後日(アルベルト視点)
アルベルト視点続きます。
パーティーの翌日父に呼び出された。
「父上!お呼びですか」
「来たか。まぁそう硬くなるな。とりあえず座れ」
父が砕けた感じで話しかけてきた。
私の父、ロベルト・ヴェスタトール。
現国王だ。
普段は威厳のある顔で仕事をしている。
他人の目がある所では、いくら親子でも馴れ馴れしくしないが、こうして人目のない所では、いつも私を揶揄ってくる人だ。
椅子に座ると、父がニヤついた表情で話し始める。
「早速だが、昨日のパーティーはどうだった? 気になる令嬢は居たかぁ? たくさん囲まれてモテてただろぅ?」
やっぱりか……。
また私を揶揄うために、わざわざ呼び出したのか……。
「居ても、居なくても同じでしょう」
私は呆れながら答える。
「同じではないぞ、昨日来ていた令嬢の中から、お前の婚約者を決めるんだから」
「その話なら、以前から話が挙がっている方がいるようでしたけど」
「知っていたのか。なんだ、つまらん」
人の婚約を、つまる、つまらないで語らないでほしい。
「だがなぁー。以前から話が挙がっていたマルヴィン家のご令嬢は、お前に興味ないようだし、この話は無かったことにしようかと……」
「!? 父上! お待ち下さい!」
思わず、声を上げてしまった。
「思っていたんだが、婚約候補者とすることにした。どうだ? 嬉しいだろう?」
父がニヤァと嫌な顔をしてこちらの反応を伺っている。
くっ!嵌められた‼︎
「他の令嬢には、大して興味なさそうにしてたくせに。セレスティーヌ嬢にはチラチラ視線を送ってただろぅ。父の目は誤魔化されんぞ」
ダメだ、完全に揶揄われている。
オモチャで遊ぶように私の頬をついてくる父を睨む。
「なんだ、嬉しくないのか。では仕方ない、セレスティーヌ嬢には候補者を降りてもらうしかあるまい」
「いえ、そんなことはありません‼︎」
いけない、揶揄われるのは嫌だが、このチャンスを逃すともう、セレスティーヌ嬢と話すことは出来ない。
ここは我慢だ。
あの中で、一番興味を惹かれたのは間違いなくセレスティーヌ嬢だ。
婚約者であれば、屋敷を訪ねて、会いに行ける。
「セレスティーヌ嬢を婚約者にして下さい」
「それがなぁ。今回のパーティーで、セレスティーヌ嬢がお前を気に入れば正式な婚約者にしたんだが、パーティーでのセレスティーヌ嬢の様子では、お前に興味を示してないようだから、仕方なく、候補者としたのだ」
「そんな!?」
「仕方ないだろう。これは決定だ。ちなみに、セレスティーヌ嬢以外にも候補者は居るぞ。お前との婚姻を結びたいと申し出のあった14名の令嬢がお前の婚約候補者だ」
「はっ!?」
私は驚愕のあまり、固まってしまう
「流石に多いと思ったんだが、なにせ筆頭貴族である公爵家の令嬢が、お前に気がないということで、他の者は自分達にチャンスがあると思っているようでなぁ。断れば角が立つのだ」
「それでも多すぎます!そんな数の令嬢達、相手に出来ません」
「なにを情けないことを。だがまぁ、この中でも有力候補の3名を平等に扱ってれば良い。一人はアルベール侯爵家クリスティーヌ嬢、もう一人がエルランジェ侯爵家マリア嬢だ」
「ん?後一人は誰ですか?」
「もちろんマルヴィン公爵家のセレスティーヌ嬢に決まっている。良いか、いくらお前がセレスティーヌ嬢に惚れているとはいえ、お前は王族なのだ。正式な婚約者が決まるまで、くれぐれも他の令嬢を蔑ろにするなよ」
「♯☆$€%!?」
父にセレスティーヌ嬢に惚れていると言われ、焦りすぎて言葉にならない。
「この際、他の令嬢達は良い。だか、この有力とされる3名はいずれも力のある家だ。正式に決まらない内に一方だけを特別扱いをすることは許されん。セレスティーヌ嬢の所へ訪問するなら、必ず他の2名の所にも訪問するんだぞ。なに、お前がセレスティーヌ嬢を振り向かせることが出来たら、すぐに婚約を成立させてやる。私も王妃とは政略結婚とはいえ、恋愛して婚姻を結んだんだ。お前にも、幸せになってもらいたいと願うのも親の務めであろう」
「父上、わかりました。ありがとうございます」
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自室に戻り、父に言われたことを考える。
父にはセレスティーヌ嬢に惚れていると言われたが、果たして本当にそうなのか。
言われた時は焦ってしまったが、この感情が果たしてなんなのか。
あの日見た、セレスティーヌ嬢の笑顔と辛そうな表情が頭から離れない。
考えても答えは出ず、セレスティーヌ嬢に会えばきっとわかるだろうと、私は考えるのをやめた。




