お友達①
私は8歳になった。
あれからアル様とは、お兄様に会いに来た時に、少しお話しをしている。
他に、手紙のやり取りをしていて、良好な関係だと思う。
たぶん。
そうそう、あれからついにお勉強や刺繍、絵やお花などの勉強が始まり、公爵令嬢として頑張っている。
それと、少し前から教会や孤児院へのボランティアを始めた。
ノブレス・オブリージュというやつだ。
今はチャリティーバザーに、昔買い漁ったドレスの布地でクッションなどを作り、刺繍をして出している。売り上げは全て寄付されるので、頑張って作っている。
これは私の刺繍の練習にもなっていて、私も助かっている。
他には、孤児院の子供たちに文字を教えている。
孤児院の子供達は可愛いし、勉強を教えるのは私にとっても復習になるので、苦にならない。
それから、私はある本にハマっている。
それはいわゆるロマンス小説というものだ。
他にも英雄物語も好きで読んでいる。
元々アニメや漫画、ゲームが好きで、物語に飢えていた私はどっぷりハマった。
ただ一緒に感動を分かち合うお友達がいないのが寂しい。
本来ならお母様達のお茶会に参加し、お友達を作るのだが、私はあまり参加していない。
悪役令嬢のセレスティーヌは、たくさんの友達というか手下の令嬢を引き連れてたけど、私はそうはなりたくない。
なので、お母様が一緒にお茶会へ行こうと言っても断っている。
そんな感じで3年が過ぎたある日、王宮から招待状が届いた。
お父様によると、アル様の婚約者候補達が招待され、一緒にお茶会をする。
いわゆる顔合わせというものらしい。
当初15人いた候補者は現在私を入れて10人になった。
ここでもうちょっと絞る予定なのかもしれない。
私は当日、早めに王宮に着いたため、庭園を見せて頂くことにした。
やっぱりここの庭園は素敵だなぁ。
『アリスとエリスのお茶会』に出てくる庭園みたい!
『アリスとエリスのお茶会』は私が今ハマっている本で、令嬢のアリスと平民のエリスの友情物語だ。
そんなことを考えていると、噴水の所に女の子が1人俯いて座っているのが見えた。
ん? どうしたんだろう??
ここに居るって事はお茶会の参加者なのかな?
気分でも悪いのかな?
「あの?どうかされましたか?」
「えっ!?あっ、わっわたし?」
わぁ、可愛い子だな。
私が話しかけたことで、驚いて顔をあげた子は、赤い髪に緑の目、タレ目で、ちょっと気弱そうな印象を受ける可愛い子だった。
緑のドレスがとても良く似合っている。
「えぇ、あなたよ。俯いてたので、気分でも悪いのかと思いまして」
「い、いえ、あっ、あのだっ大丈夫です。ただ、この庭園を眺めてただけで」
「そうでしたの。あっ名乗るが遅れました。私はセレスティーヌ・マルヴィンと申します」
「あっ!わ、わたしはマリア・エルランジェです」
私が名乗ると、相手も慌てて名乗る。
やっぱり、婚約候補者の1人!
それも有力候補とされている内の1人だわ!
可愛いなぁ。
こんな可愛い子とお友達になりたいけど、お互い候補者だからなぁ。
残念だ。
「私も早く来てしまったので、庭園を見学させて頂いてたんです。ここの庭園は素敵なので」
というとマリア様も
「ほっ本当に素敵ですよね。アリスのお庭みたい。あっ!今のは忘れてください!」
「!?マリア様!それって『アリスとエリスのお茶会』のアリスのお庭のことですか!?」
私が興奮気味に聞き、マリア様は戸惑っている。
「えっ!?あっはい。そうですが、ご存知なのですか?」
「えぇ私の大好きな本ですもの。マリア様はこう言った本をよくお読みになりますか!?」
もしかしたら、同志かも!?
「はっはい。わ、わたし、物語の本が好きで、よく読みます」
やっぱり!
あぁ、こんな所に同じ趣味の女の子が居るなんて!!
「まぁ、私もなんです!あの、良かったらお友達になってくださいませんか!?」
「えぇ!?おっお友達ですか!?」
やっぱり同じ候補者だからダメなのかな!?
でもお友達になりたい
「えぇ!私、本のお話しが出来るお友達が欲しかったのです。マリア様が嫌でなければ、お願いしたいのですが?」
「そっそんな!わっ私なんかでよければ喜んで!」
やったぁー!凄く嬉しい!
「あぁ、良かった!では、私のことはセティーと呼んでください、マリア様」
「えっ!?そんな、公爵令嬢のセレスティーヌ様を愛称呼びなんて、いいのですか?」
「もちろん!良いに決まってます!」
「あっありがとうございます!あっ、わっ私に様はいりません!私のこともマリアと呼んでください」
「マリア!ありがとうございます!」
やったー!今の人生初のお友達だよぉー!
嬉しすぎぅ!
これから一緒に、本の感想を語ることが出来る!
長くなりそうなので続きます。




