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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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妹離れ

シャル様の誕生祭に正式に招待され、私はアル様の婚約者として来賓扱いで行く事になったわ。


去年はアル様の誘いを断ってしまったのよね。

一緒に行けるのは嬉しいわ。

それに、皆んなと旅行するの初めてだし。

船で旅するのも初めて!

何だかワクワクするわ!


「シャル様の誕生日何を贈ろうかしら」

「シャル様は何でも持っていますよね」

「マリアはどうする?」

「………。」


シャル様の誕生日プレゼントを話し合っていたけど、マリアから反応がないわ。


「マリア?マリア!」

「ハッ!えっなっ何?セティー」

「シャル様の誕生日プレゼントどうする?って話よ」

「あぁそうだったわね。まだ何も考えてないわ」


「マリアさん大丈夫ですか?」

「えっ大丈夫よ!ちょっとぼーっとしてただけよ」

「そうですか?それなら良いんですけど…」


こないだシャル様とデートしてから、なんだか変だわ。


「そのカタログはプレゼント用じゃないの?」

「これは、ヴィとお揃いのシャツやドレスを作ろうと思って」

「ヴィ君とお揃い用だったんですね」

「マリアとヴィクトルって性格も好きな物も違うのに、本当に仲が良いわね」

「双子だもの。私の大事な半身だから」


「最近のヴィ君、ますます凄いですよね!」

「そうね。成績も上がっているし、騎士団の見習いの仕事も頑張ってるみたいね」


今年の剣術大会も優勝して、卒業後は騎士団への入団は確実。

それなのに、見習いとして小姓の様な仕事もしてるって聞いて驚いたわ。

見習いっててっきり先輩に付いて回るものだとばかり思っていたわ。

学園での指南役の仕事もあって忙しいのに。


「そうね。領地の勉強も頑張ってるみたい」

マリアは複雑そうな顔をした。


やっぱり、何かあったのかしら。


「あら?あそこに居るのヴィクトルじゃない?」

「本当ですね!剣の稽古帰りでしょうか?ヴィーくーん!」


エメリアがヴィクトルを呼ぶとヴィクトルは振り向き、こちらに駆けてきた。

一緒に稽古していたのだろう、男子生徒が数名後ろに居た。


「呼んだ?」

「稽古終わり?良かったら一緒にお茶でもどうかしら?」

「ヴィ君の好きなお菓子もありますよ!」

「ありがとう!ちょっと皆んなに言ってくる!」


ヴィクトルは男子生徒達の方へ一度戻り、再び私達の方へ来た。


男子生徒からは羨ましそうな視線が送られていたわ。

マリアとエメリアへも視線が送られているわ。


側から見ればハーレム状態だし、女性にお茶に誘われるなんて、羨ましがられて当たり前かしら。


「3人は何の話をしてたの?」

「シャル様の誕生日プレゼントをどうすかよ?」

「あー俺もまだ決めてないんだよね。マリアの持ってるのはカタログ?」

「これはヴィとお揃いのシャツとドレスを仕立てようと思って!」


マリアとヴィクトルは何時もお揃いだもんね。

今日も同じ黒のシャツを着ているし。


ヴィクトルは気不味そうな顔をする。

「あー。あのさ、そろそろお揃いとか…止めにしない?」

「えっ…どう…して」


マリアは困惑を隠せず、ヴィクトルは気不味そうな顔のまま話を続ける。


「そもそも俺らがお揃いの服着るのって双子らしくってだけだし。もう成人して大人だしさ。それに、俺にもそろそろ婚約者が出来るかもしれないしね」

「それなら、ヴィに婚約者が出来たらで良いじゃない。こないだのお見合いだって上手くいかなかったじゃない」

「そうだけど。とにかく、シャツはともかく、ドレスはダメだよ。そのドレスってシャル様の誕生祭で着るやつだろ?」

「そっそうだけど。別に良いでしょう」


ヴィクトルが返事に困まる。

するとリュカが慌てた様子でこちらに駆け寄り、ヴィクトルに話しかけた。


「ヴィ様!良かったここでお会い出来て」

「リュカ!どうしたの?」


ヴィクトルに話しかけていたリュカはマリアの方を見て何かを察したのか気まずそうな顔をした。


「取り込み中失礼します。この間のお話の事で…」

「その話しなら俺の部屋でしよう!じゃあ3人とも、お茶とお菓子ありがとう!」

「えっちょっと。ヴィ!」


ヴィクトルはそそくさとリュカを連れてその場を去った。


「ヴィったら突然どうしたのよ」


お揃いを止めるように言ったのは、きっとシャル様とマリアの為よね。

マリアとヴィクトルが一緒に居るのは元々なんだけど、デート後からは以前より頻度が上がっている気がするわ。


「はぁ良いわよ。週末は一緒に家に帰るし、練習の見学に行くし、その時に話すわ」

「そうね。ゆっくり話す必要があるわね」


ちょっと話題を変えた方が良いわね。


「あの!それでシャル様の誕生日プレゼントどうしましょうか!?私は領地で染めた布や糸を使って何か作ろうと思います!」


エメリアが手を叩きながらシャル様へのプレゼントについて話題を戻す。


エメリア、ナイス!


