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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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事情③

「どういう…こと…ですの?私がアルベール家の血を引いていないって」

「私とサンドラは白い結婚なのだ。私の血を引く子供はカミーユただ1人だ」


どういうことですの!?

では私はいったい。


「サンドラとの結婚はレティシアの病を治すための契約だ。知っての通り愛などない。しかしカミーユが生まれて5年が経ち王妃が身篭ったと発表された。同じ年に子供を産む事が出来れば王家に近づくチャンスが出来る。そんな時に父にサンドラとの子を作るようにと言われた。王家に近しい者は庶子ではなく、正統な貴族の血を引く者ではなければいけないという理由でな。もちろん拒否したが、その時は私はまだ当主でもなく、王宮内の地位も高くはなかった。見かねた父がサンドラとの子を作ればレティシアとカミーユへの干渉を止めると言ったのだ。そして1度だけ夫婦の契りを結ぶ事になった」

「それでは私はお父様の子ではありませんか!」


「話には続きがある。その1度の為に最適な日を医師より伝えられ、準備を行った。しかし、私はどうしてもレティシア以外と契りを結ぶとことが出来ず、その日、屋敷に帰ることはなく、その後も屋敷に帰る事はなかった。その事はこの屋敷者達なら知っているだろ。しかし、領地に住む父から怒りの連絡もなく、程なくしてサンドラの妊娠が発覚した」

「まっまさか…」

「ああ、それがクリスティーヌお前だ。サンドラはあの日、問題なく夫婦の契りを交わしたと父に報告し、他の男との子を腹に宿した」

「そっそんな…」


お母様が不貞を?

でっでは私はいったい…。


「ですが、お父様は言いましたわ。男児なら御学友に女児なら妃にする為に産んだと!」

「お前が生まれることでレティシアとカミーユへの干渉が無くなると思い、私はサンドラを咎めず、お前を生ませた。そして出世の為、父の言う通りお前を王妃にしようとした。初めの頃はお前に感謝した。お前が生まれて、父からレティシアへの被害はなくなった。出世し爵位を継ぎ、カミーユを本家に入れる事も許された。それ故にお前にはしっかりと教育をしようとしたが、自分の子の教育に口を出すなとサンドラに邪魔された。まぁ私もサンドラがそう言うのは仕方ないと思いお前の教育は全てサンドラに任せてしまった」

「でっでは、本当に…私は…」

「ああ私の子ではない。お前はサンドラとサンドラの取り巻きであった子爵家の次男との子だ」


そっそんな…。

目の前が暗くなりそうですわ。


「私が…私がどれだけ惨めな思いをしていたと思ってますの!産まずの嫁!寵愛のない、庶民に負ける嫁だと分家の者達に笑われてましたのよ!私は私の責務を果たしただけですわ!」

「もちろん私も悪い。しかし、お前の態度の悪さや強欲さが嫌われているんだ。お前は『社交界の華』ではなく、『社交界の毒花』。毒女と言われているからな」


毒女。

そういえば、お爺様もさっきそのような言葉を。


「サンドラ、お前を告発しない代わりに離縁を言い渡す」

「実家に戻るだなんて!社交界で笑い者になるわ!」

「ではこのまま残りの生涯を牢屋で過ごすか?」

「っ!私は散々今まで我慢してましたのよ!?」

「だからと言ってお前がした事ば殺人未遂だ。けして許されることではない。幸い伯爵家はお前を引き取っても良いと言っている。そろそろ到着する頃だろ」


「そして、クリスティーヌ。お前には選択肢をやろう。産みの親であるサンドラと共に伯爵家に行くか、このままアルベール家に残り侯爵令嬢として修道院に入る。または慎ましく生活し、学園を卒業し、侯爵令嬢として何処かに嫁ぐかだ」

「えっ!?」

「我々の都合で産まれてきたお前に罪はない。故にお前の意思を尊重しよう」


伯爵家に行った所で家計は火の車で没落寸前ですわ。

お金と引き換えに売られる様に嫁がされて終わりですわ!

それならまだ侯爵令嬢として嫁いだ方がマシですわ。

だけど、修道院とはなんですの!?


「修道院とはなんですの!?何故そのような選択肢がありますの!?」

「昨年、マルヴィン公爵令嬢が誘拐された事件。お前は身に覚えがあるだろ?」


なっ何故それを!?

公にされていない筈ですのに!

それに、もうあれから1年以上経ちましたわ。

今も捜査が続いてましたの!?


