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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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作戦②

「セティー行こうか」

「えぇ。今日は2人きりで嬉しいわ」


作戦決行の日が来たわ。

アル様と馬車で国立公園へ来たわ。

公園の管理人と門番に事前に伝えていた通りに貸切にしてもらった。


アル様が私の為に公園を貸し切ったと噂になっていたわ。

王宮で会った貴族にはちゃんと聞こえていたのね。


「セティーと2人きりにしてくれ。ここには私達しか居ない。護衛は不要だ」

「「かしこまりました」」


打ち合わせ通りに護衛も置いていき、2人きりを演出する。


「アル様、嬉しいわ!」

「セティーが喜んでくれるのなら、これくらいどうってことないさ」

「ふふふ」

出来る事なら、本当に2人で公園を楽しみたかっわ。


今日の為に動きやすいドレスを買ったの。

フラン様の分も用意するため、今日のドレスは私にしては珍しく既製品なのよ。

胸が少しキツイけど、入って良かったわ。


念のために、頑丈なコルセットをして、足には短剣を付けているわ。

そしてこの日傘。

日傘で顔を見辛くして、替え玉とバレないようにするのよ。


「セティー日傘は私が差そう」

「アル様、大丈夫よ。ありがとう」

「私が差した方がセティーと近くなるだろう?」

アル様がコソッと耳打ちをする。

「アル様。じゃ、じゃあお願いするわ」


アル様が日傘を差した事で私達は相合傘をする事になった。

アル様は空いている腕で私の腰を自分の方へ引き寄せる。

引き寄せられた事で体がアル様に密着している。


本当に2人きりのデートなら嬉しいのに。


「ほらセティー。見たがっていたサルビアの花が咲いている」

「わぁ。綺麗だわ。色取りでまるでパッチワークみたい!」


サルビアは赤色以外に紫、ピンク、オレンジ、白と種類が多くて、配色が綺麗に見える様に植えられている為、本当に綺麗だわ。


私とアル様しばらくサルビアの庭園を歩く。


次はいよいよ庭園迷路に入るわ。

入り口から最初の曲がり道で入れ替わる予定どけど、緊張するわ。


「(お2人共こちらです!)」

急に庭園迷路の茂みが無くなり、私と同じ格好をしたフラン様が出てきた。

隣にアル様そっくりな方もいるわ。


通路に居る私達と入れ替わり、フラン様達に日傘を渡す。

茂みの方へ入ると他の騎士達が居てあっという間に茂みを塞ぐ。


「(セティーおつかれ。後は俺達の役目だね)」

「(ヴィクトル!)」


騎士見習いのヴィクトルも居るのね。

まぁヴィクトルは学園を卒業したら近衛騎士団への入団が決まっているから今から経験を積む為ね。


そんな事を考えていたらフラン様達は順調に庭園の中央へ向かっているわ。



「誰だ!?」

「アルベルト王子とセレスティーヌ嬢だな。大人しくしてもらおうか」

「何者だ!誰に雇われている!?」


狙い通り刺客が現れたわ。


「大人しくしてもらおうか」

「ぐっ」

「キャー!」


刺客がフラン様達を襲い、アル様役の方を気絶させる。

私に変装しているフラン様は抵抗虚しく連れて行かれる。


「ここで捕まえる予定じゃないの!?」

「ジャミール家とその一門を捕まえる為だ。王位継承権の証の在りかを聞き出し、国王との取引に使う為に直ぐに殺される事はない。拷問される可能性はあるが、2人とも了承済みだ」

「そんな!?」


「セティー。王太子とその婚約者を守れるなら、俺達騎士は本望だよ。大丈夫これも作戦通りだし、ちゃんと後を追っているから」

「ヴィクトル…」


ヴィクトルの言う通り、要人の命が最優先なのはわかっているわ。

そう教えられてきたのだから。

いざという時護衛を盾にしてでも生き延びなきゃいけないもの。


「セティー。大丈夫か?辛い思いをさせてしまったな」

「アル様。私なら大丈夫よ。心配するべきは身代わりになってくれた2人だわ」


私の甘い考えがアル様に余計な心配をさせてしまっているのね。


「私は、セティーの優しさは美徳だと思う。私の婚約者で無ければ、こんな辛い思いをする必要はないのは、わかっている。だが、セティーを手放す事はなんて、無理だ」

ギューっとアル様に強く抱きしめられる。


私だってアル様の婚約者を降りるなんて出来ないわ。

アル様以外なんて考えられないもの。


「私なら大丈夫よ。私だってアル様以外との未来なんて考えられないわ。今は連れさられた2人を追いましょう!」


連れ去られた2人を追ったら、古い小さな城に辿り着いたわ。


「ここはジャミール伯爵に縁のある城だ。今は使われていないらしいが」

「密偵が侵入出来る場所を見つけないとですね」

「叔父上から城の地図を預かっている。中は思ったよりも広くないようだ。この地図によると庭に地下に繋がる通路があるな」

「あそこの木から2階に入れそうだよ。俺はそこからはいるよ」


アル様達が地図と城を見ながら打ち合わせをしている。

まず密偵が捕まっている2人の安否を確認する。無事を確認出来た場合は正面から突入する。

2人の安全が確認出来ない場合は地下から騎士達を侵入させ2人を救出しつつ伯爵達を捕まえる。

ヴィクトル達は奇襲要員としてどちらにせよ2階から侵入することになっている。


密偵が数名潜入し、合図が来るのを待つ。


「アル様、マルヴィン家の騎士達も到着致しました。そしてこれがジャミール伯爵達の罪状です」

お兄様は司法院の印が押された書状を持って、公爵家の騎士達を引き連れて到着したわ。


書状にはジャミール家の反逆罪が書かれていた。


「よし。後は合図を待つだけだな。マルヴィン家の私兵は裏を頼む」

「かしこまりました。セティーは護衛とここで待って居てね」

「はい」


一緒に行っても足手纏いだし、普段ついてくれてる護衛の方達と大人しく待っているしかないわね。


城の窓から灯りが数回点滅するのが見えた。


「合図だ!突入するぞ!」

アル様の掛け声でアル様を先頭に騎士達は突入していく。


ヴィクトルは既に木を登って2階から乗り込み、奇襲要員として動いているわ。


フラン様達無事だったのね。

良かったわ。


「お嬢様、こちらです」

「こちらで待機をお願いします」


護衛に連れられ馬車の中でメイドと一緒に待機をする。

馬車の前には護衛が居てくれるわ。


「お嬢様、ご苦労様でした。お疲れになられたでしょう」

「足に付けた武器はお外しになりますか?」


メイドのアンナとエルが水とお菓子を出してくれた。


「ありがとう、大丈夫よ。武器は念の為に最後まで付けておくわ」

「重たくはありませんか?」

「短剣だから大丈夫よ」


アル様達が頑張っているんだもん、私も最後まで気を抜かないようにしないと。


突入から1時間程経ったけど、お城の周りは静かなままだわ。

みんな無事だと良いんだけど。



ガチャ

突然馬車の扉が開けられるた。


「アル様?終わったの?」


そこに居たのはアル様ではなく、馬車の扉の先にはメイドの格好をした人物が見えた。

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