第1話 ビックリ!喋るぬいぐるみ(2)
ブゥン!
そう、今度は精一杯の力で!
ボフンッ!
「ぎゃうー!」
…
「ぬ、ぬいぐるみがシャベッタァァァァァァ!」
い、今起こった事をありのまま話すぜ…ぬいぐるみだと思っていたらそいつはぬいぐるみじゃなかった…
ぬいぐるみの姿をした別の何かだった…何を言ってるのか(略)…。
「な、何?最新のオモチャ?」
「いててて…違うよ…僕は」
「う、うわー!妖怪だ!退治!」
この現象に怖くなった私はパニックになってしまった。
私は手元にあった本とかをそいつにぶつけた。
それはもう手当たり次第ぶつけまくった。
バシッ!バシッ!バシッ!
「ちょ、ちょっとやめてよ!話を聞いてよ!」
ぬいぐるみらしきそいつは反撃もせずただ耐えるばかりだった。
あれ?こいつ、そこまで危険な存在じゃ…ない?
投げるものを投げて少し落ち着いた私は恐る恐るこのぬいぐるみに質問を投げかけてみる事にする。
「あ、あんた何者なの?」
「や、やあ…僕の名前はハル。少しの間かくまって欲しいんだ」
「かくまう?」
ハルの話によると…
ある事情があってこの世界に逃げてきた。
そのせいで元の世界に帰る事が出来ないので3ヶ月ほど保護して欲しい。
迷惑はかけないし大人しくしているからお願い…だって。
「で、ある事情って何?」
「それは勘弁して」
その事情についてハルは頑なに口を閉ざし教えてくれなかった。
何か犯罪的な理由だったどうしよう…だとしたなら何とかして追い出さなくちゃ。
「何か悪い事したんじゃ…」
「いや、こっちの子に興味はないから…じゃない!そう言うんじゃないんだ!そう言うんじゃ」
「ん?」
何だか怪しくなってきた。大丈夫かな。
しかしうーん、これは本当に困った事になったぞ。
こんな事誰にも話せないじゃないの…。
しかもよく考えるとこれってテッドじゃん!
映画的な物語がこれから展開したりするのかも!
そう考えると私ちょっとテンション上ってまいりましたwww
「テッド!今からあなたはテッドよ!」
「いや…ハルだし」
冷静に否定された。ノリ悪いなこのぬいぐるみ。
でもまぁ迷惑はかけないって言うならここに置いておいてもいいかな。
「ハルはご飯とか食べないの?」
「こっちの世界にいる間はお腹空かないんだ」
「ふーん、便利ねぇ」
食事の世話がないなら下の世話もしなくていい訳だし楽だな。
まぁこの部屋に置いとくくらいならいいか…。
でも一応母親にはもらったことにして報告しておかなきゃだね。
部屋にいきなりぬいぐるみがあったって変に勘ぐられても面倒だし。
ガチャ
「おかーさーん!ぬいぐるみ友達からもらったんだー!部屋に置いとくけど気にしないでね!」
「あ、そー」
お母さん、全然興味ないみたい。
誰から貰ったとか聞きそうなもんだけど普通。
ま、余計な事聞かれないならそれでいいっか。
そーゆー訳で、何だかなし崩しに私はこの喋るぬいぐるみテッド…じゃない、ハルと一緒に暮らす事になった。
何だか色々訳分かんないけどこれから楽しく過ごせたらいいな。