「なっなんの事ですの。私にはわかりませんわ」

「しらばっくれても無駄だ。お前の使用人はこちらに寝返っていると言っただろ。お前がゴロツキを雇い、公爵令嬢を誘拐し殺そうとした事はわかっている」

「私は殺そうとなど…ハッ!」

「そっそんな!?クリスがそんな事をするなんて、何かの間違えでは!?クリスは確かに高飛車で自己中心的な考えをしますが、決して人を殺そうとするような子では!」


お義兄様…。


「はぁ。クリスティーヌがゴロツキを雇うのに使った使用人なら既に口を割っている。捕まったゴロツキは雇い主を知らないようだが、公爵令嬢を、それも王妃候補を誘拐したんだ、王家と公爵家が黒幕にたどり着かないわけがないだろ」

「っ!?」


バレてますの!?

でも私はこうして捕まってはいませんわ。


「それ故にお前を王太子妃に押す事を辞め、時期を見て候補から退かせた。これが捜査を打ち切って頂くための対価だ。そして私は王家に忠誠を誓い、我がアルベール侯爵家は貴族派を抜けたのだ。お前が、自身の犯した罪に怯えながら暮らすなら良いとしたが、マーサの報告では学園でも公爵令嬢に嫌がらせをしていたようだな。極め付けはあのルビーという学生だ。王宮で取り調べを受けたようだが、お前が唆した事は見張り役のマーサからの報告で知っている」


暴かれる己の罪をお父様の口から言われ身体が震えますわ。


「マーサ…。マーサは私の味方だと……」

「私はアルベール侯爵家の味方だと言いましたよ。気付いておりませんか?使用人達は決してクリスティーヌ様をお嬢様とは呼ばないことを。サンドラ様の事も奥様と呼んだ事はありませんよ。アルベール侯爵家の奥様はレティシア様ただ1人でございます。故に私共は初めからクリスティーヌ様の味方ではありませんよ。旦那様の子でもなく、使用人達を酷く扱うクリスティーヌ様を侯爵家のお嬢様と認める筈がありません」


〝奥様は旦那様の私室でお待ち頂き〟

〝若様〟


感じていた違和感の正体がわかりましたわ。

奥様とはレティシアさんのことで、若様はお義兄様のこと。

ずっと私とお母様だけが他人なのですわ。


お父様、お爺様、マーサにオリバーから軽蔑の眼差しが注がれ、私は力が抜け、ペタンと床に座り込んでしまいましたわ。


「クリス…。マーサ、本当なのか」

「えぇ残念ながら事実です」

「ちっ違いますわ!セレスティーヌを階段から突き落とように仕向ける作を考えたのは私では…「考えたのは他の者でも、その女学生を唆したのはお前だろ!」


「クリス…。どうしてそんな事…」

「わっ私はただ、アルベルト様を…」


好きなだけですわ。


「はぁ。さて、お前の罪が暴かれた所でもう一度問う。お前はどの道を選択するのだ」


お父様から再び冷たい眼差しを向けられ再び身体が震える。

あたりを見渡しても私の味方は1人も居ませんわ。

お母様は小さくなって泣いているだけ。

お義兄様も蒼ざめた顔で額を押さえているわ。


「選べないというならば、私が選んでやろう」

「っ!!大人しく、侯爵令嬢として嫁ぎます!で、ですから…どうか…」

「そうか。お前が性懲りも無くまだアルベルト王子を射止めたいなどと、ほざいたら、私はお前の身柄を王家に献上する所だった」


ガタガタ。

お父様の目、本気ですわ。

本気で私を…。

震えが、治らない。


「そういうことだサンドラ。伯爵家にはお前1人で戻れ」

「クリスティーヌちゃん!クリス!本当はお母様と一緒に居たいわよね!貴方だけは私の味方よね!」

「ひっ!」


お母様が私のスカートの裾を掴み懇願する。

化粧と髪が崩れたその姿はまるで山姥の様。


「いっ嫌!嫌よ!私はお母様の様にはなりたくない!離して!」


ドンッ!

私はお母様を突き放しました。


「どう…して…。貴方は…私の子なのよ…。母親を捨てるというの!?」

「お母様と一緒に行っても私は破滅しか待ってませんわ!私がこうなったのも全部、お母様のせいですわ!」


「旦那様、伯爵家の方々がお越しになられました」

「通せ」


お爺様!?

お婆様!?

それに、おじ様まで!?

