第13話 テレビ放送
テレビが梅雨入りがどうとか言い始めた。
いつの間にかそんな時期なんだなぁ。
梅雨はジメジメして嫌だねぇ…(ため息)。
「そう言えば放送今週だって」
天気予報をぼうっと見ていたら突然お母さんが私に話しかけた。
え…放送って…何だっけ?
そう言えばそんな取材も受けたっけな…(遠い目)。
って、今週?!嘘っ!
もうあの取材からそんなに経つの?
ヤバイよヤバイよ~!
しっかり番組表チェックして周りに裏番組勧めまくらないと!(使命感)
ハルの事がクラスで話題になったら大変だよ!
質問攻めとか本当勘弁なんだよ…(ため息)。
「楽しみね♪」
「いや、憂鬱なんですけど…」
そりゃお母さんはいいよ…一人で盛り上がってればいいんだし。
私にとっては重大事件だよ…かなりの厄介事だよ。
私はスマホで番組表を確認してすぐに隠蔽工作に走った。
なるべくさりげな~く自然に話題を裏番組へと誘導する。
幸い裏番組に人気アイドルが主演するドラマがあったので違和感なく誘導は成功しつつあった。
…女子の間では。
男子はなー。ドラマなんて見ないの多そうだし特殊な番組好きな男子も多そうだし正直誘導は難しいなぁ。これは困った事になったぞい(汗)。
あ~あ…バラエティ関係だからきっと声も顔も加工なしで放送されるだろうし…。
あーこんな事なら取材時にしっかりと注文つけときゃよかった!
もう放送が間近に迫った時点で何を言っても後の祭りだよね…トホホ。
で、当のハルはと言えば特に普段と変わった様子もなく
「ああ、そうか今週放送かぁ…」
おいおい主役あんたやで…(汗)。
ま、そう言うところがハルらしいっちゃハルらしいけどね。
私は最終手段で何か特別の大事件とかが起こって番組が潰れる事を願っていた。
こんなお願いをするとか、最低だよね…私。
そしてそんな私の最低な願いが天に届くはずもなく放送日当日。
せめて可愛く映っている事を願ってその前の番組からテレビ前に待機。
お父さんもお母さんもハルもひとつの画面に集中する。
いつもバラバラな家族がこの瞬間はひとつになった気がしたね。
現代社会で失われつつある家族団らんが我が家に復活だよ!
「…それでは次のコーナーです!何とこの家には生きているぬいぐるみがいるのです!」
…ああ、始まった…始まってしまった。
簡単なミニコーナーで終わって欲しかったのに30分位掛けて丁寧に紹介されてしまった。
お母さんの顔も私の顔もハルもみんなノーモザイクだよ!無修正だよ!
インタビュー中の私の顔の下には私の本名テロップだよ!
うひぃー!恥ずかしぃー!(/ω\;)
画面に映る自分の姿を見てハルはどう思っただろう。
私が隣のハルの顔を見るとすごく集中して見ているのが分かった。
ふぅん…画面に自分が映っているの別に恥ずかしくはないんだ。
「うん…可もなく不可もなく」
ハル…それが感想かい。
何て言うかマイペースだなぁ。
でもハルも周りに知り合いが多かったらもう少し違った反応をしていたのかも。
考えたらハルはこの世界にひとりきりだもんね。
きっと寂しくて泣きそうになった時もあっただろうな。
そう思うとなんだか切なくなっちゃって私は思わずハルを抱きしめていた。
ギュッ!
「わっ、な、何?」
いいんだよハル…何も言わなくても分かってるから…。
ハルは訳も分からず私にされるがままになっていた。
その様子を両親が微笑ましそうに見ていたのを私は知らない。
誰かの視線に気付いたならそんな事出来ないよね。
次の日、私のクラスの話題はハル一色だった。
あるぇ?隠蔽工作…失敗しちゃった?(汗)
きっと番組を見た男子がLINEとかで拡散しちゃったんだろう…恐るべし情報化社会!
そんな番組バレよりあの努力が無駄になってしまった事の方が私にとってショックだった。
こんな事なら逆に宣伝してやるんだった。…いや、しないけど。
休み時間の度の質問攻めは…やっぱり精神的にきつかったなぁ…(遠い目)。




