ヤンデレは世界を救う……のか?
ありきたりな設定でありきたりなヤンデレを。第三段!
あんまりヤンデレっぽくない……。
設定を詰め込みすぎたので、ものすごく長くなりました。すみません!
ファンタジーです!
わらわは"まおう"じゃ。その名とおり、"まぞく"、ひいては"まかい"をすべるおうなのじゃ。
りっぱな"まおう"になるべく、ひびべんがくにはげんでおるのじゃが、さいきんこまったことがおこっておる。
なんと、"ゆうしゃ"なるものがわらわをたおすべくまかいにしんにゅうしてきているらしいのじゃ!
もちろん、そんな"ゆうしゃ"なぞ、わらわの力でちょちょいのちょい!……といいたいところじゃが、いかんせん、わらわはまだみはったちゅ……うむ、みはったちゅ……んむぅ、み・は・つ・た・つ!なのじゃ。ふぅ~。からだも、まりょくも、まだまだせいじゅくしてるとはいいがたいのじゃ。
ていさつにいかせたぶかも、ことごとく"ゆうしゃ"にやられてしまいおった。わらわのかわいいぶかが……。
このままでは、まかいが"ゆうしゃ"にのっとられてしまう!それだけはなんとしてもそししなければ!
といっても、わらわにできるのは1つだけじゃ。ものしゅごくいやじゃが、まかいをまもるためにはしかたあるまい。そう、なくなくけっしんをしたところにこやつがあらわれおった。
「おぬしはなんじゃ?」
「俺は貴女様の"愛の"下僕です。今、勇者の件でお困りでしょう?俺なら魔王陛下のお望みを叶えて差し上げることが出来ます。もちろん、ただとは言えませんが。」
うむぅ……。わらわののぞみ……。それはとうぜんゆうしゃのとうばつじゃ。じゃが……。
「陛下。こやつは人間です。鵜呑みにするのはいかがかと…。」
「そうじゃな……。じゃが……」
「俺は勇者のパーティーでした。すぐに信用出来ないのはわかります。しかし!俺は陛下を一目見た瞬間から陛下に心を囚われてしまったのです。どうか、貴女の伴侶に選んでください!」
わらわのまえにひざまづきながら、いたいぐらいのしせんでこうてくるおとこ。んむぅ……。
「のう…"ぱーてぃー"とはなんじゃ?うたげのことか?」
「勇者の"一味"という意味でございます。」
なんと!ならばてきではあるまいか!しんようなぞできぬ!それにじゃ、
「わらわとおぬしではつがえぬぞ?」
「……それは俺が人間だからですか?」
「それもあるが…、わらわはひとぞくの"おう"とけっこんせねばいけないようじゃ。じゃからおぬしとはできん。」
「……?なぜ人族の王と?」
「うむ、おぬしもわかるように、ゆうしゃのしゅちゅげきによって、まかいはだいだめーじをうけた。しょうじき、わらわにはもうつくしゅてがないのじゃ。そこへ、ひとぞくのおうが、『勇者を止めたくば、私と結婚しろ。さすれば、魔界の安寧を約束する。』というしょめんをよこしおった。さいしょはそんなことできぬとおもっていたのじゃが……。わらわのたいせつなこのまかいをまもるためにはいたしかたあるまい。わらわは"にんげんかい"にいき、おうとけっこんすることをきめたのじゃ。」
おとこにじじょうをはなしてやれば、なぜかわらわのそっきんたちがなきはじめた。かなしいことでもあったのかえ?
「……あのクソ幼女趣味野郎。」
「?なにかいったかの?」
「いえ。そういうことなら、その相手が俺では駄目でしょうか?俺は魔界をどうこうしたい訳じゃない。陛下のお側にいたいだけなのです。陛下の隣に立っていられる唯一の男になりたいんです。」
「うむぅ……。じゃがおぬしはゆうしゃのなかまじゃろ?すぐになぞしんようできぬ。どうすればよいかのぉ……。」
もしおとこのいうことがほんとうだとすれば、こんないいはなしはないとおもうのじゃ。じょうけんてきにはかわらぬだろうが、はらがぽっこりでたひとぞくのおうより、なんじゃかきらきらしてるこのおとこのほうがつがうにはまだいいとおもうのじゃ。わかいしな!
わらわがどうしゅればよいかなやんでおると、おとこは『そんなの簡単なことです。』といいおった!わらわがこんなにかんがえとるのにぃ!
