表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/196

魔王、無駄飯喰らいと再会する

そんな中で一際目立つのが幼体でも相応の大きさがある鷲獅子を胡坐(あぐら)の上に乗せ、至極満悦な様子で柔らかそうな毛並みをもふり、だらしなく表情を緩ませた赤毛の大男である。


ノースグランツ領の簒奪に失敗して地下ダンジョンの牢獄へ囚われ、余り太陽の光を浴びていなかったが(ゆえ)、若干色白になった気もするが…… 本人(いわ)く、“やる事が無さすぎて一日の大半を筋トレに費やした” と(のたま)う、筋骨隆々なベイグラッド家の長兄ウェルガだ。


「むぅ、そこにいるのは魔王殿ではないかッ、久しいな!!」


良く通る大声で叫び、片手を掲げてきたので此方(こちら)も振り返しておく。どうやら、膝の上に乗った()グリフォンを除ける意思はないらしく、奴は再び毛繕(けづくろ)いという名の作業に没頭していく。


「…… あれは放置で良いのか?」

「えぇ、ダンベルなどを牢獄に差し入れてくれた黒毛の……」


少し思い出すような仕草でクリストファとは面識の薄い黒毛和牛、もとい精悍な牛人の姿が脳裏に浮かんだ。


確か、牢獄区画はミノタウロス族の管轄であるため、虜囚だったウェルガと既知(きち)でもおかしくない。


「ダロスのことか?」


「はい、()の御仁に(さと)されたようで、(ただ)の兵卒になった経験など無いにも(かか)わらず、一兵卒から()()()()などと言い出したのです」


苦笑いを浮かべた次男坊から(さっ)するに父親のゲオルグも領主の立場や体裁があり、嫡子に領兵の真似事などさせる訳にもいかず、相当に頭を抱えたのだろうと予測できる。


ミザリア領の兵達にしても気兼ねは避けられないし、命令を下す騎士らも扱いに困るのは必至だ。


「その心意気は別として、非常に迷惑千万だな」


「でしょう? 何とか説得して、新設する鷲獅子飛兵隊の配属になって貰いました。精鋭部隊の指揮官ならば親父の立つ瀬もありますから」


色々と身内や周囲に気を(つか)われている辺り、まだまだ未熟だと思うものの本人は幸せそうなので、余計な口は挟まずに赤毛の大男から視線を()らす。


それで区切りが付いたと見たのか、傍に控えていたミツキが口元を鉄扇で隠しながら、静かな声音で言葉を(つむ)ぐ。


「牧場の視察も良いですけど、それ以外も御忘れなきよう」

「エルゼリス領との通商に(かか)る件か?」


現在、ノースグランツ及びミザリア領は魔族廃絶主義を掲げる白夜教の嫌がらせで経済封鎖されており、不死王領域との取引があると()えども品目に依っては物価の乱高下が激しい。


窒素系肥料を使用した近代的な農業が軌道に乗っている事に加え、最悪は外海に繋がる港湾もあるので喰うに困らないが、長期的な視点だと解決すべき優先事項の一つだ。

★ 物語の書き手としての御願い ★


皆様の応援は『筆を走らせる原動力』になりますので、私の作品に限らずに縁のあった物語は応援してあげてくださいね!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 超兄系な人来ましたね? きっと世界絶滅光線〉ボム使えますね。 ラングリッサー2では数ターン恐怖感をプレイヤーに煽って頭の血管が切れて兄貴達は全滅しました(笑) [気になる点] おっさんがも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