表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
166/235

それぞれの道へ

シャルエラントside


ヴィの涙。

初めてみたな。

アルやセティーも見た事はないだろうな。

両親とマリア以外で俺が初めてかもしれないな。

生涯の友に深く感謝しなければな。


噴水の前で例のドレスを着たマリアはとても綺麗だ。

懐かしむ様な顔で空を見上げている。


ここはセティーと出会った場所だと聞いた。

きっと出会った時を思い出しているんだろうな。


これからは、俺と一緒に思い出を作ってくれると良いのだが。


「マリア」

「っ!シャル様!?えっとこのドレスは…」

「美しいな。良く似合ってる」

「えっとありがとう(ここにシャル様が居るのは絶対にヴィの手引きよね)。じゃあ私はそろそろ」


シャルエラントは帰ろうとするマリアの手を握る。


「マリア。話があるんだ」

「なっ何かしら」



「好きだ」

「っ!」

「好きなんだ。マリアと結婚したい」

「えっと…」

「俺と生涯を共にする事は、マリアにとって、辛い事もあるだろう。だが、どうしても諦められないんだ。それ程マリアを愛している」


シャルエラントは跪きマリアを見つめる。


「俺を選んでくれ。生涯マリアの味方でいる。だから俺の手を取って俺と生きる事を選んでくれ」


もっと王子らしいスマートな言葉を用意していてた筈なのに、出てきたのは飾り気のない素の言葉だった。


俺なりにマリアに求愛を示してきた。

それでもダメなら諦める…なんて事、思える筈がない!

そう思ったら王子らしい俺ではなく、素の俺が出てきた。


マリアの顔を見ると目が潤んでいる。


「私、今までずっと自分の気持ちに蓋をしてたの。でもヴィが背中を押してくれたから、伝えられるわ」


マリアはシャルエラントの手を握り小さく答える。


「好き…私もシャル様が好き…キャッ」


マリアの言葉を聞いた瞬間、シャルエラントはマリアを強く抱き締める。


「シャル様…」

「マリア、渡したい物があるんだ」


シャルエラントは再び跪き、マリアの靴を脱がせる。


「!?シャル様何を!?」


マリアは首まで赤くさせ、驚いている。


この国は足を出さないからな。

恥ずかしいのだろうな。


シャルエラントは懐から取り出した靴をマリアに履かせる。


「良かった。ピッタリだな」

「シャル様この靴、もしかして」


「俺と共に長い人生の道を歩んでほしい。生涯愛し、共に支えていく証にこの靴を贈る。どうか受け取ってほしい」

「ナハラセスの求婚の仕方…」

「やはりマリアは知っていたか。それで返事がほしいのだが」


マリアは涙を流しながら答える。


「年に…一度は…里帰りさせて」

「もちろんだ」

「こちらのウェディングドレスも着たいの」

「あぁ。両国それぞれで式を挙げよう」


マリアの純白のウェディングドレス姿は俺も見たいしな。


「私にナハラセスの官僚試験を受けさせて」

「ん?」


何故ナハラセスの官僚試験を?


「私に外交の仕事を任せる事も出来るって前に言っていたでしょう?私はナハラセス初の働く王妃になるわ。その為には皆んなに実力を認めてもらわないと」

「だからと言っても、試験を受ける必要はないだろう」


マリアに余計な苦労は掛けたくはない。

マリアが優秀である事は学園の成績で十分証明出来る。


「ナハラセスでは女性が学びを得る機会が少ないわ。私が女性でも男性と同じように学ぶ事が出来ると証明してみせるわ」

「マリア…」

「私にシャル様の妻に、王妃になる為に頑張らせてくれる?」


マリアは本気で俺の妻に、王妃になる事を考えて選んでくれたのだな。


「俺もマリアの努力に恥じない王になろう」


俺とマリアでナハラセスをより良い国へ変えていこう。


「シャル様。不束者ですが、末永よろしくお願いします」

「もちろんだ。死がふたりを分かとうとも、離しはしない。未来永劫、マリアの夫は俺だ」


俺はマリアを抱きしめた。

するとマリアは俺の背に手を回してくれた。


抱きしめ返してもらえたのは初めてだな。

自分の腕の中にいるマリアへの愛しい気持ちが溢れていく。


顔が見たい。

どんな表情をしているだろうか。


「マリア」

名前を呼ばれ、マリアが顔を上げ、視線が合う。


潤んだ瞳に頬を赤く染め、恥じらいと嬉しさが混じり合った表情。

なんて愛らしいんだ。


お互い言葉を発せず、自然とお互いの顔を近づけ、口付けを交わす。


マリアはさらに顔を赤くして恥じらいの為か俯いている。

そんなマリアの顔に手を当て、顔を上げさせもう一度口付けをする。


唇以外にも額、鼻、頬と口付けしていく。


「シャル!?もっもう私、限界…」

「すまない。嫌だったか?」

「いっ嫌じゃないけど、こんなたくさん…恥ずかしい…」

「少しずつ俺の愛情表情に慣れてくれ」

「(一生慣れそうにないわ)」


「改めてエルランジェ家へ挨拶がしたい。ヴィや皆にも発表したい」

「ありがとう。私もセティーとエメリアにはたくさん相談に乗ってもらったからちゃんと話したいわ」

「ああ。それに準備が整い次第、婚約を公表したい。その際は申し訳ないが…「今度は婚約者としてナハラセスへ行けるのね」


婚約発表の為に俺の国へ来るのは大変だろうに。

婚約者として行ける事が嬉しそうに話マリアが本当に愛おしい。


「その時は母様を紹介させてくれ」

「えぇ!是非お会いしたいわ!」


シャルエラントとマリアは2人でその場を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