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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
140/236

変化する関係

「「「セレスティーヌ様ご機嫌よう」」」

「ご機嫌よう」


「ご存知ですか?」

「クリスティーヌ様が下のクラスに行かれましたわ」

「まだ2年の途中ですのに。どういう事でしょう?」


私はアル様から聞いて知っていたけど、何も知らければ混乱するわよね。


「御結婚や留学を終えられた方がいらしたから、おそらく人数の調整ではないかしら」

実際、御結婚で退学した令嬢やお国の事情で留学を終えられた方が数名いるわ。

それに、ジャミール伯爵の件に関わっていた家の方々も学園を退学したし。


「なるほど!そう言われればそうですね」

「てっきり何か大きな理由がおありなのかと思いましたわ」


少しは誤魔化せたかしら。


「セティーさん!」

「エメリア!久しぶりね!」


エメリアとマリアの家で会って以来だから久しぶりだわ。


「休暇明けのテスト結果が貼り出されましたよ!皆さんもそちらに居ます!一緒に見に行きましょう!」

「そうね行きましょう!」


今回のテスト不安なのよね。

休暇中は色々あったし、外交学のテストもあったし。

なんて…言い訳でしかないわよね。

はぁ…。



1.

アルベルト・ヴェスタトール

2.

エメリア•バルシエ

3.

マリア・エルランジェ

4.

シャルエラント・ハムダン・ビン・

モハメド・ラーシド・ナハラセス

5.

セレスティーヌ・マルヴィン


「エメリアと1点差!悔しいわぁ」

「アルはいつも通り流石だな。エメリアもアルと僅差とは凄いな」

「私はこの中で誰よりも勉強する時間ありましたから」

「休暇中は色々あったが、皆、成績は維持だな」

「ヴィも10位以内で安心したわ」

「俺もだよー!マリアいつも有難う!」


皆んなの会話を聞いて1人気持ちが沈んでいく。


確かに順位は悪くないわ。

でも総合点が。

4位のシャル様と10点以上差があるわ。

前回の学年末は順位こそ4位だったけど総合点は良かったのよ。

未来の王太子妃としては不味いわよね。

王妃教育という、国で最高峰の教育を受けてるのだから。


もっと頑張らないと。

子供の頃は、前世の知識で頭が良いと言われてたけど、今は前世の知識なんて役に立たないもの。

私の地頭では、努力し続けないといけないわ。


「セティー。どうかしたか?」

アル様が私を心配そうに見つめる。


「なんでもないわ」

「そうか。なら良いんだ」


アル様に心配かけるわけにはいかないわ。

寮での勉強時間増やさないと。


あっそういえば、クリスティーヌ様はどうだったんだろう?

クリスティーヌ様の名前は…載ってないかぁ…。


全員の順位が貼り出されるわけではないから、正確な順位はわからないけど、きっと勉強なんて手につかなかっただろうな。

クリスティーヌ様のお兄様達と話したのも休暇終わり間際だし。


こないだお父様に呼ばれた件はその話しだったわ。

私の決断に対して、後悔しないように、そして背負い込まないようにと仰っていたわ。


心配はしても関わるわけにはいかないわ。

だから、クリスティーヌ様自身が頑張ってくれるのを願うだけね。


昼休みに食事へ向かう途中、アル様に呼び止められた。

皆んなには先に行ってもらい、アル様と2人きりで教室に残る。


「セティー。もしかして、テストの結果を気にしているのか?」

「えっ?なんで…わかったの?」

「やっぱりか。セティーは何事にも完璧を目指し、自分に厳しいだろう?」

「そんな事は…。それに私は努力しても完璧にはなれないし」

「何を言う!セティーは十分やっている!それに、王太子妃に求められるのは成績だけではない。皆の模範となり、清く正しい姿だ。セティーは完璧な私の婚約者だ」

「アル様…」

「だから、これ以上、無理をしようとしないでくれ」

「え?」

「私が言わなければ、セティーは今以上に睡眠を削って勉強にあてるだろ?」

「うっ(確かに寮での勉強時間を増やさないとって考えていたけど)」


アル様が私の頬に触れる。

「アル様がそう言うなら…。でも今の勉強時間は維持するわ」

「本当に頑張り屋な恋人だ」


頬に触れられていた手で顎をクイっとされ、ゆっくりアル様が近づき、キスを交わした。


学舎で、しかも教室でキスするなんて。

誰かに見られてたら騒ぎになるわね。


「皆の所へ行こうか」

「えぇ」




----------------------


クリスティーヌside


気が重いですわ。

でも学園の方が楽しく過ごせるはずですわ。


クリスティーヌが教室に入った瞬間、シーンと静まり返り、皆の視線がクリスティーヌに注がれた。

そして、暫くしてヒソヒソと話し声が聞こえてきた。


なっなんですの!?


