表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/24

第6話 変な噂

 初夏と言えば!GWですね!連休ですね!

 私も友達と出かけたりして楽しみましたよ!

 ハルはお留守番。当然だね!

 でもあいつ結構おっさん体質だから家でのんびり楽しんでる。

 って言うか居候に連休も何もないか。毎日がお休みだもんね。


 そんな感じで友達と遊んでいたら妙な噂を聞いたんだな。


「何かさ~、最近不審な謎の物体が出歩いているらしいよ?」


「何それ?怖っ!」


 あ…それハルだ。

 きっとハルの事で間違いない。

 あいつ、私達の許可無く外に出ているの?

 今のところお使いとかの特別な理由がある時にだけ外出を許してるのに…。


 帰ったらとっちめてやろう。

 …あ、もしかしたらお使いの時の様子を言っているかもだ。

 だとしたなら責められんなぁ…うーん。


「それっていつ頃出現するの?」


「分かんない…ただの噂だし…」


 友達の話に聞き耳を立てても具体的な話は特にないみたい。

 これは無関心を突き通せば誤魔化せられそうな感じだった。

 よし、ここは知らぬ存ぜぬ作戦で行こう!


「ただの噂じゃん、気にしたら負けだよ!」


「そうかな~」


 そんな感じでこの会話は終わるはずだった。

 終わるはずだったんだけど…


 いるよ…

 灰色のクマのぬいぐるみ…

 すぐ至近距離にいたよ…


 あいつ、何かジュース飲んでる…まだ友達気付いてないけど…。


「ごめん、ちょっと用事思い出した!」


 私はそう言ってすぐハルの側に駆け寄っていった。

 GWの人でごった返している商店街なのにぬいぐるみが歩いていて誰も騒がないってこの街の住人のメンタルすごいな!


「ハル!何やってんの!」


「あ…!」


 ハルは私に気付いて一目散に逃げ出しやがった!逃さないよ!

 人気のない路地裏でハルに追いついた私はヤツを問い詰める。


「いやあの…あそこのジュース美味しいんだよ」


「そんな事聞いてない!」


「おばさんから許可もらったんだよ」


 やっぱりそうか…。

 お母さんはそんなに外出歩かないし学校にも行かないからそんなに噂攻撃にあわないだろうけど学生のこっちは毎日そんな噂と対峙してるんだから危険度が全然違う!

 変な噂の中心人物になるのがどれほど怖い事か…。


「私の許可は取ってないよね!」


「う…」


 ハルは困惑した顔をしていた。

 ぬいぐるみでも結構表情豊かんだよね。

 私はそんなハルの顔を見ていたら何も言えなくなってしまった。


「とりあえず今度から外出する時は私の許可を取る事!いいね!」


「…」


 私の要望にハルは答えなかったけれど今はそれでもいい気がした。

 私の想いはきっと伝わったと思ったから…。

 一方的に怒った後、私はハルと一緒に家に帰った。


「ああ…そうだ、前に来ていたテレビの取材の事なんだけど放送は二ヶ月後だって」


 家に帰ったらお母さんが教えてくれた。

 二ヶ月後…ハルがいなくなるかどうかくらいの時期だ。

 その時期の放送ならタイミング的に何も問題ないかな。

 騒がれる頃にはハルはもうここにいないんだから。


「残念よねぇ~グッズとか作って一儲けしたかったのに」


 お母さん…(汗)。


 友達の間で流行った噂はその後じわじわと収束していった。

 噂の中心になる心配がなくなって私はほっと胸を撫で下ろしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