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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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捜査①

いつも誤字脱字報告ありがとうございます。

「お兄様、今日も王宮ですか?」

「うん。学園が始まるまでに、片付けなくてはいけないからね」

「お父様もですが、お兄様も疲れているように見えます。ちゃんと寝てますか?食事は?」

「大丈夫。ちゃんと取っているよ。数日、王宮に泊まる事になるから。セティーにはレオの相手をお願いするね」

「それは任せてください。お兄様、くれぐれも無理はなさらないで下さいね」

「うん。心配してくれてありがとう」


お兄様は私の頭を撫でていつもの優しい笑顔を見せ、王宮へと向かった。


シャル様の国の大臣がアヘンを密輸している証拠が揃ってから一段と忙しくなったわね。


本当はもっと時間がほしい所だけど、シャル様は直ぐに大臣を捕まえに動くみたいだから、こちらは時間がないのよね。

大臣が捕まれば逃げ隠れされてしまうもの。

だからといって、シャル様が大臣を捕まえるのを待つなんて、事出来るわけないわ。


水銀の入った白粉の件も同時に調査しているわ。

どちらの悪事も王弟殿下の親類に繋がるはず。

まだ被害は出ていないようだけど早く解決しないと。


お兄様もだけど、アル様もきっと疲れてるはずだわ。

結局今年の夏休暇もあまり会えていないのよね。

避暑地へ旅行に行ったきりだし。


早く解決して会いに行ければ良いんだけど。

私に出来る事ないかしら?

お茶会に出て情報を探ると言っても、令嬢達は重要な事は知らされていないようだし。


水銀の白粉は鑑定中だから水銀が含まれているとわかれば製造している貴族を捕まえられるわ。

あとは密輸されたアヘンの栽培地がわかれば良いんだけど。


私はレオ君を抱っこしながら地図に視線を落とす。

地図にはいくつか×印がついている。

大臣と関係している貴族の領地はもちろん、港から近い場所は捜索済みなのよ。

王弟殿下の親類の領地でもなかったようだし。

他に隠せるような土地は…。


「あーとー」

「あっレオ君ごめんね。お姉ちゃん考え事してたわ」


レオ君は不機嫌な顔をしながら地図を指差す。


「こーこー」

「レオ君ここが気になるの?ここは確かウチと同じ派閥の家だったわ」

「おーにー」

「鬼?レオ君!また新しい言葉を覚えたのね!偉いわー!」

「うーうー」


レオ君は本当に賢いわねー

なんて私が言っているとレオ君は不機嫌そうな声を上げて、さっき指さした場所をバシバシ叩く。


「レッレオ君!?どうしたの?おててが痛くなっちゃうわ」

「うぅーん。うわーん」

「よしよし。ここがどうかしたのかしら?」


うーん。

男爵家の領地よね。

あっ確か2ヶ月前くらいに御令嬢が貴族派の御子息と婚約したはず!

確か婚約パーティーに出席しない代わりに、お祝い状を書いたはず。


確か相手の家は…。

アヘンの密輸をしていた家の家門だわ!

もしかしたら繋がりがあるかも。

お茶会に招待して探ってみようかしら。


「レオ君。お姉ちゃんここのお家の人に会ってみるわ」

「あーい」


良かった。

レオ君の機嫌も直ったみたい。




「お招き頂き、誠にありがとうございます」

「こちらこそ。急なお誘いに応じてもらい、ありがとうございます」

「いえ、ちょうど王都に居りましたので」

「それなら良かったです。お掛けになって下さい。本日は私達しか居ませんので気軽にして下さい」


私は直ぐに御令嬢とお茶会を開いた。

直ぐに了承の返事が来たのは幸いだったわ。


「遅れながらご婚約、おめでとうございます。パーティーに参加出来ず申し訳ありません」

「ありがとございます。お気になさらず。素敵なお祝い状を頂けて感激でした」


男爵家は4年前の大雨の影響で家の家計が傾き、どうにか持ち堪えていたけど、今年領地の川が氾濫した事で困窮していたようだった。

そこで派閥違いの家ではあるけど、隣の領地である子爵家からの婚姻の打診を受け援助を受ける事になったそうだ。


「彼の家には大変お世話になっているんです。彼方の領地で植えきらない作物を代わりにウチの領地で栽培する条件で多額の援助を頂けて。これなら来年には家計は元通りになりそうです」

