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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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ナハラセス③

誤字脱字の報告ありがとうございます!

翌日私達はそれぞれの部屋を見て周り、最終的にマリアが泊まっている部屋で過ごしていた。


「わぁ!マリアさんのお部屋も素敵ですね!」

「全ての色合いが完璧だわ!シャル様が用意してくれたのよね?」

「うっうん。そう言ってたわ」

「シャル様、これ全部マリアさんを思って準備したんですね。凄いです!」


マリアは顔を赤くする。


コンコン。


「皆さんお待たせしました」

「リュカ待っていたわ。丁度お茶の用意も出来た所よ」

「ありがとうございます」


リュカが箱を抱えて、部屋に入ってきた。


「それがリュカが言ってた見せたい物なの?」

エメリアはリュカの持っている箱を指差し、問いかける。

「うん、そうだよ」


リュカが箱から取り出した物は風鈴だった。


「わぁ綺麗ね。でもこれは何に使う物なのかしら?」

「コップにしては、紐がついてますし」


そういえば、この世界で風鈴を見た事が無かったわ。


「これは窓に吊るして、風で音が鳴るのを楽しむ物です」


リュカが手で風鈴を鳴らすと部屋に綺麗な音が響いた。


「綺麗な音」

「なんだか涼しげな音ね」

「ありがとうございます。これをエリザベート様へのお見舞いの品にしようかと思いまして」

「それは良いわね。私達のと一緒に届けてもらいましょう」


エリザベート様から、お会い出来そうにない為、訪問をお断りするという内容の手紙が返ってきた。

その為、お見舞いの品や身体に良い食べ物を届けてもらう事にした。


「それにしても、ヴィ君は凄いですね。ここでも鍛錬するなんて」


エメリアの言う通り、ヴィクトルはこの灼熱の太陽の下で鍛錬をしているわ。


「ヴィったら、こういう時くらい休めばいいのに」

「まぁまぁ。一日休んだら、取り戻すのに3日は掛かると言うしね」

「ヴィ様の騎士道精神は凄いですね」


アル様とお兄様、それにシャル様は会議。

リュカもこれから商人組合へ出掛けるし、ヴィクトルも鍛錬しているから、この後、私達は3人で女子会ね。



-------------------------

エリザベートside


「あぁ…暑い…。どうしてこんなに暑いのでしょう」


セレスティーヌ様達にまで気を遣わせてしまいましたわ。


エリザベートはソファに横になり、身を沈め、薄着の服も肌けさせ、足や胸元が露わになっている。


流石に、この様な姿をお見せするわけには、いけませんから、訪問は断わりしましたわ。

せっかくの申し出ですが、仕方ありませんわね。


「お嬢様。セレスティーヌ様達から、お見舞いの品が届いております」

「出して見せて頂戴」


セレスティーヌ様達からは滋養強壮に良い食材がたくさん送られてきましたわ。

それと、果実で作られたゼリー。

有難いですわ。

あまり食欲が無かったのですが、これなら食べられそうですわ。


それと、サリュート商会の息子さんからの贈り物も入っていますわ。


「これは?」

綺麗なガラス細工ですが、用途がわかりませんわ。


「使い方が書いてありますね。風通しの良い窓辺に吊るして使う様です」


メイドがガラス細工の窓辺に吊るすと涼しげな音が部屋に響きわたる。


「あぁなんだか、心なしか、涼しく感じますわね」


一番陽の光が入らない部屋に替えて頂き、窓を開けてはいるものの、陽を遮る様にカーテンを閉め、どんよりと暗い部屋を、明るくしてくれるような音色ですわ。


「サリュート商会の息子さんの名前は確かリュカと言いましたわね」

「えぇ。学園に通われるほど優秀のようですよ」

「覚えておきましょう。こんなに素晴らしい物を頂いたのですもの。近々お礼をしなければいけませんわね」


平民といえど、セレスティーヌ様やアルベルト王太子との縁を持ち、シャルエラント王子の誕生祭にも招かれる存在。

将来大物になるのは、間違いないですもの。


皆さんにお礼をお伝えする為にも、明日のパーティーまでに回復しなければ。


陽が落ち、気温が下がりようやく食事が喉を通りましたわ。

セレスティーヌ様達から頂いた食材はどれも美味でしたわ。


「少し庭を歩きに行くわ」

「ご一緒致します」

「1人で大丈夫よ。貴方達は、私を扇ぎ続けて疲れたでしょう?もう休んで大丈夫よ」


エリザベートはキャミソールワンピースにレースのガウンを羽織って庭へ散歩に出掛ける。


「綺麗…月明かりに照らされて幻想的ですわ」


ナハラセスに来てずっと伏せっていて、やっと庭を見る事が出来ましたわ。

自分がこんなに暑さに弱いだなんて知りませんでしたわ。


あぁ夜風が気持ち良い…。


「リーゼ、ここに居たのか。部屋に居ないから心配した」

「ジュレミー王子」


エリザベートの元にフィオーレの王子、ジュレミーが来た。


「敬称など要らないと言っているだろ。我々の仲じゃないか」

「例え血筋は従兄弟でも、貴方は王子。私は他国の貴族の娘ですから。それと、ここにいる間は私の事を愛称で呼ぶのは止して下さいませ」

