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吸血姫、頭上の障害を焼き払う

ダンジョン最下層の中央部吹き抜けにて……


スカーレットはその紅の魔眼を細めて上空を眺める。

その視線の先では何か複数の影が宙を舞っていた。


「お嬢様、最下層中央部への立ち入りの制限が終わりました」

「ありがとう、ゼルギウス」


このダンジョン最下層の中央部は吹き抜けではなく地面が存在している。

そこに吸血飛兵小隊の30名が居並んでいた。


彼らの手には中央工房製作の自動小銃カ○シニコフの惑星“ルーナ”仕様、AK‐46(瑠)が握れられている。以前のAK-46(偽)のライフリングがより改良された制式版だ。


これより、スカーレット麾下の吸血飛兵小隊は封鎖された地下13~14階層の偵察に赴く。魔物の氾濫より暫くの時が経ち、再度の確認が必要な時期となっていた。


「皆の準備は整いましたか?」

「お嬢様、委細整いまして御座います」


「では、参りましょうか」


吸血鬼達が一斉に黒い靄状の翼を展開し、自ら風魔法で起こした上昇気流を翼に受け止め、垂直に飛び上がっていく。


一泊、遅れてゼルギウスとスカーレットが飛び立ち、先行する配下の後方に付ける。吸血鬼の小隊は次々と階層を飛び越え、目的の階層を目指した。


ある程度、上層へ近付いた際に頭上の影の正体が判明する。


「あれは…… グリフォン? 何故、あんなにも数が……」


グリフォンは“魔物の渦”から滅多にこのダンジョンに出てこない魔物である。人間達が用意した“誘引香”によって、本来は宙を舞う彼らも惹きつけられたのだろうか?


「…… 銃を空に向かって撃てば、いずれ推力を失って落ちてきますわね。危なくないのでしょうか?」


一瞬考えた後に念のため号令をかける。


「総員、停止」


その言葉に従い吸血鬼達が上昇を止める。

彼らは滞空できる程度の風を魔法で起こし、翼に受けとめて揚力を得た。


「皆、私より高度を落としなさい、頭上の障害を焼き払います。ゼルギウス、少し集中しますので警戒を頼みます」


「承知に御座います、お嬢様」


高度を落とした吸血飛兵が警戒する中、スカーレットは瞑目する。


吸血鬼の種族固有能力である“飛翔翼”は魔力による翼と風魔法の組み合わせである。それを行使しながら、大きな魔法を組み上げるのは時間と集中が必要なのだ。


すっと、目を開いたスカーレットが射線上に同胞がいない事を確認し、両腕を頭上に掲げる。


上空から中央の吹き抜けに降り注ぐ陽光を受け、宙に浮く彼女の髪が輝いて見えた。その様子に周囲を警戒する同族達が一瞬だけ見惚れてしまうのは仕方のない事だ。


「……… 煉獄の炎よ、万物を焼き払え」


次の瞬間、スカーレットの掲げた両腕の先に巨大な火球が生じる。

その火球は狙い過たず、頭上のグリフォンたちに向かって撃ち込まれた。


「クキュアーーーッ!」

「ギュエーッ!?」


上空を舞っていた数匹のグリフォンが炎に包まれて落下してくる。

それを吸血鬼たちは羽ばたきながら器用に躱していく。


燃え盛るそれはダンジョン最下層に向けて中央部の吹き抜けを落下していくのだった。


「皆さん、進みましょうか」


再び上昇を始めた吸血鬼たちは中央部の吹き抜けを経由し、地下14階層に辿り着いた。


読んでくださる皆様には本当に感謝です!!

拙い作品ではありますが、頑張って書いて行こうという励みになります。

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