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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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恋心②

家に帰るため、エメリアとエルランジェ家の玄関に向かう。

廊下の途中でマリアのメイド達が私達に頭を下げる。

「本日はお嬢様の為にありがとうございます。私共一同心より感謝しております」

「親友だもの。当たり前だわ」

「そうですよ!マリアさんの為なら何処へでもです!」


マリアは泣きくれているという設定のため、見送りはせずに自室にいる。


良いメイド達だわ。

主人であるマリアの事本当に心配しているのね。

「マリアをよろしくね。また来させて頂くわ」



「エメリア、送っていくわ」

「ありがとうございます!」


「セティー!エメリア!待って!」

エメリアと馬車に乗ろうとした所でヴィクトルが私達の所へ走ってきた。


「ヴィ君!」

「ヴィクトルどうしたの?そんなに慌てて」

額に汗をかいてるし、息も上がってるわ。

剣を持ってるから稽古をしてたのかしら?


「2人と話しがしたいんだ。時間をもらって良いかな?」

「良いわよ/ですよ!」

「良かった!えっとじゃあ着いてきて!誰にも聞かれない場所があるから!」


馬車の御者に待っててもらい、ヴィクトルに着い行くとエルランジェ邸の森の中のにあった小屋にたどり着い。


「ヴィクトルここは?」

「ここは昔に森の管理人が使って小屋だよ。今は使われてなくて、俺とマリアの秘密基地なんだよ!」

「秘密基地ですか!楽しそうですね!」

「うん!辛い時とか1人になりたい時によく来てたよ。今鍵開けるね」


中に入るとテーブルとソファーがあった。

それとロッキングチェアが置かれて、窓は星柄の布で覆われ、おもちゃや人形が所々にあり、壁にはポスターが貼られていた。


本当に秘密基地って感じね。

あっこのポスター若い頃のお祖父様だわ。

辺境伯家で見たお祖父様の写真と同じ頃かしら。

騎士服が似合ってるわ。


「それで話ってなんですか?」

エメリアがソファーに座りヴィクトルに問いかける。

私もソファーに座りヴィクトルが話すのを待つ。


ヴィクトルはロッキングチェアに膝を抱えて座り小さくなる。

「えっとさ、今日マリアに会ったでしょう。マリア何か言ってた?」

「何かってなんですか?」

「えっとそれは…色々と…」


ヴィクトルにしては珍しくはっきり言わないわね。

聞きたいのは、きっとシャル様や後継者の事なんだろうけど。


私はエメリアと視線を合わせて頷く。

シャル様の事も後継者の事も、ヴィクトルは知っているから話しても大丈夫よね。


「ヴィクトルが聞きたいのはシャル様の事?それとも後継者の事?」

「やっぱりマリアは2人に話したんだね。後継者の事は俺は本当にどっちでも良いだよ。マリアが居てくれれば心強いけど、別にこの家を一緒に継がなくても良いんだ。マリアの好きに生きてほしいんだ。聞きたいのは…マリアとシャル様の事なんだ」

「それは…マリアさんに内緒でヴィ君に話して良いのか、わかりません」

「そう…だよね…。直接マリアに聞けば良いのに。情けないな」

エメリアの言葉にヴィクトルの視線が下がる。


「ヴィクトルは、もしマリアがナハラセス国に嫁ぐ事になるのは反対なの?」


前にシャル様は論外だって叫んでたから、やっぱり反対なのかしら。


「マリアが…本当にシャル様を好きなら…反対はしないよ。シャル様自身は信用の出来るし。シャル様、国に戻る前に俺に頭を下げたんだよ。どんなに仲が良くても一国の王子って立場があるのに。あの時のシャル様の真剣さは本物だよ」

