プロローグ
初投稿です
拙い文章ですがよろしくお願いします。
「やばい、遅れる」
私姫宮さくの、20歳大学生。
その日、乙女ゲームのイベント会場に向け、車を運転していた。
『銀の乙女』その名の通り銀髪の乙女が学園で攻略対象と恋愛をするいわゆる乙女ゲームだ。元々アニメ、ゲーム大好きな私は今このゲームにどっぷりハマっている。
ゲームの登場キャラは完璧美少女とイケメンな攻略対象達、そして乙女ゲームにつきもの悪役令嬢といわゆるテンプレのような構成だが、この攻略対象の1人が私の好みドストライクなのである。
今まで攻略してきたどのキャラ達よりブッチギリで好みなのだ。
その彼はアルベルト・ヴェスタトール王太子。
少しクセのある金色の髪に青に灰色がかったブルーグレーの瞳、そして王子としてではなく、時折見せる素の表情や完璧に見えて嫉妬深かったり、他の攻略対象者達に焦る姿は悶えた。
悪役令嬢の婚約者だが他のゲームの王子とは違い、嫌いな悪役令嬢に主人公への気持ちを打ち明け、謝罪する姿は好感が持ててキュンとした。
ゲームが出てから半年、ようやくこのゲームのイベント開催とあって、前日の夜はかなり興奮し寝付けなかった。
そのせいで寝坊してしまった。
幸い信号につかまらず、制限速度ギリギリの運転をしていた。
「これなら間に合うわぁ。」
会場まで後少し、そんな時に突然猫が路上に飛び出してきた。
えっ!うそ!?
そう思ってもブレーキは間に合わず、避けた勢いでガードレールに突っ込んでしまった。
突っ込んだ時に頭をハンドルに勢いよくぶつけてしまったようだ。
遠くなる意識の中で、私は会場限定販売の推しキャラグッズのことを思い浮かべた。
せめて、せめて、一目最愛の彼グッズを見たかった…
私の意識はそこで途絶えた。