「すぐ勇者討伐に行けば良いのです。もちろん、陛下の目の前で息の根を止めますよ。」
「おぬし……なかまにそのようなむたいなことできるのかえ?」
「魔王陛下の為ならば。」
そういうと、おとこは『着いてきて下さい。』とどこかにきえおった。おそらくてんいまほうでもつかったのじゃろう。
わらわのまりょくだと、どこにおとこがいったのかわからぬから、そっきんにだきかかえられておとこのあとをおったのじゃ。
ついたさきには、おそらくいきをしていぬであろう4つのかたまりと、ひざをつくおなごのすがたがあった。
こんなにつよかったのかえ?
「陛下、その男から離れて下さい。じゃないと大切な部下の首が飛びますよ。」
うぬぅぅぅぅ!それはこまるのじゃ!こやつはわらわの"きょういくがかり"ゆえ、いなくなるとたいへんなのじゃ!
すぐさまおりてやった。わらわってばよいこじゃのぉ~。
「アルフ…あなた一体なに考えてるの!?あなたが倒すべき敵はそこの魔王でしょ!!」
おなごはゆうしゃなのじゃ。わらわとまかいをおびやかす、にっくきゆうしゃじゃ!
「俺の敵はお前だよ。愛しい俺の魔王陛下に害なすものは許さない。悪いけど、ここで死んでもらう。恨むなら、勇者に任命した王を恨むんだな。」
「くっ……!魔王!アルフに何したのよ!!」
わ、わらわはなにもしておらぬ~!
「うるさいよ?おとなしく死にな。」
「きゃっ……!」
なんらかのまじゅちゅでおなごのうでがきられる。いたそうじゃ……。しかし、おなごもゆうしゃということだけはある。すぐさまきずをなおし、ぶつぶちゅととなえはじめた。さすれば、おとこのからだが"きらきら"につつまれるが、おとこはそれをうっとおしそうにてではらいのけおった。てでじゃぞ!まじゅちゅをてではらいのけるなぞ、きいたこともない!
「だから、俺は何にも操られてないって。」
「じゃあなぜなの!?魔王に取り入って隙を見て倒すの!?そんなことしなくったって、私が今この場で殺してやるわ!」
なんじゃと!
「しょうじゃったのか!!うぬぅ……しんじたのにぃぃぃ!!!」
ゆうしゃにむける"さっき"で、こやつのいったことはほんきだったのじとしんじておったのに!たやすくだまされるとは、わらわのばか!!
じぶんがなさけにゃくて、おもわずそっきんになきついてしまった。
「あ゛?お前、何言っちゃってくれてんの?可愛い俺の陛下が信じちゃっただろ?陛下!俺が陛下を裏切るなんてありえませんから!だからそんな男に泣き付かず、俺に泣き付いて下さい!」
「てきであるおぬしになぞ、なきちゅくか!」
「陛下……」
もうかえろう。かえって人ぞくの王にへんじをせねば…。
「きゃぁぁぁ!!」
うぬ!?なにごとじゃ!?
わらわがふりかえると、ゆうしゃのうでがきりおとされておった。しかもそのうでをおとこはふみつぶし、あとかたもなくくだきおった。
「陛下に嫌われた陛下に嫌われた陛下に嫌われた!お前が余計なことを言うから!殺す殺すコロス!」
そういっておとこはくるったようにゆうしゃをなぶりはじめたのじゃ。そのさまは、おそろしいほどおそろしくて、おもわずわらわはとめにはいってしまったのじゃ。
「も、もうやめぬか!これいじょうやればゆうしゃがしぬぞ!」
「その為にやってるんですよ…陛下に信じてもらわなくちゃ…陛下を愛せるのは俺だけじゃなくちゃ…陛下には俺だけを見てもらわなくちゃ…!」
「う、うむ!わかった!おぬしをしんじる!しんじるから、そのむすめをかいほうしてやれ。おぬしがいればゆうしゃなぞもうこわくなかろう?」
むしろこのおとこのほうがこわいぞ!
「お優しい陛下…その優しさを向けられる相手が殺したいほど憎いですが、陛下の命には逆らえません。……この女と、人族の王の後始末については俺に任せてもらってもいいですか?ちゃんと"生かして"おきますので。」
「ううううむ。わかった。おぬしにまかせよう……。」
なんだかとってもちゅかれた…かえってゆをあびたいぞ。
「ああ、そうだ。」
まだなんかあるのかえ!?