「良いわね!じゃあ私は刺繍にしようかしら。マリアはどうする?」

「さっきも言ったけど、まだ考えていないわ」

「だったらマリアも手作りでどうかしら!」

「良いですね!マリアさんの手作り!絶対に喜ばれますよ!」

「えっえ?」


マリアは私達に押されて困惑しているわ。


「私達が手作りなんだもの、当然マリアも手作りじゃないとね!」

「そうですね!布や糸が必要でしたらリュカに相談しましょうね!」


私とエメリアはマリアに顔を近づける。


「「ね!!」」

「わっわかったら!2人とも落ち着いて!」


良し!マリアも手作りで決まったわ!!


次の日、私達はさっそくリュカに相談したわ。

私が使う刺繍糸もリュカの御実家から買う事にしたわ。


「シャル様へのプレゼントですか。それでしたら、織物は如何でしょうか。シャル様の国の衣装はストールを肩から襷のように掛けてお使いになりますから」

「今からで間に合うかしら?」

「まだお時間がありますし、マリア様なら間に合いますよ。すぐに機織り機と糸をご用意しますよ」


シャル様の誕生祭まで1ヶ月と少し。

機織りならギリギリかもしれないわね。

デザイン次第では間に合ないかもしれないわ。

他の物の方がいいかもしれないわ。


「最近、ナハラセスの糸を仕入れましたので、今なら色も豊富ですし、シャル様も馴染みがあって、使いやすいと思いますよ」


期限がギリギリなのはリュカもわかっているだろうけど、織物を勧め続けるのは、何か理由があるのかしら?


「そうねぇ。刺繍だとセティーと被るし。1ヶ月ずっと織っていれば間に合うかしら」

「それでは、まずはデザイン決めとパターン起こしですね。放課後にウチの職人を連れて来ますので、デザインの打ち合わせをしましょう」

「ありがとう。何から何まで、申し訳ないわね」

「いえ、皆さんにはお世話になっていますから。これくらい気にしないで下さい」


どちらかと言うと私達の方がお世話になってるわね。

私とマリアは申し訳ない気持ちが表情に出る。


「本当に気にしないで下さい。実は実家の店で幾つか部門を任せれまして」

「そうなのね!流石リュカだわ!」

「お二人には刺繍糸や布を購入して頂いていますし、お二人の影響で他の御令嬢達もこぞって買われて行かれます。この間も広告塔になって頂きましたし、感謝しております」

「リュカの役に立っているなら良かったわ」


リュカが任されている部門は工芸や手芸に関する部門なのかしら。

各領地を周ってるって聞いたけど、それも仕事だったのね。

学生のうちから部門を任されるなんて、流石リュカだわ。



放課後に職人を連れたリュカと廊下でバッタリ会ったわ。


「リュカ。そちらが話していた職人さんね」

「えぇ。ウチの腕利きの職人です。セティー様も何かお困りでしたら言って下さいね」

「ありがとう。ねぇマリアに機織りを勧めたのはなんで?期間的にギリギリじゃない?」


リュカは少し困った顔をして答えた。


「本当は事前にリアから話を聞いて、別の物を提案する事を考えていたのですが、ヴィ様から出来るだけ、『誕生祭まで制作に集中する物を』と頼まれてまして」

「ヴィクトルがそんな事を?」

「えぇ。マリア様がヴィ様との時間をわざと作り、シャル様とは、過ごさないようにしている様子だからと。織物は機織り機が必要ですし、ヴィ様の剣の修行を見学しながら行うことも出来ませんしね」

「そういえば、ここの所、毎日ヴィの所へ行っていたわね」


前までは学園内での見学だけだったのに、騎士団の見学にも行ってるわ。

なんだか、ヴィクトルから離れたくない!って感じだわ。

ヴィクトルもそれを感じて、わざとマリアとの距離を置こうとしてるのね。


シャル様とマリアとヴィクトル。

それぞれ3人が幸せな形に収まると良いんだけど。


私に出来る事はヴィクトルの相談事に協力するだけね。

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