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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
124/235

パーティー①

パーティー当日

エリザベートside


「エリザベート様お久しぶりです。そのドレスとてもお似合いです!綺麗な刺繍ですね!」

「ありがとうございますオリヴィアさん。お変わりない様で何よりですわ」

「そのドレス何処でお作りになられたのですか!?裾が人魚のヒレ様に広がって綺麗です!その刺繍の糸はもしかして宝石が使われています!?」 


オリヴィアは目を輝かせてエリザベートのドレスに見惚れている。


「申し訳ないのですが、このドレスは贈り物ですので、制作に関しては存じておりませんの」

「こんな高価なドレスを贈られるなんて。エリザベート、ついに良い方が?」

ついに…。

相変わらず一言多い方ですわ。

ジェラルド様の名前を出せばジェラルド様にご迷惑が掛かりますわ。

「いいえ、知り合いが贈って下さっただけですわ」

「ただの知り合いがこの様な高価な物を!?凄いです!その方絶対にエリザベート様の事をお好きですよ!」


ズキッ。

はぁ。

笑って流すことにしましょう。


「姉を慕って下さる方は男女問わず多いですからね。姉はこの様な贈り物をよく頂くのです」

マティアス。

目が笑っておりませんわよ。


「オリヴィア様のお兄様はお元気ですか?確か南へお仕事に行かれたと聞きましたわ」

「聞いて下さい!お兄様ったらせっかく出稼ぎに行った思ったら、直ぐに帰ってきてしまったんですよ!肉体労働は嫌とかなんどか言い訳するんです!せめて自分で作った借金くらい自分で返せって話ですよ!」

「たっ大変でしたわね」

「それだけではないんです!お父様ったら今度は私を王弟殿下の所へ売ろうとしたのですよ!」

「!どういうことですの?」

「王弟殿下の伴侶になる為に、王弟殿下の親類の家に養女になるって話が来たのですが、怪しすぎませんか!?はじめは王弟殿下の妃なら、王太子であるアルベルト様が居るし、跡継ぎとか公務とかはそこまで重積ではないし、良いかなって思ったのですが、養女にって所が怪しいんですよ。私の寄親になるとかなら話ならわかるのですが」


