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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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デート(マリア)

「来ましたよ!中々カッコイイ人ですね」

「ええそうね。それにしても、今日のマリアは特に可愛いわね」

「ドレスお似合いですね!」

「髪型も可愛いわぁ!」


マリアは花柄に緑のフリルがついたドレスワンピースを着ていて、髪も編み込まれ所々に青紫の花が飾られ中央に金のリボンがついてとっても可愛い!

デートだと聞いて、マリアのメイド達が張り切ったのね!


「なんだよ。あんな奴の為にあんなに粧し込んで」

「ヴィ君あまり顔出さないで下さい!見つかっちゃいます!」

「そうよ。何のために変装してると思ってるのよ!」


そう、言った通りマリアのデートに尾行しているのよ。

本当は私とエメリアだけでする予定だったんだけど、ヴィクトルも付いて来たのよ。


さっきからヴィクトルの目つきがやばいわ。

何時もの天真爛漫な笑顔は何処にいったの?

まぁ無理もないか。

マリアのあまりの可愛さに大使の方も見惚れているみたい。


「あぁ、マリアの手を!」

「ヴィクトルったら。ただのエスコートよ。移動するみたいね。行きましょう」


オペラに着いたわ。

マリア達が見える対角のボックス席が取れて良かったわ。


「こんな良い席でオペラを見るなんて良いんでしょうか」

「良いのよ。これもマリアを見守るためよ」


私はオペラグラスを取り出し、マリア達を見る。

あっ手を握られてる!


「セティー!オペラグラス貸して!」

「あっヴィクトル!」

「アイツ!マリアも苦笑いしてないでもっと嫌がりなよ!」

「ヴィ君、とりあえずオペラが始まりますよ」


オペラは結婚目前の恋人達に1人の王族が女性を気に入って横槍を入れるけど、2人で様々な事を乗り越えて結ばれるというラブロマンス。

ゔーん。

ストーリーはイマイチかな。

どうせならあの王族の人とくっついたら面白かったのに。


この後はカフェに行くのかな?

早く追いかけなきゃ!


王都の高級店。

カフェだけど、高級店が醸し出す重厚な雰囲気であまり若いお客は居ない。


「セティー、何を注文する?」

「私はオススメのアフタヌーンティーとスコーンにしました」

「おれ、いや私はサンドイッチのセットにしたよ」

「うーん。そうねぇオススメの紅茶も良いけど、ローズマリーのハーブティーにするわ。それとこのケーキも注文するわ」


最近マリアとハーブティーにハマってるのよね。


マリア達も注文するのね。

店員が男性にメニューを渡しているのが見え、男性はそのままメニューを閉じ、メニューを店員に返していた。





--------------------

マリアside


はぁ、ついにこの日が来てしまったわ。

「お嬢様、お荷物が届いています。きっと旦那様からですわ。メッセージカードはありませんが、何時もの包装ですし」

「何かしら?」


確かに何時もお父様から頂く贈り物と同じ包装にリボンも同じだわ。

このタイミグでメッセージカードも無しなんて、胸が騒つくわ。

とりあえず開けてみましょう。


「っ!」

たくさんの青紫の花飾りに金のリボン。

青紫の花の間に白やピンクの小さな花が付いていてとても可愛いわ。


私はそこまで鈍くないつもり。

だから、これが誰からの贈り物なのか、わかったわ。


「素敵ですね!今日の装いは花柄ですし髪飾りはこちらにしましょうか!」

「えっ?でっでも」

「クリーム色に淡い紫の花柄ですし、色合いも大丈夫です! 髪は編み込んでスッキリ見せましょう!」


流石にこれを身に付けてデートに行くわけにはいかないわよね。

正直に言おうかしら。


「お嬢様、今回は私達にお任せ下さい!」

「さぁ皆んな、やるわよー」

「えぇ、皆んなちょっと」


はぁ。

あっという間に支度されてしまったわ。


「マリア嬢、本日は無理なお願いをお受け頂きありがとうございます」

「いえ、本日はよろしくお願い致します」


何かしら。

じっとこっちを見ているわ。


「何時もと装いが違うのですね」

「えぇ、友人が着ていたのが羨ましくて。それにこういうデザインは着れるうちに着ておきたくて」

「よくお似合いですよ。そうですね、そういったドレスは乙女のうちに楽しむものですからね」



ゔーん、何かしら。

最後の一言が勘に触るような……。

いけない、いけない。

こんな事、気にしちゃ失礼よね。

それより、セティー達近くに居てくれてるのよね?


辺りを見渡すと自分と同じ赤髪が視界に映る。


!?

ヴィ!?なんで居るの!?

というか、その格好は何!?