その姿は一体。


通された3人はみすぼらしとは言えなくても質素な装いでした。

とても名家の伯爵家の者とは思えませんわ。


「この度は私共の娘、サンドラがご迷惑を…」

「いえ、サンドラとの結婚生活においては私にも非がある。 私に謝罪は要らない。謝罪ならレティシアとカミーユにして頂きたい」

「私とカミーは気にしてないから結構です」


「お約束通りサンドラは引き取ります。そちらも約束は守って頂けますね」

「ああ。もちろんだ」

「良かった。サンドラ、帰るぞ」

「分家の分際で私に命令しないで!」

「ふぅ。まだ現実がわかっていないのか。確かにお前の従兄弟で分家だが、伯爵家の当主は私だ。不良品であるお前を回収してやるだけありがたいと思え」

「ふっ不良品ですって!?」


おじ様。

普段と様子が違いますわ。

お母様に強く言うことなんて有りませんでしたのに。


「ロクな教育も受けず甘やかされて育ち犯罪に手を染めた不良品だろ。昔からお前の事も、お前を溺愛して甘やかす本家が嫌いだった。やっと爵位を手にしたと思えば業績の悪化だ。経営が上手くいっていないというのに、お前の両親はお前に金を流す。おめでたい奴らで困ったよ」

「なっ!」


おじ様の言葉にお爺様とお婆様は何も言えないようですわ。


「そんなお前でもまだ使い道はあるからな」

「私に何をさせるつもりですの!?」

「別に何もしない。ただ新しい所へ嫁いでもらうだけだ」


お母様が嫁ぐのは60歳を過ぎた悪名高い方ですわ。


「嫌よ!そんな所へは行かないわ!お父様!お母様!」

「すまないが私達にはお前を守ってやる力がない」

「私達の為に、伯爵家のためにサンドラちゃんなら頑張ってくれるわよね」

「向こうから既に契約金を頂いてるから覆すことは出来ない。この金とアルベール侯爵に融通して頂く事業で何とか伯爵家は立て直せる」

「私を犠牲にして何が立て直すよ!!」


叫ぶお母様を無視して、おじ様が私に近づいき私にだけ聞こえるように囁きましたわ。


「惜しいな。お前も一緒なら3倍の金額になったというのに」

「ひっ!?」


もっもし、お母様を選んで居たら私は……。


「それでは私達はこれで失礼します。サンドラ、お前には逃げられないように、このまま嫁いでもらう」

「嫌ぁー!!!」


お母様が引きずられながら退場していきますわ。


お母様との思い出が走馬灯のように頭に流れてきましたわ。


「お母様…どうか…お元気で」


一瞬、お母様と目が合った気がしましたわ。





「クリスティーヌさん」

「はっはい」

「怖がらないで。貴方はこれから償って更生していけば良いのだから。とりあえず、立ちましょうか」


レティシアさんが私に手を差し伸べ立ち上がるように諭しましたわ。

私は自然とその手を掴みましたわ。


「はい、よく出来ました。この件はこれで終わり。カジーもいいわね、これ以上この件は掘り返さないのよ」

「クリスティーヌが己の罪を悔い改めているうちはそのつもりだ」

「大丈夫よ。だってサンドラ様と同じように破滅の道へは行きたくないでしょうから。きっと頑張っていい子になるはずよ。ね?クリスティーヌさん。そうよね?」

「はっはい」


「じゃあせっかく顔を合わせた事だし、一緒にカミーに勉強を教えてもらいましょう!」

「「え?」」


「母さんも勉強するの?」

「ええそうよ! カミーの母親として恥ずかしくないように少しは勉強したんだから! 今日はカミーに勉強を教えてもらいたいわ」

「それはいいけど……」


お義兄様がチラリと私を見ました。


「お、お義兄…カミーユ様」

「クリス、お義兄様でいいよ。僕の義妹なんだから」

「お義兄様…。ありがとうございます」


レティシアさんが満足そうに笑って頷いてますわ。







----------------------

「やれやれ、やっと片付いたか。マーサご苦労だったな」

「オリバーこそご苦労です」

「これで一件落着かな」

「どうでしょうね。クリスティーヌ様が言ったように、公爵令嬢を殺害しようとしたわけではないようです。それに学園で公爵令嬢の私物をクリスティーヌ様の更衣室へ移動させた者がいます」

「クリスティーヌ様は敵が多いですからね」


オリバーとマーサは厳しい表情をし、業務に戻っていった。

ほとんど書き上がっていたのですが、最後の所を書く時間がなく、更新が遅くなりました。


やっとクリスティーヌの事情が書き終わりました。

クリスティーヌではなく、サンドラの断罪となりました。

サンドラの断罪を通してクリスティーヌが厚生すれば良いと思っています。

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