表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/196

騎士令嬢、面食らう

侍従の少女に先導されて小城の中を進む。

すれ違う兵士の数自体は多くはない。


やはり北部森林地帯のダンジョン遠征に都市の戦力を割いているのだろう。ただ、すれ違う者は皆、イルゼ殿と違う徽章の武器や防具を身に付けている…… さしずめ遠征の名目で都市からリースティア家の縁の者を追い出した様だな。


むふ、この感じだと現状でこの小規模な城塞に詰める兵士は50名前後ぐらいか…… 旧市街の城門付近の兵舎にもいるのかもしれないが、速やかに行動すれば問題はない。


俺はもしもの時に備えて考えを巡らせる。


互いにイルゼ嬢とマリの影に潜んでいるため直接の意思疎通の手段は無いが、スカーレットも城塞内部をマリの目を通して観察し、行動プランを練っているはずだ。


まぁ、俺とスカーレットの二人ならこの程度の数、何とでもなるけどな。

そうこうしているうちに、城塞の応接室に通される。


其処には、派手な装飾は無いがしっかりとした造りの椅子にふんぞり返る大男がいた。品の良い簡素な椅子と比べて無駄に装飾の多い衣装を纏っている赤髪の偉丈夫のミスマッチを鑑みれば、応接室のインテリアは前領主の趣味なのだろう。


「…… お久しぶりですね、ウェルガ殿。いえ、今は一領主なのですからベイグラッド卿と呼ぶべきでしょうか?」


そのウェルガ・ベイグラッドの脇にはこれまた屈強な兵士が二人、仁王立ちしている。それに、俺達が通ったあとに閉じられた扉の裏側に偽装された魔力を感じる。魔術師が2名ほど待機しているな……


「イルゼ殿、また会えて嬉しく思う。地下ダンジョンで行方不明になったと聞いて心配していたぞ。まぁ、座ってくれ」


現領主はにかっと笑顔で応じて着座を促すが、その目は笑っていない。

イルゼ嬢はテーブルを挟んで対面の椅子に座り、その隣にマリが立つ。


「挨拶の直後に失礼しますが、確認したいことがあります」

「ふむ、父君のジフル殿の事だな?」


「病死したと聞きました。医師の見立てではまだ1~2年は持つとの事でしたが……」


「あぁ、貴女が行方不明となってから見る見るうちに衰えてな…… 先月に亡くなった。葬儀は我がベイグラッド家が執り行ったので安心しろ」


「その事に関してはお礼申し上げます」


イルゼ嬢が頭を下げる。


「しかし、今の状況をどう説明なさるつもりでしょう。リースティア家の者を差し置いてノースグランツ領を治めるなどと……」


「勘違いするな、イルゼ殿」


ウェルガが一通の書状をイルゼに見せる。


「は?」


それにはジフル・リースティアとゲオルグ・ベイグラッドの署名と一緒にこう書かれていた。


『イルゼ・リースティアとウェルガ・ベイグラッドの婚約を認める』


「つまり、俺が正式なジフル殿の後継としてノースグランツ領を受け継いだわけだ」


イルゼ嬢の顔は引きつっていた……


読んでくださる皆様に感謝です!!

拙い作品ではありますが、頑張って書いて行こうという励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