「つれないなぁ。体調を崩した従兄弟を気遣って様子を見に来たと言うのに。それに、ここの宮殿を使っているのは我々だけだろ?」

「何処に耳があるかわかりませんもの。それに、もとあといえば、ジュレミー王子が私をパートナーに選んだのがいけないのです。婚約者の方はどうしましたの?」


ジュレミー王子は私と同い年ですが、1つ歳下の婚約者様が居りましたわ。

その方を差し置いて、私をパートナーにして他国へ来るなんて。

血縁関係があって、我が家と取引がある国の王子でなければ、お断りする案件ですわ。


「それを答える前に聞きたい事がある。エリザベートがフィオーレに嫁ぐ可能性があると聞いた。その嫁ぎ先は俺の元でも構わないか?」

「それはいったいどう言う事ですの?」

「元第2皇女の娘で、先々代女王と同じ色を持つエリザベートを、妃に望む事はおかしな事をでは無いだろう?」


確かに私は曽祖母様と同じ黒髪に赤い瞳ですが。

そして、この赤い瞳は王家特有の色。


「王家への求心力の為ですわね」

「流石エリザベートだ。話が早くて助かる。数年前の流行り病で、生き残った王位継承権を持つ王族は俺と弟だけ。俺達の母親は側妃達の中でも身分が低い。それに、その王家特有の色を引き継いだ者はエリザベートの他に居ない。王家の血が薄れている事を危惧する貴族達も、エリザベートを王妃として歓迎するだろう」

「私との政略結婚の為に、長年側で支えた婚約者を捨てるのですか!?」


確かに、理に叶ってはいますが、それでは婚約者様があまりにも…。


「エリザベートを正妃にする場合、彼女は側妃とする。彼女も納得している。今回のパートナーにエリザベートを指名する理由も説明してあるからな」

「なっ!?」

「民もエリザベートを歓迎するだろう。民から人気の高い先々代女王と同じ色を持ち、同じく人気のあった元第2皇女に生き写しだからな」


ジュレミー王子の婚約者様は私の一つ下の21歳。

ここで婚約破棄されれば、嫁ぎ先を見つけるのは絶望的。

どんなに屈辱的でも、側妃にという話しに、頷くしかありませんのね。


「エリザベートが、公爵家次期当主の座を義弟に譲る可能性を考え、婚姻を遅らせて正解だった」

「っ!?今、なんと、仰いました!?」

「流行り病の終息から5年。本来であれば、とっくに婚姻を結んでいたさ。だが、君の義弟が公爵家を継ぐ可能性が高まり、先延ばしにしていた。流石に正妃にしてから側妃に下げるのは外聞が悪いからな」


なんて事を!?


「私が貴方の妻になったとしても、この色を持つ子供が生まれる保証はありませんわ」

「例え俺の色で生まれても、俺より王家の血が濃い子だ」

「はぁ。この場ではお断り致します。本当に私を妻にと望まれるなら、正式に申し入れて下さいませ」


公爵家として、お断りさせて頂きましょう。

最近、弟君の婚約者様は確か力のある侯爵家の令嬢に決まったと聞きましたわ。

自身の後ろ盾が弱く、王太子に任命されていないこの状況に焦っているんですのね。


「正式に申し込んで、俺との婚姻を断ったら、フィオーレの貴族に嫁げないと思うけど?」

「!?それは…」


ジュレミーは不敵に笑う。


「困るだろ?そうだな。俺のお願いを一つ聞いてくれるなら、この話は保留にしてあげるよ」

「お願い…ですか」


ジュレミーはエリザベートの耳元で囁く。


「あぁ。あの翡翠色のマーメイドドレスを明日のパーティーに着て来てくれ」

「何故あのドレスを知って!?」

「メイドが誤って持ってきてしまったと聞いている。それに、エリザベートが愛おしそうに、そのドレスを抱きしめて居たというのも」

「見ていらしたの!?」

「さぁ。何処に目があるか、わからないものだろ?それで、お願いは聞いてくれるのかな?」


あのドレスを着て、ジェラルド様の前に出る勇気はありませんでしたが、致し方ありませんわ。

明日のパーティーは挨拶を済ましたら、早々に帰るとしましょう。


「わかりましたわ」

「そうか!それは良かった」


何処に目があるかわからない…。

おそらく、ジュレミー王子が付けたメイドが情報源でしょうね。


追い出すにも理由が必要ですわ。

厄介な事になりましたわ。

こんな所、他の人に見られずに済んで、本当に良かったですわ。


エリザベートは月を見上げて途方にくれる。





そんなエリザベートを離れた所から、ジェラルドが見ている事をエリザベートは気づいていない。


エリザベートが泊まっている宮殿とジェラルド達が泊まっている宮殿は庭同士が繋がっている。


たまたま夜風に当たりに外に出たジェラルドに先程のやりとりを見られてしまった。




「ジェラルド様」

「他国まで知らせに来てもらってすまないね」

「いえ、それが任務ですぐので」

「それで?調査は終わったのかな?」

「はい。こちらに」


マルヴィン公爵家の影はジェラルドに書類を渡し、姿を消した。



ジェラルドは部屋に戻り、書類を確認する。



『ミレット子爵、リーゼは存在せず』


書類にはミレット子爵領に居る本物の令嬢の絵姿と本名が書かれていた。


ジェラルドは書類を燃やしながら呟く。

「本当に、君は誰なんだろうね。『リーゼ』」

無理矢理感ありますが、色んなキャラの話が進めば良いなと考えています。

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