よく見ると一緒に居るのセティー達だわ。

皆んな変装してるわ。

じゃあヴィの格好も変装なのね。

ふふふヴィの女装、叔母様にそっくりだわ。


皆んなが側に居ると思うと心強いわ。






このオペラ、イマイチ自己投影出来ないわ。

それに恋人の彼より王族の男性の方が断然惹かれるわね。

あの熱い眼差しと甘いセリフ。

俺様なのにちょっと不器用な所がいいわ。


「今回は普段、歴史物を手掛けている作家が珍しく恋愛物を手掛けたのですが、私はやはり歴史物が好きですね」

「そうでしたのね。私は恋愛物好きですよ。他にフィクション物も好きです」


ロマンス小説の様な恋愛物が特に好きだわ。

恋愛物はフィクション・ノンフィクションどちらとも好きだわ。

冒険物語のような空想の世界も好き。


「音響は良かったですね。オーボエ奏者の腕が良かったですね」


音響やストーリー構成、それに作者の話しを詳しく話す彼。物知りなのね。

でも私はもっと登場人物について語りたいわ。


「お話では婚約者の彼と結婚しましたが、王族の彼も素敵でした。自信家なのに少し不器用でとっても一途な所が惹かれます」

「そうでしょうか。王族の彼を選ぶのはリスクがありますよ。この先の苦労を考えれば婚約者を選ぶのは必然かと思います」


別に王族の方と結婚すれば良かったのになんて言ってないんだけど。

ただ王族の彼のキャラクターが魅力的だって話しよ。


シャル様とはこういう話も楽しかったのに。


「お待たせ致しました。当店オススメのアフタヌーンセットと紅茶でございます」

「ありがとうございます」


サンドイッチとスコーン、それと紅茶が運ばれてきたわ。

高級店だけあって紅茶はいい香りがするわ。


だけど、他にどんな紅茶があるか知りたかったから少しくらいメニューが見たかったわ。

デートをエスコートされてる側なんだし、リードしてもらってるのだから仕方ないけど。


そういえば、シャル様と行ったカフェで出てきた3段のティースタンド可愛かったわ。

あれはシャル様と一緒にメニューを見て決めたのよね。

私の好きな本をモチーフにしたメニューが多くて、選ぶだけでも楽しかったわ。


ハッ!

いけない、いけない。

人と比べるなんてダメよ!

でもそう思うって事は私は今あまり楽しいと感じていないのね。



「そういえば、その青紫の花飾り珍しいですね。貴方はいつも髪飾りは白色を多くお使いになられているのに」

「確かにそうですね。これは今朝届けられた贈り物なんです」

「青紫の花に金のリボン。失礼ですが誰からの物か伺ってもよろしいですか?」

「差出人のメッセージカードも無かったのでわかりませんが、恐らく父か親戚のあたりかと。いつも贈り物をしてくださる際に使われている包装でしたから」

「そう…ですか。それなら良いのですが」


普段着けてる髪飾りなんて、良く見てるわね。

ヴィも少しは見習ったらいいのに。

それにしても、気付かれたかしら?

この国で瞳か髪に青紫色を持つ人は少ないわ。

髪が金の方はたくさん居るけどね。


しばらくお茶をしてカフェを出て寮まで送られる。


そろそろデートも終わりかしら。


「今日はありがとうございました」

「いえ私の方こそ楽しかったです。やはり私は貴方と共に居たいと思いました」


そっと手を握られる。


こっ断らなきゃ。

「申し訳ありませんが、私は貴方との今後を考える気がございません。どうか、この手を離して下さい」

「どうしてですか!? 私と共に歩めば貴方の願いが叶うというのに」

「私の…願い?」

「えぇ、外国を渡り、様々な文化に触れ、ゆっくりと本を読む生活。それが貴方の理想の生活では?」

「いいえ、違います。わっ私は旅行がしたくてお父様に付いて行っているわけではありません。私は将来外交の仕事がしたいのです。戦争が無くなり平和になったからこそ、他国との物流を発展させ、他国の文化や発明を取り入れる。それが先この国の発展に繋がり、国民の引いては王家の為と考えています。その為にお父様に付いて勉学に励んでいるのです」

「仕事をする?女性の、ましてや侯爵令嬢である貴方が?」


男の顔は明らかに理解に苦しむという顔をしている。


「このヴェスタトール国では女性が官僚になることも可能です。男性優位はまだまだ根強いですが、可能性はあります」

「しかし、他国では女性の官僚はいません」

「ええですから、貴方と貴方の国に行く事はできません」

「理由はそれだけですか?侯爵は貴方が働きたいことを知っているのですか?低位貴族の令嬢ならまだしも貴方が働く必要などないでしょう?国への忠誠心は御立派です。ですが貴方でなくとも……「手を離しなさい!」

「!?(ヴィ!?)」


ヴィクトルがマリアと男の間に割ってはいる。


「マリアの手を離しなさい!」

「だっ誰ですか貴方は!?」

「いっい従姉妹です!ヴィ、ヴィアンいいから」

「デートしてダメなら諦めるって言ってたくせに」


はぁ。

もうヴィったら。

私はため息をつき頭に手を当てる。


カサ。

頭に当てた手が髪飾りに触れる。


大丈夫。

ちゃんと言えるわ。


「私は貴方のことを好きになることはありません。お引き取り下さい」

「マリア嬢…。最後に一つだけお聞かせ下さい。あの方、シャルエラント王子もご存知ですか?」

「えぇ。否定せず、私の話を聞いてくださいました」


「わかりました。身を引きます」

「ありがとうございました。お気持ちに応えられなくてごめんなさい」

「いいえ、今後もお会いすることがあると思いますが、その時はよろしくお願いします」

「はい」





「もうヴィったらヒヤヒヤしたじゃない」

「ごめん、いてもたってもいられなくてさ」

「「マリア/さん」」

「二人ともありがとう。ふふふ、2人ともそのウィッグ似合ってるわ」

「思いきってピンクブロンドにしたのよ」

「私も黒髪なんて新鮮です」

「「でも1番は」」

「うん、ヴィの女装よね!ヴィったら叔母様にそっくりだわ」

「ゔー。変装なんだから仕方ないだろ!」


皆んなのおかげで気分が沈まずにいはれるわ。


「マリア、その髪飾り素敵ね」

「ありがとう。この髪飾りにも勇気を貰ったわ」

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