「出来れば陛下には結婚式の準備をしておいてもらいたいんですが…。人族と魔族では形式も違うでしょう?俺は魔界に則ってやりますので。あぁ、陛下の花嫁衣装、楽しみだ…他のヤツには見せたくはないが。」
う、うむぅ。なんかとってもせすじがさむいのしゃが、このおとこにさからえばまかいをけされかねぬ…。それにやくそくしたしな!わらわ、やくそくはまもるこじゃ!
ちのにおいがじゅうまんするくうかんから、わらわのへやにもどる。これぐらいならわらわにもできるのじゃ。
すぐさまメイドたちをよび、ゆのじゅんびと、"あるふ"とよばれたさきほどのおことのへやをじゅんびさせたのじゃ。わらわにねがえったとなれば、にんげんかいにはいられぬじゃろうからな。けっこんのじゅんびは……うむ、あとででよかろう!
***********
「さて、どうして欲しい?"勇者様"」
俺は勇者になって"しまった"女に聞いてやった。自ら治癒魔術をかけてはいるが、散々放出したんだ。すぐに魔力は切れるだろう。
女はこちらを睨みつつも、疑問が滲み出ている視線をよこした。まぁ、この"魔王討伐"が終わったら結婚するはずだった俺が急に寝返ったのだ。当然だろう。
だが、俺はその疑問に応えてやる気はない。面倒だからだ。魔王陛下に対する想いは俺と陛下だけが知ってればいいことだし。
俺は今まで無気力に生きてきた。一を知れば十を理解し、そのためかこの世がなんとつまらないものかを早々と理解してしまった。目に映る全てのものが鬱陶しかった。親の権力に目の色を変えるもの、俺の容姿に群がるもの、俺の魔力にあやかりたいもの、全てを消し去ってしまいたかった。
この女もそうだ。親の権力を盾に、結婚を迫ってきた。ただそれが実行される前に、魔力の高さを買われ"勇者"に仕立て上げられてしまったが。あの時ほど、魔力を隠しておいて良かったと思ったことはないだろう。
そうやって、日々を無気力に、ただ消費するかのように生きてきた俺に、ある日(信じてもいない)神が一つの出逢いをくれたんだ。
それが魔王陛下との出逢いだ。
陛下は勇者に傷つけられた魔族を助けに来てた。その時に運悪く(俺にとっては運良く)勇者一味と出会い、応戦となったんだ。
まだ完全に成長しきってない魔王陛下は、部下の者たちに守られてただけだったが、そのお身体から滲み出る生命力は俺の目を釘付けにした。
あんな風に生き生きとしたものを俺は知らない。純粋かつ一途な、真っ直ぐな気力。それは恐らく魔族を助け、魔界を守る使命の元に成り立っているのだろう。
羨ましかった。
多分俺が本気を出せばこいつらなど一息で殺せる。でも、それをこの方は許しはしない。身を挺にしても魔族を守り抜くだろう。
羨ましい。俺もその比護に入りたい。いや、むしろ俺だけを入れてほしい。他の誰も、魔王陛下の懐に入れてほしくない。
彼女は俺だけのものだ。
あの方を手にいれるためならなんでもしよう。そう決心した。
だからあの場は逃がして差し上げた。まだ準備が整わなかったから。でも、もう離れ離れも終わりだ。これからは毎日一緒にいられる。そのために、こいつをさっさと片付けてしまわないとな。
あぁ、間近で見た陛下は本当に可愛らしかった。くるくると表情が変わり、舌ったらずな口調が庇護欲を誘う。もちろん、大人になった陛下のお姿も楽しみだが。
あの陛下の可愛らしいお姿が、幼女趣味変態王の目に留まってしまったから、このような大掛かりな事態になってしまったのだろう。あの男は根っからの幼女趣味だからな。自分の娘でさえその対象にしやがる。
まぁこの"魔王討伐"のおかげで俺は陛下に、愛する陛下に出逢えたんだ。少しだけいい思いをさせてやろう。
そう考えた俺は、"勇者"のもう片方の腕をもぎり、腕なしとなった"勇者"を幼女の姿に変えた。もちろん、あの幼女趣味王にこの女をプレゼントするためだ。あぁ、ついでに口も利けないようにしよう。喋られると色々面倒だしな。
色んな魔術を女にかけていれば、女は自分がこの先どうなるかがわかったようで、必死に抵抗してきた。無駄だがな。
「そんなに嫌がるなよ。目さえ瞑っておけばきっと気持ちよくしてくれるはずだぞ?お前は男を咥え込むのが大好きだもんな。こいつらとだって、何回楽しんだんだ?」