「それは良かったですね。それにしても植えきらない程の量を作物を作っているんですね」

「なんでも新しい事業だとか。子爵家でも栽培出来る土地が余っていなかったようです。見た事のない作物ですが、なんでも香料になるとか」

「そうなのですね。無事に実ると良いですね」


令嬢はとても嬉しそうに話し、帰って行った。


残念だけど、当たりかもしれないわ。

早くお兄様達に知らせなきゃ。


私は登城の連絡を入れ、王宮に向かう。


「セティー久しぶりだな。会えて嬉しい」

王宮に到着したら直ぐにアル様が迎え入れてくれた。

「私も会えて嬉しいわ。アル様、ちゃんと休めているの?なんだか疲れているように見えるわ」

「色々と仕事が立て込んでいるからな。セティーを放ってばかりで申し訳ない」

「良いのよ。仕事なんだもの。こうして会えただけで嬉しいわ」

「セティー…」

「アル様…」


私達は自然と見つめ合う。


「これっていつまで続くの?」

「……ゴホン。アル様、セティー。そろそろ2人の世界から戻ってきて下さい」


声の方を向くとお兄様とヴィクトルが居た。

アル様の後を追って迎えにきてくれたみたい。

恥ずかしい…。


「ジル。やっとセティーに会えたんだ。もう少しくらい良いだろ」

「許したらいつまでもそうしてるではありませんか。セティーを暗くなる前に家に帰したいので早く執務室へ行きましょう」

「はぁ。わかった」


人払いをして、執務室に入り私は男爵令嬢との話をする。


「それは限りなく黒だな」

「男爵家が故意に関与していていないと良いね」

「男爵を呼び出しましょう。業務提携というなら契約書があるはずです。故意に関わっていたとしても男爵を味方に付けなければいけませんね」


「セティー!お手柄だ!よく気付いたな」

「地図を見てたらレオ君がね」

「レオが?」


私はレオ君がきっかけをくれた事を話した。


「やはり末恐ろしい赤ん坊だな」

「あの子は将来大物になるかもしれませんね」

「まさかって言いたいけど、ジルさんの弟だからなぁ」


アル様とヴィクトルはちょっと引いてるみたい。

もう、なんで?

もっと褒めてくれても良いのに。


「セティーが帰る為の馬車の手配をしてきます」

「あーじゃあ俺は護衛の手配をしてくるよ」


お兄様が馬車の手配をしに出て行き、ヴィクトルがわざとらしく護衛を手配すると言って執務室を出ていく。


思いがけずアル様と2人きりだわ。

アル様に近づこうとした瞬間グイッと引き寄せられ、抱き締められる。


「セティー2人きりだ。ずっと恋しかった。少し充電させてくれ」

「アル様。私も…寂しかったの。私も充電させて」

「あぁ…セティー」


チュッ チュッ

額、瞼、鼻、頬、首筋にキスを落とされ、アル様は私の顔を見る。


どうしよう。

口にもしてほしいなんて思うなんて。


「セティー次はどこにキスしてほしい?」

「っ!?」

「それとも…終わりにするか?」

「あっ!」

勇気出さなきゃ。

今度はいつ会えるかわからないんだから。


私は背伸びをして、アル様の唇にほんの一瞬触れるだけのキスをした。

言葉で言うより恥ずかしかったかも…


クイッとアル様の手が私の頭を優しく掴むのを感じた瞬間。

唇にアル様の唇が重なった。

一瞬離れたと思ったら何度も角度を変えて唇が重なる。


いっ息が…。


もう限界という所でアル様が唇を離してくれた


「ハァー。アル様…こんな…いっぱい…」

「はぁ可愛すぎる。セティーからここにキスして貰えて嬉しい」


唇に指を当てるアル様。

言葉に出来ない程美しいわ。


「はぁ、時間切れのようだ」


アル様がそう言うと私から離れる

その直後にお兄様とヴィクトルが戻って来て、私は帰宅した。

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