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魔人、風の弾幕を張る

火薬の原料となる木炭と硫黄はともかく、天然の硝石(しょうせき)はリベルディア騎士国でも貴重なために数を用意する事は難しく、大盤振る舞いできるものでもないが…… その効果は大きい。


ミザリア領軍の攻城隊第一陣が斜め上に掲げた中型盾の幾つかに炸裂弾付きの矢が刺さり、暫時の後に導火線を燃やし尽くして爆散した。


「「ぐあぁああぁああぁッ!」」

「「うぉおおおぉッ!?」」


爆風の直撃を受けた盾が微塵に砕け、それを持っていたミザリア領兵の腕や身体の一部ごと吹き飛ぶ。また、被害はそれだけに留まらず、炸裂弾の器である陶器の破片が周辺の兵隊達の身体を穿って損傷を与える。


「なッ、何だこれ…… い、痛ぇ……ッ」

「ぶはッ、は、腹に刺さりやがった……ッ、くそ」


負傷した者達が足を止めて力なく膝を突き、その爆音と威力に動揺した攻城隊の先鋒が動きを鈍らせてしまう。


実際のところ、敵方の第一射として放たれた数十本以上の弓矢に対して、炸裂弾が麻紐で(やじり)に括りつけられていた矢は僅か数本に過ぎないが、心理的な恐怖を与えて士気を挫くには十分だ。


「ちッ、グレイド、魔人兵達で凌げるか?」


「我らが王の御望みとあらば……皆、吹き飛ばせッ!!」

「「「承知ッ!!」」」


攻城隊第二陣から魔人族の長が掌を(かざ)して魔力を収束させていき、城塞都市の防壁上から短い間隔で放たれた第二射に向けて、形成した超高密度な圧縮空気の球体 “エクス・ウィンドスフィア” を高速で打ち出した。


僅かに遅れて麾下の魔人兵からも各自が得意とする中級程度の風属性魔法が放たれ、それらは次々と中空で弾けて瞬間的な颶風(ぐふう)を起こし、導火線に灯る火を打ち消しながら降り注ぐ矢を押し流す。


「ミザリアの精鋭達ッ、矢避けは我らが受け持とう!!」

「遠慮なく、征きなよッ!」


大気に干渉して音声を広域に拡散させる魔法 “ウィンドヴォイス” でグレイドが戦場に声を響き渡らせれば、便乗した天狼娘のヴィレダも攻城隊第一陣に向けて大声で威勢の良い発破を投げ掛けた。


「聞いたかッ、お前ら! 吶喊(とっかん)だぁああぁあッ!!」

「「「うぉおおぉおおおぉおッ!!」」」


再び勢いを取り戻したゼルライト麾下(きか)の第一陣が風魔法の加護を受けつつも、防壁に架かる土塊の橋に足を踏み入れていき、Ak-46やBT98で武装した第二陣の人狼兵達も小集団に別れてその後に続く。


「ちぃッ、総員抜剣(ばっけん)! ミザリアの腰抜けどもを叩き落してやれッ!!」

「「「おぉおおおッ!!」」」


迎え討つリベルディア兵も檄を飛ばす騎士長(ナイトマスター)レナードの指揮下で、弓矢から小楯と取り回しの利くショートソードに得物を持ち替えて気勢を上げ、双方の軍勢が至近にて相まみえた。

”皆様に楽しく読んでもらえる物語” を目指して日々精進です!

ブクマや評価などで応援してくれれば、本当に嬉しく思います!!

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