居心地の悪さを感じていましたら、レニーが近づいてきましたわ。

いつも通り、髪をお下げにている地味なレニーを見ると落ち着きますわ。


「クリスティーヌ様、また同じクラスですね。よろしくお願いします」

「レニー。えぇよろしくして差し上げるわ」

「…。では、私はお友達とお話がありますので」


レニーが居れば、どうにかなりますわね。

分家の者ですし。

私に逆らえるわけがありませんし。


「今学期から人数調整の兼ね合いで、クリスティーヌ•アルベールがこのクラスとなった」

教師から私のクラス変更の説明がなされましたわ。

表向きにはそういった理由にしましたのね。

これなら余計な詮索されずに、学生生活が送れますわ。


最下位…。

勉強なんて手につかなかったですもの。

仕方ないですわ。

お義兄様は頑張るようにと仰っていましたが、頑張った所で私の未来は決まっていますもの。

だったら学園内ぐらい楽しく過ごした方が良いに決まっていますわ。


「レニー食事に行きますわよ」

「えっ?あぁわかりました。少しお待ち下さい」


レニーは一緒に居た令嬢達へ小声で話しかける。


「(ごめんなさい。クリスティーヌ様と食事に行きますので、後で合流しましょう)」

「(そんな!?レニーが1人で犠牲になる事はありませんわ)」

「(そうよ。いくら分家とはいえ、一緒に居る義務はないわ。せっかく違うクラスになれたというのに)」

「(クリスティーヌ様もクラス変更で戸惑っているようですし、カミーユ様からも頼むと言われておりますので。食事を終えたら合流しますから)」

「(レニーがそう言うなら。いつもの場所で待っていますわ)」


「早くして下さる?一緒に行きたいならそう言えば…「クリスティーヌ様、お待たせしました」


クリスティーヌの言葉を遮り、レニーが返事をする。


「私の話に割って入るとは失礼な」

「申し訳ございません。お待たせしていると思い焦ってしまいました」

「ふん!早くしなさい!」


食堂に着き、クリスティーヌはトレイに乗った食事を見る。

他の学生はすでに席に着き近くに人は居ない。


「レニー。私の分の食事を運びなさい」

「自分で運んで下さい」


レニーは無表情のまま、冷たくクリスティーヌに言い放つ。


「なっ!?分家の者が私に口答えするなど!」

「カミーユ様から嫌な事は嫌と言って良いと許可を得ています」

「お義兄様が!?」

「それに、アルベールの血が入っていない貴方に命令されたくないですね。あの性悪な母親と一緒に排除されれば良かったのですのに」

「なっなんで…」


なっなんで、どういう事ですの!?

あの時、あの部屋には、家族以外はマーサと執事のオリバーしか居ませんわ!


「貴方の出生については、疑問だと言われ続けていましたから。それと、わたし以外の一門の方々も知っていますよ。使用人達の口に戸を立てる事は出来ませんから、嫌われ者の貴方の事は流れやすいので。これからは、表向きでのみ敬いますね」


レニーはクリスティーヌの耳元で更に囁く。

「敬うのは、アルベールの名前がある限りですが…」


クリスティーヌは青ざめ、震え始める。


「クリスティーヌ様さえ、弁えて頂ければ、学園で他言する気はありません。カミーユ様から頼まれておりますし、学園ではよろしくお願いします。もう行ってもよろしいですよね?お友達を待たせているので」


レニーは食事の乗ったトレイを持ち、クリスティーヌの横を過ぎ去っていく。



「レニー!良かった!もう解放されたのですね!」

「えぇ!クリスティーヌ様に急用が出来たとかで」

「それは良かったですわね。はぁ憂鬱ですわね。またあの傲慢な方と過ごすなんて」


「カミーユ様からクリスティーヌ様が間違っている事や嫌な事は否定して良いとの事です」

「そうは言われても…。アルベール家の方ですし」

「私も先程クリスティーヌ様にそう伝えましたので大丈夫ですよ」

「まぁ!あの方にそんな事を伝えるなんて、怖かったでしょう!?」

「勇気がいる事ですわ!」

「ふふふ。私は皆んなより、クリスティーヌ様に慣れていますから」


「私は、私達のクラスは女性が少ないから、出来たら女性全員と仲良くしたいと思っていますが…」


嫁ぐ為に学園を辞めた令嬢がいる為、レニー達のクラスの令嬢は少ない。

この場に居る令嬢とクリスティーヌのみ。


「これからは無理にクリスティーヌ様に従う必要はないんです。クリスティーヌ様が嫌な事をしたり、言ってくるようでしたら離れて良いんです」

「でもレニーは離れないのでしょう?」

「私も嫌な事は嫌と言いますから。むしろ向こうから避けられるかもしれませんよ」


「その話は一旦置いといて。レニー、今日は以前の装いですのね」

「今日はクリスティーヌ様が私達のクラスに来る日ですから。驚かないようにと思いまして」


そう言いながらレニーはお下げにしていた髪を解き、髪飾りをつける。


「レニーたらなんて優しいのかしら!」

「綺麗な金髪だから、一年生の頃は勿体無いって思っていましたのよ」

「ありがとうございます。楽しい学園生活にしましょう」

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