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異世界転生~美少女ハーレム冒険譚  作者: ぷよた
第1章 クリス編
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1話 戦神との出会い

1話 戦神との出会い


俺は、地球という星に住むありふれた男の一人である。

ただ少し普通の男と違うところがあるとすれば、それは時折ここではないどこか違う世界の存在に思いを馳せることがあるところだ。

異世界、魔法、エルフ、魔王、勇者・・・・。

そんな言葉に憧れを抱く。

もしも異世界に行く権利が与えられたならば、俺は迷わずその権利を行使するだろう。

別に今の生活に不満があるわけじゃない。

人並みの幸せは感じている。

それでもなお異世界への渇望を捨てきれずにいる。

そりゃあ、そもそも異世界が現実に存在しているかさえわからないし、あったとしても異世界へ行くことなど叶わないとこともわかっている。

だけど、魔法を使うことをあきらめきれずにいる

だから、夢の中で妄想する。


俺の夢の中にドラゴンが現れた。エルフが現れた。魔物が現れた・・・。

突然、夢の中の光景が変化する。

磔にされた一人の女性がいる。その隣に小さな女の子も磔にされている。

いやな予感がする。

一人の女性のもとへ、一人の男が槍のようなものをもって近づいていく。

男は、躊躇なく女へ槍を突き刺した。

女の悲鳴が頭に響く。

とても不快な音だ。

だが、不快な音は続いていく。

また一人、また一人と男が現れて女に槍のようなものを突き刺していく。

ついには女は声をあげなくなった。

女は死んだのだろうか。

そういえば、女の隣にいた女の子はどうしただろうか。

俺は、ゆっくりと顔を女の子のほうへ向けた。

女の子の顔は・・・・・。


はあはあ。

いやな夢を見た気がする。

珍しく夜中に目を覚ましてしまった。

俺は、気分転換に外の空気を吸うために外へ出た。

そして、外に出た瞬間、俺の体を正体不明の衝撃が襲った。

ああ、俺は死んだな。

直感でわかった。

あの異世界もののアニメの最後どうなるのかな?

死の直前に考えたことはそんなくだらないことだった。


_________


気が付くと、俺の目の前には土下座する一人の爺さんがいた。

ただものではない。きっと、神様か何かだろう。

理屈もなくそう思った。

周囲はただただ真っ白で何もない空間だった。

人は死ぬと神様に会えるのだろうか。

俺は、爺さんを見つめながら自分の体の異変に気が付く。

いわゆる霊体の状態になっていた。

爺さんが顔を上げる。

なんとも威厳のある顔つきだ。


「すまなかった。戦神の座をかけて父と戦っていたら、異世界に余波が及んでしまってな。おぬしはその余波に巻き込まれてしまったのだ。じゃが、おかげで見事父を打倒し、儂が戦神になれたからゆるせ。わはははは。」


どうやら俺は、神々の戦いに巻き込まれて死んでしまったらしい。

それにしてもなんていい加減な神様だ。

土下座一つで俺が命を失ったことを帳消しにしようというのか。

それにしても異世界はあったのか。

行きたかったな。

いわゆる異世界転生小説もの的な展開が訪れないかな?

そしたら、むしろこの爺さんに感謝してもいいくらいだよな。

もちろん転生したところで、楽しい人生が保証されるわけではないだろうけどさ。


「それにしてもお主。ずいぶんと器の大きいな魂だな。普通は、神々の戦いの余波に触れれば魂事消滅してしまうのだが。それに、ここ神域にいても魂がすり減る様子もない。不思議な男じゃのう。」

「あの。俺は、天国に行けるのでしょうか?それとも地獄でしょうか?死んでしまったのですよね?」

「うん?死んでいるわけがなかろう。こうして儂と話しているではないか。」


どういうことだろうか。


「どうしたら死んだことになるのでしょうか?」

「そりゃあ、魂が消滅したらじゃろう。普通の人族は、肉体の消滅とともに魂も死ぬのだがな。なぜ、お主は死なんのか?儂にもさっぱりじゃ。異世界人じゃからかのう?そんな話は聞いたことがないがのう。というか儂も異世界人なんて初めて見たし。」

