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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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お茶会-学園- クリスティーヌside

クリスティーヌside


放課後トボトボと廊下を歩くクリスティーヌ。


私に付けられた侍女から報告書を受け取り、内容を目にしたお義兄様は、青ざめた顔をした後、顔を赤くして怒っていましたわ。


お義兄様があんなに怒るなんて初めてですわ。


それに、レニーが頬が腫れた状態で授業に出ているものですから、皆の私への視線が冷たいですわ。


学園に居る間、誰とも話さずに1日が終わりますわ。


「お前、そこまで、本気で彼女の事を」

「ああ!俺は彼女を冷遇するあの家から救ってみせる!」

「お前がそこまで本気なら俺も協力するよ」


クリスティーヌは聞こえて声に耳を傾ける。

3年の男子生徒が話しているのは、好きな女性が家で冷遇され、このままでは、評判の悪い貴族に嫁がされてるしまうため、救い出そうという話だ。


「お前がここまでするなんて、愛の力は偉大だな」

「揶揄うなよ。お前だって彼女が同じ目に遭っていたら、何もしないまま見ているなんて、出来ないだろ?」

「当たり前だろ。彼女以上に大切なものなんてないんだからな」


これですわ!!

そうよ!学園に居る間に私を愛してくれる婚約者を見つければ良いのですわ!


私は表向きにはこのまま侯爵令嬢としての身分がありますし、なにより私は美人!

今までアルベルト様をお慕いしている気持ちが強すぎて、婚姻の申し入れを断ってしまい、今は申し入れがありませんが、私から近寄れば皆私に気持ちを寄せるに決まってますわ!


アルベルト様。

その完璧な綺麗なお顔が好きでしたわ。

ですが、この間の、なんとも冷たい表情で、私に対してゴミでも見るような視線に、少し気持ちが冷めましたわ。

それに、いつまでも振り向いてもらえない方を想うほど、私は安くなくってよ!


そうと決まれば、婚約者の居ない方々ともっと交流せねば!



おかしいですわ。

複数の婚約者の居ない方へ手紙を出しましたのに、返事がありませんわ。

学園の男性達も、なんだか私を避けているようですし。



「あら、クリスティーヌ様。お久しぶりですわ」

「あら皆さんお久しぶりですわ」


元クラスメイトの女生徒ですわ。

何か、良い情報を持っているかもですわ。

何しろ、有力貴族の令嬢達ですもの。


「お1人ですか?」

「えぇ。皆さんお久しぶりですから、一緒にお茶でもしませんこと?」

「申し訳ありません。私達、これからお茶会なんです」

「あら、お茶会でしたら私も参加しますわ」


クリスティーヌが参加する意思を伝えると、令嬢達は皆扇子で口元を隠す。


「今日はクラスメイトだけのお茶会ですから、ご遠慮して下さいませ」

「私達、時々クラスメイト限定でお茶会をしてますのよ。今回はセレスティーヌ様、マリア様、エメリアさんがご用意して下さるのです」

「あの御三方がご用意して下さるお茶会なんて、楽しみですわ」

「それでは、遅れてしまいますので、失礼させて頂きますわ」


なんですの!

クラスメイト限定のお茶会なんて、私がいる時には無かったではありませんの!


クリスティーヌは知らないが、セレスティーヌのクラスは一年の時から定期的にお茶会をしていた。

2年になり、クリスティーヌが元平民であるエメリアを差別する発言があったため、お茶会をしていなかった。


クリスティーヌは自身の教室前を通りかかる。

複数の男子生徒が教室で話をしていた。


「クリスティーヌ嬢のことどう思う?」


私の話!?

やはり美人は噂の的ですわね!


「いやーあれは無しだろう」

「いくら美人でもあの性格じゃあな」

「俺は美人とも思わないね。あのひねくれた性格が顔に出てるじゃないか。如何にも悪役顔だよ」


なっ!?

なんですって!?


「如何してあんなに酷い性格なんだろうな」

「あの母親似だからなぁ。クリスティーヌ嬢は母親の代わりに毒花って呼ばれてるらしいよ」

「毒花か。お似合いだな。その毒で近くにいる者を苦しめる」

「そして誰も周りに居なくなる。母親と同じだな」


この私が…毒花…。


「婚約者が居ないのだって、高位貴族だからというわけじゃないだろうな」

「エリザベート嬢ぼどの事情があるわけではないだろうし、あの性格のせいだろうな。侯爵家の令嬢だからって、妻には迎えたくないよ」

「暴力を振るうような女を妻にしたらトラブルが絶えないからな。レニー嬢が早く回復するといいな」

「そうだな。本当は明るくて可愛いのに、クリスティーヌ嬢に怯えて可哀想に」


レニーに手を挙げて事がここまで大事になるなんて!


私はそれ以上は聞くに耐えませんでしたので、その場を離れましたわ。


気がつくと中庭の近くまで来ていましたわ。

もう今日は寮に帰りましょうかしら。


引き返そうとした所で、マリアの赤い髪が視界に入りましたわ。


そうよ。

マリアだって私と同じ侯爵令嬢なのに、婚約者が居ませんわ。

エリザベート様のように後継者問題があったわけではないですし!

婚約者が居ないのは私だけではありませんわ!


マリアの方を再び見るとすぐ側にシャルエラントが居た。

遠目から見ても2人は良い雰囲気であった。


まっまさかシャルエラント王子がマリアを!?

そうなればマリアはナハラセスの王妃に!?


いえ、あそこはハレムがありましたわ。

皇妃の1人になるだけですわ。

そうに決まってますわ。

あのマリアが王妃になれるわけありませんわ。

アルベルト様の婚約者候補を早期に降りて、王妃教育だって受けてませんもの。


そうだわ。

別に国内に拘る必要なんてありませんわ。

何処か遠くの国で幸せになれば良いですわ。


シャルエラントがマリアと話し終え、クリスティーヌの方へ歩いて来た。


何かのキッカケになるかもですわ。


「シャルエラント王子」

クリスティーヌはシャルエラントに話しかけ、シャルエラントの腕にそっと触れる。


「気安く触れないでもらおう」

「え?」

「相変わらず、無礼な女だ。虫唾が走る」


普段のシャルエラントからは考えられないほど、冷たく遇らわれたクリスティーヌは動揺し固まる。


そのままシャルエラントは行ってしまった。


今のはなんだったんですの?

女性に対して物腰が柔らかい方ですのに。


まっまさか私がセレスティーヌにした事を知っている!?

あの面々が、あの事を知っているとしたら、この国に私の居場所はありませんわ。


クリスティーヌは廊下の真ん中で、1人立ち尽くし、急に孤独を感じた。


そして先日の教育や先程の男子生徒の言葉を思い出す。


『誰も周りに居なくなる』


恐怖や不安、そして孤独といった感情がクリスティーヌの身体を駆け巡った。

クリスティーヌは休暇中は自室幽閉していたので、シャルの改革は知りません。

教えてくれるメイドなども居ないと思います。

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