第14話 逃亡の真相(2)
なーんだ、訳ありだったのね。友達に頼まれたのかな?
私はちょっと落胆したけど…取り敢えず玄関のドアを開けてカオルを出迎える事にした。
ガチャ
「…よ、よう」
玄関前に立っていたのはカオルと…ピンクの大きなクマのぬいぐるみだった。
「い、いらっしゃい…どうぞどうぞ」
この時の私の顔は多分ひきつっていたと思う。
カオルの連れてきたぬいぐるみは…そう、ハルの同類さんだった。
まさかお隣にもそんな存在がいただなんて…これは偶然?それとも…。
「初めまして…私は」
「ユキ!」
ピンクのぬいぐるみが自己紹介をしている途中でその言葉を遮ったのはちょうどそこに居合わせたハルだった。
どうやらこのピンクのぬいぐるみはユキと言う名前でハルとは知り合いのようだった。
こ、こんな偶然ってアリ?
いや、多分こんな偶然はないって私の直感は告げている。
ハルがこの世界に来た原因もこのユキちゃん絡みではないかと睨むねこりゃ。
だって彼女を目にした瞬間のハルの動揺、半端ないんだもの。
「何か事情があるんでしょ、ハル」
「…」
「ここまで来たら話してもらわなくちゃね」
私のこの言葉のハルはついに観念してここに来た理由を話してくれた。
それはハルの世界の特別なルールが原因だった。
「僕らの世界じゃ告白されて3ヶ月以内に返事をしなくちゃいけないんだ」
ハルの話をまとめると
ユキの方から告白してきた。
向こうの世界では交際をハッキリ断るとそれ以降その相手と二度と付き合う事は出来ない。
でも自分はユキの事をよく知らない。
告白して三ヶ月経つとその効力は失効する。
一度無告白状態に戻してそれでその後にユキをしっかり知ってそれで好意を持てば自分から告白する。
「…って事だったんだけど…ユキがこっちに来ていただなんて…」
「ユキはずっとあなたを探していたんです。まさかこんな近くにいるなんて…」
「って言うか何も3ヶ月逃げ回らずにちゃんとユキちゃんと向き合えば良かったんじゃないの?」
ハルの説明の後、三人がみんなバラバラな事を言っていた。
その間、ハルの逃亡の原因になったユキちゃんはずっと黙っていた。
私としては自分の意見が一番だと思うんだけど…。
「告白の返事保留は色んな所からの追求が激しいんだ。そんな状況でまともな判断なんて出来ないよ」
うーん、ぬいぐるみ世界で暮らすのも結構大変なんだなぁ。
拒否ると二度と付き合えないって結構厳しいよね。
それでこんな裏技を…。
「全く知らない中でいのいきなりの告白だったからパニックになっちゃったんだ」
「じゃあユキちゃんが嫌いではない?」
「嫌いだったら…ここまでの事はしないよ…考える時間が欲しかったんだ」
「…ごめんなさい」
このやりとりでやっとユキちゃんが口を開いた。
取り敢えず真意は分かったのでユキちゃんの胸のつかえも取れたみたい。
結局、ユキちゃんの告白から3ヶ月経つまではこちらの世界にいる…。
そこから先は元の世界に戻ってまずは普通の友達として付き合ってみるって事で話し合いの決着はついた。
ハルがこっちの世界に来た理由ってもっとものすごいものだって勝手に期待していたのに真相が実はただの恋愛問題だったとは…ちょっと拍子抜けだなぁ。
でも謎が解けて今はとってもスッキリした気持ちだよ。
ハルとユキちゃん、うまくいくといいな。




