第2話 異変
「あれ?」
「げ、此処もかよ!」
午後7時。
この辺りは娯楽施設及び酒場が並ぶ歓楽街。
何時もならこの時間帯から賑わいをみせるのだが…
「…此処も開いてねーのか…一体何だってんだ?」
「不気味だな…」
全ての店が閉まっていると言う訳では無いのだが、人気の高い店がことごとく全て休み。
しかも、人の気配すらし無いのは最早異様以外の何者でもなかった。
「どうする?」
「…知るか!だが、飲まねーなんてのはありえねーよ!!」
仕事終わりに飲まずに帰るなんて選択肢は有り得ない。
異様だろうが何だろうが休みなものは仕方がないし、他で飲めば済む話だ。
不安は残るが、実際どうにも仕様の無い事態に皆は目をそらして通常通り飲み明かす。
偶々だ。気のせいだ。と見て見ぬ振りをし、明日は何時もの日常に戻るよう願いながら1日を終える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
実際は本当に大問題が起こっていた。
「…ログアウトボタンがねぇ」
と言う言葉を皮切りに
「えっ、ウソ!!」
「はあ!?」
「マジか…」
ゲームログイン数約5千万人を誇るVR型RPG《剣と魔法と奴隷の世界、ディアグロープ》は何故か現実世界から切り離され、
混乱満ちるプレイヤー達と共に新たな物語を歩み始めていた。