周りでただの肉塊となった"元"仲間を指せば、女の顔色は真っ青になった。
まさか、バレてないとでも思っていたんだろうか。あんなに毎晩夜な夜ないなくなってたのに?特に気にしたことはなかったが、翌朝の勝ち誇ったような笑みでこっちを見てくるこいつらには辟易していたんだ。何度この女を引き渡そうかと思ったことか。それさえも面倒でやめたけど。
まぁ魔王陛下に出会ってからはさらにどうでも良くなったが。陛下を苦しめるこいつらをいずれは殺そうと思ってたし。
と、そんなことはどーでもいい。今はこの女を"献上"して、今後一切魔界及び、魔王陛下に手出しをしないように"説得"しなければならないのだ。ちゃんと書状にしてもらい、それを手に陛下の元に参じよう。あぁ、どんな風に褒められるんだろうか。今から楽しみだ。
あの幼女趣味王の好みになった"勇者"を連れて俺は陛下に最上のプレゼントを持っていくべく、王宮に移動した。
案の定、大喜びで幼女趣味王は"元勇者"を受け取り、機嫌良く魔界に手出しをしないという誓約書を書いていった。当然だろう。物言わぬ自分好みの可愛らしい幼女がこの先いたぶり放題だからな。魔王陛下には魅力が劣るとしても、抵抗も何も出来ないから好きなときに好きなことが出来る都合のいい玩具だ。比べるまでもないだろう。
まぁもちろん、今回の陛下の心労の原因を喜ばせたままにはしておかないが。
この"元勇者"には『とある』魔術をかけておいた。こいつを抱けば抱くほど、死よりも苦しい思いをする呪いを。良いのは最初だけだ。せいぜい楽しんでおけ。その内に『どんなに快楽が昂っても放出出来ない』魔術が発動する。ククッ、どんな気分なんだろうな。欲求だけが溜まり続けるのは。
はぁ、早く陛下の麗しきお姿が見たい。さっさと戻ろう。
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わらわがゆをあびてへやでまったりしていると、おもったよりもはやくおとこがもどってきおった。うぬぅ、まだちゃをのんでおらんのに…。
「はやかったのぉ。」
「はい。愛しの魔王陛下にこれをお渡ししたくて。」
なんじゃ?
おとこからうけとったかみをよんでみると……うぬぅぅぅぅ!!
「これは"せいやくしょ"ではにゃいかっ!おぬし、ほんとにもらってきたのかえ!?」
しかもちゃんと"まじゅつ"によってまもられておるゆえ、やぶると"のろいがえし"にあうようになっておる!
「もちろんです。ちゃんと"話し合い"をしたら、もう魔界に手出しはしないと約束してくれましたよ。」
「うむぅ。よかった、これでひとあんしんじゃのう。……ところでおぬし、ゆうしゃはどうしたのかえ?」
「あぁ。お優しい陛下の命令通り、生かしておいてます。治療も施して、さる方のところで保護してもらってますのでご安心を。あとこちらの方にも話し合いをつけてますので、もう侵攻してくることはないでしょう。」
「しょうかっ!ならよいのじゃ!うむうむ、いくらにくきゆうしゃとはいえ、まだまだわかいおなごじゃ。これからはこころおだやかにくらせるとよいのぉ~。おぬしも、ごくろうであった。つかれたじゃろう?へやをよういしたゆえ、もうやすむがよい。あないさせよう。」
「お心遣い感謝します。ですが俺は疲れておりません。このまま結婚の話を致しましょう。」
ず、ずいぶんとせっかちじゃのぉ。ふぅ~、仕方あるまい。約束じゃしな。
「……わかった。じゃがさきにいっておくが、わらわとそなたは"けっこん"はできても、つがいにはなれぬぞ?」
にんげんかいのいう"けっこん"とまかいの"つがい"はにてひなるものじゃ。
まかいの"つがい"は、たましいとたましいのけいやくじゃ。それをかわせば、はなれることはできぬ。にんげんのことばでいえば、"りえん"はできないのじゃ。そして、けいやくはいっしょうがいひとりのものとしかかわせぬ。じゃから、"うわき"やら"めかけ"やらはもてぬ。まぞくはほんのうであいてをえらぶからめったにないが、もしほかのものにこころうごかされるようなことがあれば、からだがごうかにさらされるのじゃ。そしてしょうめつ。そのばあい、つがいもおなじめにあうのじゃ。つがいは"いっしんどうたい"じゃからな。
