嫡男として生まれ、研鑽を重ね、これまで相応の評価を残してきたと自負しているよ」

「まぁ貴方のこれまで功績は否定しませんが」

「爵位•財産•社会的信用•今後の将来性どれを取っても他の者より秀でていると自負している。そして何より私なら彼女を守れる」

「義姉様を守れる…」


「彼女は誰かに守ってもらわないといけない程、弱くは無いですが、政治や他の貴族から守ります。それに、令嬢達の争いは我々男性が考えているよりも苛烈ですから」

「本当に義姉様を守れますか?」

「名に誓って。どうやらマルヴィン家の男は愛する人が傷つけられるのが酷く許せないらしい。ジュレミー王子にはしっかりとお返しをさせて頂くよ」


表情を変えずに話すジェラルドにマティアスは少し恐怖を覚える。


「ジェラルド様お待たせ致しました。あら?マティーがどうしてここに?」

「えぇっと」

「貴方をよろしく頼むとお願いされていた所ですよ。義姉思いの良い弟君ですね」

「まぁ!」

「僕はこれで失礼します」


マティアスはバツが悪そうな顔をしてその場を去る。


「ジェラルド様、マティアスが失礼な事を仰いませんでしたか?マティアスに代わって謝罪致します」

「なにもありませんでしたよ。それより、座って下さい」


ジェラルドはエリザベートに自分の隣に座るよう促す。

エリザベートは初めて用意されていたのがベンチ1つで椅子がない事に気づく。


「これは…。ウチのメイドがとんだ失礼を!今すぐ椅子を用意させますわ!」

「構いませんよ。それとも私のとなりは嫌ですか?」

「そっそんな事はありませんわ」

「良かった」


ジェラルドはエリザベートの手を握り自身の隣へと誘導し座らせる。

そしてそのままエリザベートの腰を抱き、自身の方へ引き寄せた。


「っ!ジェラルド様!?」

「嫌ですか?」

「いっいえ、そんな事は」

「それなら良かった。私達が親睦を深められる様にと、メイド達の計らいを有り難く受け取って、貴方との距離を近づけたいのです」


ジェラルドはエリザベートに顔を近づけニコリと笑う。


「ジェラルド様…」


エリザベートは顔を赤くする。


「ジルとお呼び下さい。私も貴方を愛称で呼ばせて頂きたい」

「ジェラルド様」

「ジルと」

「ジル様…」

「はい。リーゼ」

「!?」


「考えてみればエリザベートという名の愛称『リーゼ』ですね。どうして気づかなたかったか、自分が恥ずかしい」

「そんな事ありませんわ!私が、私が愛称で呼ばれたいなどと欲を出したのがそもそもの…!?」

ジェラルドはエリザベートの口に指を当て、言葉を遮る。


「呼びますよ。これからもたくさん。リーゼ、私を選んでくれてありがとうございます」

「私の方こそありがとうございます。ジル様」


エリザベートは涙を潤ませながら笑顔で答える。


「出来れば敬語もなしで。私達は恋人同士なのですから」

「はい…。あぁ夢の様ですわ」

「夢ではありませんよ。リーゼ」

「はい、ジル様」

「様もいりません」

「はい、ジル」


名前を呼ばれたジェラルドは嬉しそうに笑った。


「ジルの好きなお色は何色ですの?」

「色かぁ。青や緑、あとは白色の服を着る機会が多いけど、特段好きというわけではないし」

「そうですの」

「あっでも貴方のこの艶やかな黒と赤は好きかな」


ジェラルドはそう言ってエリザベートの髪にキスをした。


「!?こんな風に甘い台詞を言われますのね(あぁ私ときたら、可愛げのない事を)」

「誰にでも言っている様に見えているなら心外だね。貴方にだけ、愛するリーゼにだけだよ」

「っ!あまり揶揄わないで下さいませ」


顔を赤くするエリザベートにジェラルドはクスッと笑う。


「ごめん、揶揄っているわけではなくて貴方が可愛すぎて」

「っ!?しっ心臓が持ちませんわ。貴方は自分が素敵すぎると自覚なさって」

「その様に思ってくれているなんて、嬉しいよ」

「っ!(あぁこれが惚れた弱みというものなのですわね)」


それから2人はお互いの事を話し合った。

その間エリザベートは顔を赤くしたままだった。


-----------------------

「セティーこの方が私の婚約者になる方で、兄様の初恋の人だよ」

「お兄様の婚約者がリーゼさん!?という事はリーゼさんが初恋の人なのですね!」


お兄様から初恋の人を見つける事が出来たと聞いていたけど、まさかリーゼさんだったなんて!


「あの、セレスティーヌ様申し訳ありません」


リーゼさんはおさげにしている髪を解き、メガネを外す。


「えっ?エリザベート様!?」

「ずっと騙していて、申し訳ありません」


エリザベート様はその場で深く頭を下げ、謝罪したわ。

隣に居るお兄様はとても心配そうにエリザベート様を見てる。

2人の中で解決しているなら、私が口を出す事は無いわよね。

それにエリザベート様ならお兄様を渡せるかも。


「えぇと。身分詐称していた事はお兄様と既に解決済みでしょうから、私からとやかく言うつもりはありません。お兄様、エリザベート様、ご婚約おめでとうございます」

「セティー。ありがとう」

「セレスティーヌ様、ありがとうございます」

「セティーとお呼び下さい。家族になるのですから、私もエリザベート様の事をお義姉様とお呼びしても良いですか?」

「もちろんですわ!」


「一緒にお茶やお買い物がしたいですね」

「えぇ!ぜひ!!」

エリザベートは目を輝かせて答えた。


それからジェラルドは王宮で婚約式の準備を進めた。

大規模な婚約式であり、尚且つ主役であるジェラルド自身が準備を勧めているとあって相手が誰なのかと、貴族達があれこれと探りを入れた。


「相手は私の『初恋の君』ですよ。招待状が届くのをお待ち下さい」


ジェラルドは探りを入れられる度にその様に応え流していた。


令嬢達はセレスティーヌの元に集まった。


「セレスティーヌ様!本当ですの!?本当にジェラルド様が結婚相手をお見つけになりましたの!?」

「えぇ本当ですよ。やっと初恋の方と結ばれたのです。長くすれ違い、結ばれる事が難しいと思われましたが、やっと全ての手筈が整ったのです」


令嬢達はセレスティーヌの言葉に顔を青くする。


「「「ジェラルド様の…初恋の方…」」」

「えぇ。とても綺麗で聡明な方なんです。お兄様が長年思い続けた素敵な方ですから、皆さん祝福して下さいね」


「「「えぇ…もちろん…ですわ」」」


ジェラルドに恋していた令嬢達は肩を落としてセレスティーヌの元を去り、ジェラルドの婚約者が初恋の相手であり、政略ではなく恋愛結婚であると噂が流れた。

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