やはり、あの話は本当なのかも知れませんわ。

「それで断られましたの?」

「それが保留になっているんです。こうなったら自分で結婚相手を探すしかありません。この会場の何処かに良い方は居るかもしれないので、探しに行ってきます!」


そう言ってオリヴィアはエリザベート達と離れ違う歓談の輪に入っていた。



「なんなんですか、あの失礼な令嬢は!」

「まぁ嘘偽りの無い所がオリヴィアさんの良い所でもあるのいうか」

「いえ大概ですよ。自分の家の事情を他人にペラペラと話すなんて」

「まぁお陰で情報が手に入ったから良しとしましょう」

「そうですけど。姉様、あの令嬢とは一定の距離を置いて下さいね!」

「えぇわかっているわ」


マティアスと話していると2人の男性がエリザベート達に近づいて来た。

「エリザベート様お久しぶりです。相変わらず見目麗しい」

「弟君もお変わりないようで」


話しかけて来たのは分家の者2人。

チラリとマティーと視線を送ると、マティーから心得ているという視線が帰ってきましたわ。

「あら、お久しぶりですわ」

「そちらもお変わりないようで」


「父から公爵へ手紙を送ったそうなのですが、公爵から何か聞いておりませんか?」

「まぁそうですの。もしかして、あの件かしら。それでしたら、ご期待に応えられないかもしれませんわね」

「そっそうですか。そういえばエリザベート様は幾つかサロンを経営されていますよね」

「えぇ。経営といってもオーナーを務めているだけですが」

「経営者をお探しのサロンがあるとか。私でしたらサロンをもっと大きくする事が出来ます!」

「まぁ何処からそんな情報が?有難いのですが、経営者は探しては居りませんわ」

「えっあ、そうなのですか…。それはそれは残念です」


私のサロンは私が嫁ぐ時に全てマティーに譲る予定ですわ。

私とのやり取りを見ていたもう1人がマティーに話しかけました。


「マティアス殿は何やら事業を始めるとか。是非お手伝いをさせて頂きたく」

「そうですか。有難いです。でもそういった大事な事は書面を通して行いましょう」

「では、あちらでお話しだけでも。時は金なりというではありませんか」


なんだか必死ですわね。

まぁ無理もないですわ。

この方は家を継ぐことが出来ない三男なのですから。

自身で事業を起こさないといけませんが、その才はないようですし。

先程の方も家の経営が傾いてますから、私のサロンの売り上げがほしいのでしょうけど。


「大事な話だからこそこの様な場所では不向きかと。お手を借りた時にこちらから連絡を差し上げます」

「そっそれではご連絡をお待ちしております」


男達はエリザベート達とこれ以上話す事を諦め、ドボドボと離れていく。


「ああいった者達の相手は疲れますね」

「仕方ないわ。今はどの家も困窮しているもの」

「それもれそうですが…。飲み物を持って来ます。姉様はワインにしますか?」

「ありがとう。この後の事もあるからお酒はけっこうだわ。そうねレモネードがいいわ」

「わかりました」


マティアスが離れ、エリザベートが1人になるのを待っていた者達がエリザベートに近づこうとする。

その中でいち早くエリザベートに声を掛けた男がいた。


「エリザベート嬢。麗しい貴方と2人きりでお話しがしたいのですが」

エリザベートの手を取り、手に口付けをし、視線をエリザベートに送る男。

その目にはギラついた欲望が見え隠れしている。


確か…。

伯爵家の次男でしたわね。

この方もお家の家計の為か、あるいは…。

「貴方を一目見た時から私の心は貴方でいっぱいでございます」


はぁ。

この手合いは本当に面倒ですわ。


「そうですか。ですが私は何処でお会いしたか記憶にございませんわ」

「覚えておられないのも無理もありません。エリザベート様は高嶺の花。私はその花に吸い寄せられた蜜蜂でございます」


拒絶が通じませんわね。

無視でよろしいわね。

少しすればマティーも戻って来ますし。


私が無視し続けているのに関わらず、ずっと私を褒め称える言葉を発していますわ。


男は無視し続けるエリザベートに徐々に苛立ちを覚え、エリザベートの腕を掴み自分の方へ引き寄せる。


「っ!?」

「私で手を打っておく事をお勧めしますよ。お高く止まっていられるのも後数年でしょう?一緒に公爵家を盛り上げていこうではありませんか」

「!?離しさなさい。ずいぶん失礼な言い分ですわ」


エリザベートは男の腕を振り払い、一歩後ろに下がる。


「理不尽だと思いませんか。私という才ある男が次男だというだけで爵位を継げないなど。しかし、この私には伯爵位は相応しくない。貴方が継がれる公爵位は重みだと思いますが、私が支えて差し上げますよ」


本当に優秀だと言うなら、長子とは関係なく嫡男になれるはずですわ。

お父様がマティーを後継者にすると発表していないので、この様な手合いは今まで居ましたが、この方は群を抜いて気分が悪いですわ。


「姉様。あっ!」

再び男の腕がエリザベートを掴もうとした時、マティアスが戻ってきた。

戻ってきたマティアスはエリザベートのドレスの裾に飲み物を溢す。

マティアスはチラリとエリザベートと視線を合わせる。


「ごめんなさい姉様!」

「いいのよ。私を支えようとしてくれたのでしょう?」

「えぇですが両手に飲み物を持っていたせいで…。姉様、化粧室へ行かれてはいかがですか?」

「えぇそうするわ。では私は失礼します」


その場を離れようとするエリザベートに男は慌てて声を掛ける。

「まだ話しが終わってませんよ!ドレスも特には汚れていないようですし…「姉様、後からシミになるかもしれません。早く化粧室へ。そのドレスは大切な方からの贈り物ですし」

「ええそうね。ありがとうマティアス」

 

マティアスが男の言葉を遮り、エリザベートを化粧室へ行かせる。

その場に残ったのはエリザベートに絡んでいた男とマティアスだけになった。


「たっ大切な方!?」

「えぇ姉の大切な知人からの贈り物です。それより、姉を支えようとして下さりありがとうございます」

「令嬢を守るのも紳士の役目ですよ。そうですか、知人ですか。恋人ではなく」

「人の詮索は紳士を名乗るのに相応しくありませんよ」

「なんだって!?この、分家の生まれの分際で…「私はこれで失礼します。そこの者、これを下げてくれ」

マティアスが男の話しを遮り、ウェイターに飲み物を渡しそのままその場を離れる。


「さて姉様を迎えに行くとしよう」





「マティーたら流石だわ掛けたのはタダの水なのね。これなら化粧室に行く振りだけで済むわ」


化粧室へ行く振りの為、中庭の噴水の前を通るエリザベート。

そこには噴水の中に手を入れている少年が居た。


たしかこの家のご子息。

どうかしたのかしら。


「ぼうや、どうかしたの?」

「えっあ。ボタンを落としちゃって」


エリザベートが噴水を覗き込むとカフスボタンが落ちていた。

子供の腕では届かないようだ。


「今日の為にお父様達から貰った物だから怒られちゃう」

「大丈夫。お姉さんが取ってあげるわ」

「えっ本当!?」

「えぇ。ほらっ取れた」

「ありがとう!お姉さん!」

「どう致しまして」

「じゃあ僕、お母様の処に行かなくちゃ」

「あぁちょっと待って」

立ち去ろうとする少年を呼び止め、ハンカチを取り出し、少年の手に巻きつける。

噴水の縁を掴んでいた手に擦り傷が出来ていた。


「擦り傷が出来ているわ。後で家の人に手当てしてもらってね」

「うん!お姉さんありがとう!」


少年は笑顔で手を振り会場の方へと駆けて行く。


「姉様、こちらでしたか」

「マティーさっきはありがとう。あの男性に何もされていないかしら?」

「僕は大丈夫ですよ。それよりあの男から引き離す為とはいえドレスを汚していまい、申し訳ありません」

「掛けたのはただの水だから大丈夫よ」

「自分用に水をもらっておいて良かったです。僕はこういった場所では水しか飲みませんから」

「良い心掛けだわ」

「成人したらお酒を勧めらるでしょうから、今の様にはいきませんが。それよりそろそろ帰りましょうか」

「えぇ帰るのにも良い口実だわ」



そうしてエリザベートとマティアスはパーティーから帰り、途中でマティアスと別れたエリザベートは手配していたホテルへ向かった。

マティアスの愛称はマティーです。

マティアスと2人きりの時にエリザベートが砕けた話し方をします。

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