「体を取り戻すことはできないのでしょうか?」

「そうじゃの・・・・。」

「・・・・」

「・・・・」


考えにふけっている様子の爺さん。


「あの・・」


俺が、声をあげはじめたその瞬間。

爺さんがそれを遮る。


「いいことを思いついたぞ。これなら体を取り戻せるぞ!」

「本当ですか!戦神様!」


俺は、ここぞとばかりに爺さんが手に入れたばかりの戦神という称号で爺さんを呼んでご機嫌取りをする。


「ああ。喜べ!小僧は、今から儂戦神の弟子じゃ。死ぬほど鍛えてやるわい。覚悟せい。」


なんじゃそりゃー。

俺の心の叫びもむなしく、零体であるはずの俺は、爺さんに襟首をつかまれて放り投げられてしまった。


________


「ふむ。よくぞ。ここまで鍛えた。いずれは儂も超える器かもしれんの。」

「ばかいえ。勝てる分けねえだろう。」

「はあ。まったく、その最初から勝てないと思う心意気がだめじゃと何度も言っておるだろう。やはり、もう100年は修行をさせたほうがいいかのう。」

「ふざけんな。何百年修行に付き合わされたと思ってるんだ。いや、何千年だったか?しかも、こんな何もない空間で。俺は、ようやく肉体を手に入れたんだ。ここから出て自由に生きてやる!」


俺が、肉体を手に入れる方法は至極単純なことで、戦神と戦うことだった。

武を極めた戦神は零体の俺に触れることができる。逆に俺が触れられるようにすることもできる。

そんな状態で何度も戦っていれば、少しずつ魂が肉体の必要性を感じ、肉体が再構成されるという理屈だった。

正直、眉唾だったが、肉体がなければこの何もない空間から出ることはできないし、死ぬこともできない。しかたなく、戦神との闘いをひたすら行っていた。

もちろん、ただの人間である俺は、最初は戦神の小指一本でノックアウト状態だった。

とにかく、この地獄のような場所からようやく抜け出せるときが来たのだ。

地獄のような訓練の結果肉体を手に入れたのだ。

爺さんいわく、俺の見た目は人族でいう14、5歳くらいだろうとのことだ。

もっと修行を続ければ成長した肉体になるそうだが、こんなところで修行三昧の生活にはもう飽き飽きしている。

早く、ここから出たいのだ。

爺さんがいるこの世界が、地球と比べてどんな世界なのか詳細はわからない。

爺さんは戦い以外のことはほとんど教えてくれなかったから。

魔法とかがあることは聞いている。楽しみだ。


「そうか。お主がいなくなると、戦う相手がいなくて暇なんじゃがな?」


やばい。爺さんここから俺を出さない気じゃないだろな。

確かに俺はかなり強くなったが、爺さんに勝てる気は全くしない。


「なあ、爺さん。別に、俺だって一生爺さんに負け続けるつもりはないんだぜ。」

「ほう。そうか。そうか。なら早速、一戦交えるか。」

爺さんは、はじめて俺にあったときにそうしたように俺の襟首をつかんで放り投げようとする。

だが、数百年前の俺とはわけが違う。

俺は、ごく自然な動作でそれを躱わして見せた。


「でもな、今のままじゃあやっぱり勝てないと思うわけよ。だから、爺さんが下界と呼ぶところに行って修行してこようと思う。ほら、魔法とかもあるんだろう。そういういろんな戦い方をみて、独自の戦いかたを身に着けてさ。いまのまま爺さんの真似事してたんじゃ一生勝てないからさ。」

「ふむ。そういうわけじゃったか。そういうことなら仕方あるまい。ちょっと、待っておれ。・・・・。ほれ!選別じゃ。」


爺さんが俺にくれたのは、一本の刀だった。


「これは?」

「儂は武器は使わないほうが得意じゃが、どうもおぬしはそいつが得意のようじゃからな。それから、その刀には封印の力がある。名前はそうじゃな。戦神封刀ラグシールソードとでも呼ぼうかのう。」

「封印。」

「今のおぬしの状態で下界に降りても、おぬしの相手になるような敵はそうそういないじゃろう。じゃが、それでは修行になるまい。じゃから、おぬしの力が少しずつ経験に応じて解放されるように調整しておいた。その刀におぬしの力が封じられておる。おぬし自身の力ゆえ、刀を自在に消したり、出現させたりできる。どこかに刀を置き忘れても、すぐに呼べばおぬしのところへ刀は現れる。」

「それはすごいな。どうやるんだ?」

「なあに。頭で思い描けば自在じゃ。」

「なるほどな。まあ、普段は腰に差しとくかな。」

「はは。様になっとるな。」

「それじゃあ、下界への門を開いてやるか。はっ!」


爺さんが、一度目をつむった後、体から気を発する。

ものすごい力だ。

真っ白な空間が揺れる。

そして、次元の裂け目とでもいうべきものが生まれる。

俺は、その裂け目をくぐる。


「爺さん。世話になったな。」

「最後におぬしに名を授けよう。おぬしはいまだ訓練中の身。そこで、レンの名を授ける。

お主が儂から戦神の称号をはく奪する時を楽しみして・・・」


爺さんの話の途中で、次元の裂け目がもとに戻ってしまった。

レンか・・・。

なんだかんだで、爺さんは、誰よりも長く一緒にいた人だ。

ありがたく名前をもらうことにしよう。

俺は、戦神の弟子にしてその名をレン!

いざ参ろう。未知なる異世界へ。



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