魔王、言い掛かりを受ける
更新ぺースが落ちているのに、
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此方の言葉にクリストファと名乗る青年が表情を引き締めて本題を切り出す。
「そう遠くないうちにリベルディア騎士国がシュタルティア王国…… いえ、ミザリア領に侵攻を掛けてくる兆候があります」
ふむ…… チラリとイルゼ嬢の表情を窺う。
「リベルディア騎士国とは7年前の停戦協定があると思うのですけど……」
一応、停戦協定があるならば先制攻撃はやり難いな。
「先日、国境付近のリベルディアの村が野盗に襲われましてね、彼らはそれがミザリアの領民崩れだというわけです」
「えっと、証拠はあるのでしょうか?」
イルゼ嬢の問いに隣接領の次男坊は苦笑いをする。
「証拠も何もこちらはその村に立ち入れませんので…… 何でも捕えた野盗の頭目がそう言ったらしいです…… 密偵の報告では村が襲われた事実迄は突きとめていますよ」
「都合よく利用されている可能性もあるな……」
「魔王殿?」
さらさらとした金糸の髪を流しながらイルゼ嬢が小首を傾げるが…… 所謂、司法取引だ。
「もし、停戦破棄の口実を探しているなら、自国領の村が襲われた事実は使える。件の野盗達の証言などいくらでも買収する事ができる」
「うちの親父も同じ考えですよ、魔王殿。最初に提示してきた非常識な賠償金を支払う意図があると、うちで泳がせているあちらの密偵に思わせてやったら、直ぐに我が領地の一部割譲などという在り得ない事を言ってきましたからね……」
あぁ、一戦交える腹積もりなんだろうな。
「それもこれも全て貴方のせいですよ、勘弁してくださいよホントに……」
「むぅ、クリストファ殿、それは言い掛かりですよ」
イルゼ嬢は怒ってくれるが、一応自覚がある。
「まぁ、原因は地下ダンジョンの調査討伐の失敗から続く、シュタルティア王国の国力低下だろう…… あまつさえ、ノースグランツ領が占領された訳だからな」
「そうですよ、お陰でエルゼリス領とヴェルギア領から援軍を断られたんですよ、全く……」
そりゃそうだろうよ、裏切りの騎士令嬢などと言われているイルゼ嬢とノースグランツ領兵がいる限り、行軍経路が確保されていても自領や王都の護りを薄くする事など早々できない。
それを彼女に教えてやると不機嫌になった。
「つまり、援軍を出すと我がノースグランツが王都を陥落させると?馬鹿にされたものですね!外敵のある状況で、そんな自滅するような状況を作る訳がないでしょう!!」
我が意を得たりとクリストファが頷く。
「その言葉を頂ければ十分です。我らも背後を気にせずに戦えますよ…… 本当は王都の方々やエルゼリス候も分ってるんでしょうけど、魔族討伐を推し進めた手前、仕返しがこわいんでしょうね」
「それで、貴領はリベルディアとやらを押し留められるのか?」
「う~ん、恐らく無理でしょう、戦は勝ち目のある方が仕掛けるものですから…… 喧嘩と同じですよ、自分より弱く見えるから吹っ掛けるんです」
「あぁ、つまりまだ話はあるわけだな……」
にっこりと食えない男が微笑んだ……
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