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五月十六日、日曜日

・開店前、エフエムこうごより市内の天気

曇一時雨。北の風のち南の風。波の高さ一・五メートル。

・主な来客と近況

木場翠人：中堅総合商社に勤務。キャリアアップとノルマ達成に邁進中。

木場茶子：専業主婦。子育てが一段落したこともあり、家事の合間に趣味の創作活動を満喫。

注文は、サンドヰッチとアールグレエ。分かち合える幸せを味わっていた。熱々でラブラブなことで、大変結構。

・備考

花壇の傍食(かたばみ)は、いくら抜いてもシツコク生えてくる。下手に触ると種が飛び散るので、なかなか根絶できない。

藍平から「俺はみどりに気があるけど、みどりはマスターに気がある」と言われる。

・雑記

もしも藍平の見立てが間違いないものだとすれば、厄介な三角関係になったものだ。二周りも上のオジサンに惚れるないで欲しいな。僕はまだ、老いらくの恋に目覚める歳では無いんだ。それより何より、父親と同い年なんだからね。それにしても、いつからだろう？　感情や好奇心が、無関心で塗り固められてしまったのは。抵抗を止めた時点で、ヒトは老いるのかもしれない。色恋事に全力で前のめりになれる、二人の若さが羨ましい。

・閉店後、新シフォンケーキ試作の記録

アレンジ点：カロテンで彩の鮮やかさを足そうと、パンプキンを付加。

失敗点：生地がケーキから溢れる。型の八分目までに、均等に流し入れることにする。