「シャル様、そこまでマリアの事を」


アル様だってヴィクトルと軽口を言い合う仲でも頭を下げる事はないわ。

他国の貴族令息であるヴィクトルにそこまでするなんて。


「それなら、そんなに心配する事はないと思いますけど?マリアさんの気持ち次第ですし」

「マリアはシャル様の事好きだよ」

「「っ!」」

ヴィクトルの言葉に私とエメリアは返答に詰まる。


「ハハ、俺たち双子だよ?片割れの気持ちぐらいわかるよ」

ヴィクトルは困った様に笑いながら話す。

「そして、マリアはシャル様の気持ちに応えられない自分に悩んでるよね」

「「!!」」


流石双子…。

でも、そこまでわかっててどうして私達に聞いてきたのきしら


「マリアがシャル様の気持ちに応えなくても、俺は嬉しいだ。生まれた時から一緒に居る、大事なマリアと離れなくて済むから」

「ヴィクトル…」

「ヴィ君。マリアさんがシャル様に応えなくても、エルランジェ家に残るとは限りませんよ?」

「そうね。マリアは他の方からの求婚が無くなると言ってたけど、そうはならないと思うの」


社交界で評判の良いマリアだもん。

シャル様を断っても、しばらくすれば婚姻の申し入れが殺到するに決まっているわ。


「前にも言ったけどさ、国内で嫁ぐ事になるならエルランジェの名前がマリアを守れるし、俺もマリアを近くで見守る事が出来るから、他国に行かないってだけでも俺は嬉しいよ」


ヴィクトルは何処か寂しそうな顔して話を続ける。


「俺がマリアに直接聞けなかったのはさ…マリアに家に残るって言われたら…マリアの本当の気持ちを無視して賛成しちゃうから。それに…マリアにも俺の気持ちがバレバレだから…。直接話すと…俺の為にこの国に残る事を選択してくれると思うんだ。本当…ダメな兄だよね」

「ヴィクトル…そんな事ないと思うわ」

「そうですよ!ヴィ君はマリアさんの事が大事だからですよ!」


私達の言葉にヴィクトルは首を振る。


「大事だからこそ…マリアが笑ってられる道を選べるようにしないと。ねぇ2人は、マリアがナハラセスに行っても笑っていられると思う?」


ヴィクトル。

揺らいでる目をしてる。

本当はマリアの気持ちを応援したいのね。


「私はシャル様が隣に居る限り、マリアなら大丈夫だと思うわ。マリアらしく笑って居られると思うの」

「『何があっても』って言わないあたり、セティーらしいね」

「その言葉を躊躇なく言えるなら、ヴィクトルだって、こんなに悩んでないでしょう?他国の貴族であるマリアが、苦労しないわけがないわ。でもマリアなら乗り越えられる。そうでしょう?」

「……。」


ヴィクトルは抱えていた膝に顔を埋める。

しばらくして顔をヴィクトルの目に不安や揺らぎはなく、真っ直ぐ澄んだ目をしている。


「うん。そうだね。マリアなら乗り越えられるよね」

「気持ちは決まったみたいね」

「うん。ありがとう。マリアの背中を押す覚悟が出来たよ」

「マリアさんの不安も埋められると良いですね!」

「マリアの不安を埋めるのは、生涯を共にするシャル様の役目だよ。シャル様がマリアの不安を埋めた時、マリアはシャル様の気持ちに応えたいって思うはずだよ。その時、背中を押すのが俺の役目だよ」


私やエメリアがどんなに勇気付けても不安が埋まったり消えるわけじゃないわ。

それに、マリアもヴィクトルと離れるのが辛いはずだわ。

背中を押すのは、ヴィクトルでなければいけないわね。


どっちにしろシャル様が戻って来てからね。

シャル様から手紙やら贈り物が届いてるだろうけど、直接会って話す事が一番大切だと思うわ。


「俺も妹離れしないとね!ジルさんのこと、とやかく言えないや!」

ヴィクトルはニカっと笑い、場の空気を明るくさせる。


「でも兄弟っていいですね!私は1人っ子なので、なんだか羨ましいです!」

「兄弟がお兄様とレオ君だから私は幸せだわ」

「セティーの所もある意味、兄弟愛が凄いよね」

「ふふ、そうでしょう!」

「「褒めてないよ/です」」

「え?」


私達3人は自然と笑い合う。

「ハハハ。それにしてもシャル様は今頃何してるのかな?暗号が送られて来るから状況は把握してるんだけど」

「確か市井で暮らしてるお母様と一緒に居るのよね?」

「そうなんだけど。大臣と繋がりのある、貴族の情報が欲しいのかと思ったのに。知りたい情報がマリアの足のサイズってなんだよ」

「足のサイズ?何それ?」

「なんの為でしょう?」

「さー?わざわざ危険があるのに、暗号文にして送ってきた意味が分からないよ」


足のサイズって…

シャル様の考える事はわからないわ。

まぁ無事に学園に戻って来られれば良いけど。


私とエメリアはヴィクトルに見送られ自宅へ帰った。

次はシャルの話を書きたいとと思っています。


いつかヴィクトルの恋愛話も書けたらいいなと思っています。

あとエメリアの恋愛も。

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