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第3話 緊急収集
彼は何時も神出鬼没だ。
ふらっと現れたと思ったら新人に混じって仕事をこなし、任務遂行後にはまたいなくなってしまうのだ。
仕事が特殊なので、個人のプライベートを聞くのは御法度になってはいるのだがそれにしても彼は周りとコミュニケーションを取らなさ過ぎだと思う。
それでも支障は無かったので気にはなりつつも気にしていなかったのだが…
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「揃ってるな」
15分前行動の出来る部下に俺は大満足で頷いた。
……いやまあ、待ち合わせなんてした事無いから正直待たされていたとしても全然問題なかったんだが…
ゴホンッ、ゲフンッ……
いや、まあ一応これでもこいつらの上司な訳だから遅れたら怒らないといけないんだが、人生初なんだから仕方無いよな、うん。
それにしても……
「……………………」
何でこいつらこんなに緊張してるんだろって位、部屋の空気は張り詰めていた。
俺は内心首を傾げながらも
「良し。じゃあ早速だが、始めようか」
益々空気が重くなる中、俺はニヤリと笑みつつこれからの方針を話し始めた。