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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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捜査②

誤字脱字の報告ありがとうございます。


アル様達は直ぐに男爵を呼び出したわ。

業務提携とされている作物を持参させて。


結果は案の定、作物はアヘンだった。

男爵は怪しいと思っていたものの、金策に困窮していたため、子爵家からの提案を呑んでしまったらしい。


子爵家との契約書もあるし、現物のアヘンもあるから子爵を捕まえる事は出来るわ。

だけど、子爵はあくまで密輸に関わっていた貴族の一門。

子爵の裏には、子爵より爵位の高い伯爵家がいるわ。


子爵を捕まえてもトカゲの尻尾切りみたいに逃げられてしまう。

子爵と伯爵両方捕まえるには、男爵の協力が必要だわ。


男爵は、いくら子爵に騙されたといえ、領主としての管理責任が問われてしまう。

そのためか、あっさりアル様達の味方になったわ。


アヘンの育成が上手くいかないと子爵に嘘をつき、子爵と伯爵が視察に来る様にしたわ。


伯爵の上には王弟殿下の親戚がいるわ。

伯爵も言わば下請け。

アヘンが育たないと、自分の立場も悪くなるから自ら視察に来るしかないのよね。



「それじゃあ、行ってくるね」

「お兄様、お気を付けて」

「たーい」

「心配しなくても、騎士達も居るから大丈夫だよ」

「それでも気をつけて下さいね」

「うん、ありがとう。レオもね。レオとセティーのおかげで捕まえられるよ」

「あーい」


お兄様は私とレオ君の頭を撫でて子爵達を捕まえに行った。


「レオ君、ここでお兄様達が無事に戻ってくるのを待ちましょう」

「あーい」


その日、レオ君とお兄様の帰りを待っていたけれど、お兄様は帰って来なかった。


翌日の朝食の時間が過ぎてもお兄様は帰って来ない。

何かあったのかしら…。

不安だわ。


「大丈夫よセティーちゃん。悪い事ががあれば直ぐに知らされるはずよ」

お母様は明るく言うけど、心配だわ。


「ただいま戻りました」

「お兄様!良かった!」


戻ってきたお兄様は疲れた表情をしていた。


「お兄様大丈夫ですか?何処も怪我はしていませんか?」

「大丈夫だよ。直ぐに子爵と伯爵を捕まえられたからね。ただ事後処理に追われて帰って来れなかったんだ。心配してくれけありがとう。そうそう、アル様も元気だから安心して」

「それなら良かったです」


お兄様は入浴を済ませ、仮眠を取って再び王宮に向かった。


子爵と伯爵が捕まった事で、王弟殿下の親類に何かしらの動きがあるはずだわ。

シャル様の方も大臣を捕まえたようだし。

アル様もお兄様もますます忙しくなるわね。


何かできる事ないかしら?

うーん差し入れとか?

でも極力王宮に来ないように言われてるし。


「セティーちゃん。王宮にジルとエドの着替えを届けに行ってもらえないかしら?2人とも持って行くのを忘れたみたいなの」

「着替えを届けにですか?」

「メイドに持って行かせれば良いのだけど、セティーちゃん、アルベルト様に会いたいでしょう?」

「うっはい。でも、極力王宮には来ないようにと言われてますし」

「昨日の今日では相手も動かないわよ。むしろ今日を逃すと王宮に行くのは難しくなるわ」


お母様だって、お父様達が心配で様子を見に行きたいはずなのに。


「お母様…ありがとうございます」

「ふふ。私の代わりにしっかり2人の様子を見て来てね」

「はい!」



よし!それなら差し入れを作りましょう!

と言っても私に作れるのはサンドイッチしかないのだけど。

いや、前世では料理してたのよ!

でも前世から何年も経ってるし、貴族令嬢だから料理はしないし…。

うん、私は料理が出来ないわけじゃない…はず…。


「お嬢様、パンはこちらを、具材はあちらをお使い下さい」


私の目の前にはシェフによって綺麗に切られたパンと野菜などの具材。

そして美味しく作られたソースが置かれた。


「お嬢様の手作りですから、旦那様も若様もお喜びになりますね!」


えっこれ、私、挟むだけよね?

これを私の手作りと言うには、無理があるわよ。


「えっと…。あっ!そこのお肉!使っても良いかしら!?」

「えっえぇ、大丈夫ですが…」


お肉を切って叩いて、小麦をつけ、卵に潜らせ、パン粉をつけて油で揚げる。

上がったらソースを掛けて浸す。

食べやすい大きさに切ってパンに挟めば、カツサンドの出来上がり!


ふぅ。

ちょっと手つきが怪しかった気がするけど、出来たわ。

うん、味も大丈夫!

他にも作りたかったけど、今の私じゃあ時間が掛かっちゃうわね。

カツサンド以外は、シェフが用意してくれたのを挟むだけにしましょう。


お父様、お兄様、ヴィクトル。

それに補佐官達や護衛の方々の分。

うん!足りるわね!


アル様には…無理よね。

食材から料理過程の安全を確認、毒味を経て確実に安全が確認された食事以外は食べられないもの。

いくら婚約者でも、こればっかりは無理ね。

でも…もしかしたら…。

少のしだけ、余分に持って行こうかしら。


「お嬢様、使用した食材の一覧です。一緒にお持ち下さい」

「ありがとう!」

最後にサンドイッチを詰めた箱に蝋封をする。


荷物を持つ為に数名のメイドと王宮へ向かう。


まずはお父様の所へ行ったわ。

お父様はゾンビみたいに疲れてた様子だったけど、私を見た途端、熱烈歓迎って感じだったわ。

もう、お父様たら、親バカなんだから。

補佐官達の生暖かい視線に耐えきれなくて、早々に退室してきたわ。


次はお兄様達の所ね。


「セティー!どうしたの!?」

「ヴィクトル!お兄様達に荷物を届けに来たのよ。ついでに差し入れも」

「そうなんだ。差し入れってそれだよね?すごく良い匂いしてる!それ、俺も食べていい?」

「もちろんよ!たくさん持ってきたから!」

「やった!ありがとう!俺も戻る所だから一緒に行こう!」

「えぇ!お願いするわ!」


「ねぇ差し入れって何?」

「サンドイッチよ。仕事しながら食べてもらえれば嬉しいわ」

「えっこの匂い、サンドイッチなの?」

「あっお肉を挟んでるサンドイッチもあるの」

「肉が入ってるの!凄い!早く食べたいなぁ!会議ばっかりだから、食事はどうしても軽食なんだ。もっと腹に貯まる物が食べたかったんだ!」


カツサンド、ヴィクトルには受けが良さそうね。


「アル様も喜ぶと思うよ!俺より会議続きだからさ、軽食とスープばっかりだもん!」

ヴィクトルはニカっと笑う。


「アル様は…食べられないと思うわ」

「あぁそうかぁ。本当、難しい立場だよね。セティーも残念だよね」

「仕方ないことよ。それに、私はお顔が見れたら十分よ」

「そっか」


執務室に着き、ヴィクトルが私の入室を文官に取り付けてくれている。

文官が中にお伺いを立てて許可が出るのを待つ。

文官がドアを開けた瞬間、中から怒号が聞こえた。


「「そんな事!許可出来る筈がないだろ!」」

アル様とお兄様の声!?

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