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魔王、帰郷に付き合う

「魔王殿、少し宜しいでしょうか……」

「ん、どうした?」


不意にイルゼ嬢から声がかかる。


「実家に帰らせてもらいたいのです」

「は?」


「説明が足りませんわよ、イルゼ」


フリーズする俺に対して、スカーレットが彼女に詳細を促す。


「恐らく、ダンジョンのある森林地帯の外縁部に駐留する王国兵の内、半数がノースグランツ領兵だと思います」


「それがどう実家につながるのですか?」

「…… 私の父はノースグランツ辺境伯、ジフル・リースティアです」


なるほど……


従卒兵が付いていたり、装備品が中々の代物だったから、それなりの貴人かとは思っていたが、領主の娘か…… 増々、地下20階層の前線に配置されていた理由がわからん。


ん?


「ミツキ、ノースグランツ領というのはどこの事だ?」

「ご理解いただけるように申しますと、旧魔族領フラウグロスでございます、我が君」


フラウグロス……


「何ッ!?ここなのかッ」


「はい、都市エベルを中心としたこの辺り一帯がシュタルティア王国ノースグランツ領で御座います」


これは真面目に話を聞いた方が良さそうだな……


「実家に帰ってどうするんだ?」


「元々、病に臥せっていた父は自身が責任を持てない状態での派兵を断っていました。それは今までの父の功績を鑑みて、王もお認めになられています」


「つまり、領兵が動いている理由が分からないと?」


「はい、戦いになる前に一度、父に確認をさせて頂ければと…… 真意を確かめたく思います」


ふむ、無駄な犠牲が減るのであれば、双方にとって悪い事ではあるまい。


さきほどミツキは後続の兵が来る前に一個連隊を潰しておけと言っていたが…… ちらりと黒髪の鬼姫を見やる。


「ご随意に……」

「先に森の外の王国軍を叩かなくてよいのか?」


「戦術的に利がありますれど、戦略的にはまた違ったものになるかと…… 今の我らの総数を考えると、敵対路線に無理があるのは重々、承知しております」


あぁ、そう言えば王国側に取り入る算段もしていたな、鬼人族は……


「で、どーするのさ、イチロー」


「…………」


じっとイルゼがこちらを見詰めてくる。


「……許可する」

「ありがとう御座います、魔王殿」


彼女がペコリと頭を下げると、その奇麗な金の髪が流れる。


「ただし、俺とスカーレットも行く」

「はい?」


今の人間達の都市と言うのも見ておきたいからな…… まぁ、ダンジョン内で遭遇した王国兵の装備を見るに技術的革新はここ300年、あまりなかったようにも感じるが、実際のところは分からない。むしろ、生産性などは向上しているのかもしれん。


つまり、垂直的発展ではなく、水平的発展を遂げている可能性があるという事だ。


因みに、今の王国軍の練度を考えると、かつての人間達の軍隊の方が練度は高く戦い慣れていたな…… その点に関しては現状、助かっているので文句はない。


読んでくださる皆様には本当に感謝です!!

拙い作品ではありますが、頑張って書いて行こうという励みになります。

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