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魔王、天狼より報告を受ける

二匹の銀と黒の狼は森林地帯の外縁部まで移動し、そこからは背を低くして草原の中をシュタルティア王国軍の陣地の近くまで進んで行く。


「…………」


一切の声を上げる事もなく、その陣地から一定の距離を取りつつ、ぐるりとまわり、何度が頷く仕草をした後に二匹の狼は森の中へと帰って行った……


そして、大きく大地に口を開けたダンジョンの付近で、月明かりの下、銀色の狼が徐々に人の姿を取る。白い肌に銀の髪、ぴょこぴょこと動くケモ耳を頭にのせた天狼、ヴィレダである。


「ん~ッ、久しぶりに獣化して駆け抜けると気持ちいいねッ」

「…… (コクッ)」


同じように黒狼から獣人の姿に戻ったベルベアが同意を示す。

因みに二人とも真っ裸だ。


服は獣化した時に脱げてしまった。

その服を取りに、この場所へ戻って来たのだ。


「に、しても結構いっぱいいたね」

「……想…定外?」


「でも、イチローなら何とかするよ」

「…… (コクッ)」


「取りあえずは報告だね」


モソモソと服を着る二人の近くに転移ゲートが開き、そこから鬼人のミツキが歩み出てくる。


「首尾は如何ですか、ヴィレダ殿」

「何も問題はないよ」


「では、戻りましょう、我が君が待っております」


服を着終えたヴィレダとベルベアは転移ゲートを経由して謁見の間に戻るのであった。


……………

………


謁見の間には、さっき帰還したヴィレダとベルベア、彼女達を迎えに行ったミツキ、そして、俺の補佐にあたるスカーレット、技術部門の責任者であるリーゼロッテが佇んでいる。


なお、アドバイザーとして呼んだイルゼ嬢の姿もある。


「では、報告をお願いしますわ」

「ん、分かった」


スカーレットに促されて、地上へ偵察に出ていたヴィレダの報告がはじまる。


「先ず、シュタルティア王国軍は森と草原の境界付近に陣を張っていたよ」

「あぁ、概ね予想通りだな…… ヴィレダ、陣形と兵数は?」


兵数の差を活かすのは遮蔽物の少ない平原に限るからな。

となれば相応の兵数がいるんだろう……


「ダンジョンに潜ってきていた連中を本陣の左右に150名程ずつ、その本陣には盾兵200名程、歩兵500名程、魔術師兵80名と予備戦力で、総勢1200名強の一個連隊規模かな?」


日頃は本能のままに振舞うヴィレダであるが、戦闘に関わる事であれば的確に状況を見極める事ができる。その彼女の報告を聞いたイルゼ嬢が怪訝な顔をした。


「どうした、イルゼ殿」

「……いえ、少々、私が予測していたよりも規模が大きいだけです」


「では、どれくらいの数の王国軍を想定していたのです?」

「そうですね、増援の王国兵を合わせて一個大隊ほどかと……」


彼女は少し考え込みながら、ミツキに返事を返した。


なるほど、彼女の想定の倍の兵数が陣を張っていた事になるのか…… 正直、疲弊している今の魔族の戦闘要員数を考えれば、厳しいところだな。今後の事を考えれば単に勝つだけでなく、損害を最小限に勝たなければならない。


「まさか、都市エベルのノースグランツ領兵を動かしたのですか…… 誰が?」


イルゼが上の空で呟いたそんな言葉が俺の耳に入ってきた。


読んでくださる皆様には本当に感謝です!!

拙い作品ではありますが、頑張って書いて行こうという励みになります。

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