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魔王、紛争の収束を見届けて帰路に着く

「…… 一度、北門周辺から兵を引けと、そちらは市街に竜騎兵隊を残すのに?」


「ご理解いただきたい、ベイグラッド殿…… 此方も撤退時に背後から奇襲をうけては堪らないのだ」


フレスト殿の提案を要約すると、両軍の距離を物理的に開けて、撤退開始以後は此方の動きを監視するため、脚の早い航空戦力のみを暫く市街に残置したいという事だが……


「その竜騎兵達が去り際に火を放つ可能性もありますよ、クリストファ様」

「貴様ッ、誇り高き竜騎兵隊を愚弄するつもりか!」


「だからヴァルケ殿を煽るなよ、ジグル…… 言われずとも分かっている」


普通に考えればそれこそ無益で、リベルディア騎士国が自国の評判を落とす結果にしかならない。


ただ、実際に市街が火に包まれるとミザリア領兵は住民の救助活動を優先せざるを得ないため、追撃を防ぐ効果的な足止めになるのも事実だ。


「ふむ…… 魔王殿?」

「俺よりもスカーレットに聞いた方が良いんじゃないか」


視線を投げてきたクリストファの頼みを予測し、先回りして切り返す。


リベルディアの撤退時に城塞都市へ最後まで残留する竜騎兵隊に対して、ミザリア・ノースグランツ連合軍側も吸血飛兵を出したいとかだろう。


「彼女は貴方の言葉以外に耳を貸さないでしょうに……」

「えぇ、その通りですわ♪」


それもその通りだと納得しつつも暫時の思考を巡らせ、現状の流れでは自分達に特段の危険がない事、及び必要なプロセスである事を確認する。


「すまないが、頼らせてもらえるか?」

「はい、御随意のままに……」


吸血鬼達を束ねるスカーレットの了解を得て、此方の動向を静観していたリベルディア陣営に視線を向け直した。


「という事だ、フレスト殿。そちらが撤退に際して城塞都市に残留させる竜騎兵に対して、同数の吸血飛兵を我らも北門周辺に配置させてもらう」


「了承した…… すぐに帰り支度を始めて、それが済めば城塞都市南門から順次撤収を開始させていこう。貴殿らもそれで構わないな、クリストファ殿にジグル殿」


向けられた鋭い視線にベイグラッド家の次男坊と副官が頷き、大枠での事態収束に係る合意が形成され、以後も順当に細部が詰められていく。


なお、この交渉で取り決められた内容は速やかに実行に移され、数日後にはリベルディア騎士国の侵攻から始まったミザリア領南部を巡る一連の騒動は落着した。


その中で援軍の義理を果たした魔族兵達は事後処理に追われるクリストファ達の領軍主力を残し、手薄となっているミザリア領の中核都市ブレアードへ一足先に帰還して、密約通りに最後の仕上げを行う。

”皆様に楽しく読んでもらえる物語” を目指して日々精進です!

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