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魔王、目的を忘れて牛丼屋に吸い込まれる!

「ッ、こ、これは!? 鉄の塊が走っています!」


あぁ、自動車の事か…… テンプレだな。


「落ち着け、スカレ、さっきそっちに移し替えた俺の知識に在る筈だ」


「…… はい、ありました。自動車ですね、でも知識にあるモノと実物では全然違いますわ!」


暫時瞑目した後、興奮気味に彼女が答えた。その様子に小さい頃から未知のモノに対する興味が強い娘だった事を思い出していたら、軽く袖を引かれる。


「あれが、びるでぃんぐですか? 飾り気が無いように見えますけど、洗練された雰囲気のある建物ですね。しかもどれも高いです、どうやって建築したのでしょう」


「そういう疑問に答えてくれる大きな図書館にこれから行くんだ、そこで調べてもいいな」


「ほんとですか、イチロー様!」


スカーレットが凄い勢いで喰い付いてきた。


「ただ、今回の目的は向こうで再現可能な動力と発電知識の補充だけどな」

「動力と発電ですか?」


「そうだ、向こうでシステム開発の環境を作る」

「しすてむ開発? 申し訳ありません、蒙昧な私をお許しください」


彼女は申し訳なさそうな表情をするが、短時間の精神干渉の魔法で渡せたのは日常会話程度の日本語と街のイメージ、そこにあるものの知識だけなので仕方ない。


「兎に角、先ずは先立つものだな……」


人目に付かないように表通りに背を向けて空間魔法を展開し、握り込める程度の金塊を収納空間から取り出す。勿論、ただの金塊で加工もされていなければ刻印も無い。


このままでも換金できる店はあるかもしれないが、怪しい店なのは確定だし、安く買い叩かれる。いや、向こうの世界の錬金術で作った金塊だから原価はそれほどでもないけどな。


一応、刻印の偽造は犯罪になる事を考慮した上、金塊に魔力を流し込んで加工を施し、無刻印の様々なゴールドアクセサリを作り出した。


「…………」


ふと気づくと、スカーレットがそのひとつである魔術式をデザインとして刻んだリングを見つめている。


「気に入ったか? それならスカレが持っているといい」


「ありがとう御座います! それと他の耳目がある場では、スカーレットとお呼びください。私もいつまでも子供ではありませんので……」


「分かった、気が回らなくて悪かったな」

「いえ、問題ありません」


返事と共に微笑を返してくれる彼女と複数の質屋を周り、刻印の無い貴金属アクセサリーを売った後、当初の目的地である都立中央図書館を目指す。


ただ、グラマラスな金髪美人であるスカーレットが目立つので周囲を気にしていたら、何の脈絡も無く牛丼家が俺の目に留まった。


その瞬間にこの身体になってから半日以上、何も食べていない事に気付いた俺はふらふらと店舗に吸い込まれていく。

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― 新着の感想 ―
[一言] アクセサリに加工するという発想が頭から抜け落ちてた。 ただデザインなどは個人のセンスによると思う
[気になる点] 質屋で売った時の身分証の描写がありませんね。
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