"つがい"はきほん、まぞくにしかできぬ。もしにんげんとしたいのであれば、にんげんかいでの"けっこん"というかみのうえだけでのけいやくをするか、
「わかってます。ですから、俺の身体を"魔族"に作り替えていただきたいのです。……そうすれば、魔王様と常に一緒にいられる。」
むむ?なんじゃかしゃむけが……。まぁよい。
そう、にんげんとつがうには、にんげんのからだをまぞくにつくりかえることがひつようじゃ。じゃが、かんたんにはできぬ。まおう(わらわじゃな)のしょうにんと、ほんにんのたいりょく、ただいなまりょくがひつようじゃ。そして、つくりかえのあいだはごうもんのようなくつうがともなうらしい。そうまでしても、いのちをおとすものもおる。
「よいのか?しぬかもしれんのじゃぞ?」
「構いません。このまま、陛下のお側でただ歳を取っていくことの方が辛い。俺は貴女と運命を共有したいのです。」
おとこのけついはかたいみたいじゃ。ならわらわからいうことはない。
「これ、よういをせい。みょうちょうにおこなうぞえ。」
そうそっきんのものにめいずれば、
「陛下」
「なんじゃ。」
い、いつのまにわらわのめのまえまできおった!おとがしなかったぞ!
「魔王陛下…いえ、魔王マリアーデさま、俺、アルフ・ヴァン・ロッテと生涯共に生きてくださいますか?」
お、おふぅ……。これがよにいう"ぷろぽーず"なのかえ?
かたひざをたて、わらわのてをにぎりしめ(というか、なでまわしておるぞ。こやつ)、しんしなめでみてくる。さきほどまでゆうしゃのことであたまがいっぱいであまりみておらなんだ、こやつ、おそらく"びけい"のぶるいにはいるであろう。きらきらがまぶしいのじゃ。
なんでこやつのようなおとこがわらわをえらぶかはわからぬが、
「……まかいはわらわのじゃぞ。」
これだけはいっておかぬとな!
「魔界などいりません。マリアさまさえ手に入れば。」
りゃくしょうでよぶでない!まだだれにもよばれておぬのに!
「光栄です。これからも、マリアさまの"初めて"は全部俺が与えますからね。他の奴なんかには渡しません。」
ううううるさいのじゃ!さっさとへやへいかぬか!からだのつくりかえはあしたじゃ!
「俺の部屋はマリアさまの部屋でしょう?俺が抱っこしていきますので、僭越ながら案内をお願い出来ますか?」
は!?なにゆえわらわのへやがおぬしのへやなのじゃ!わらわはひとりでちゃんとねれるのじゃ!
「夫婦が別々の部屋で寝るなんておかしいですよ?あぁ、マリアさまはあまりそういうことを知らないのですね。なら俺が教えて差し上げますよ。」
いらぬのじゃ!"きょういくがかり"はべつにいるからそやつに…
「マリアさま?そいつの死体が明日にでも転がっているのがそんなに見たいのですか?」
じゃから!きょういくがかりがいなくなってしまってはこまるともうしておるのに!
ちょ、どこへいくのじゃ!わらわのへやはわらわだけのものじゃ!おぬしなぞいれぬぞ!なぜあないもしてないのにすたすたあるいていくのじゃ!どこをさわっておるのか!ほおずりをするでない!かおをあからめるな!なんかいきがあらくなっておらぬか!?おぬし、このようにおさなきからだになにをするつもりじゃ!これ!こたえぬか!
「"まだ"何もしませんよ。魔王さまがあっという間に成長するのは知ってますからね。もう少しだけ辛抱します。でも、このままでも出来ることはありますからね?」
なにをさせるきじゃ!わらわはこのまかいのまおうじゃぞ!いちばんえらいのじゃぞ!なのに、なのにぃぃぃ!!!!
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うむぅ。あれからの、おとこ…いや、アルフはくつうをうけながらもからだのつくりかえにたえたのじゃ。すうじつかんはいたみをともなうというに、そのいたみさえもわらわといっしょにいるためじゃとかなんとか。あやつのかんがえておることはわからぬ。
そしてじゃ!ゆうしゃというけねんがなくなったためか、わらわもぐんぐんとせいちょうしておるのじゃ!まりょくもだいぶたかまり、おとなのすがたやこどものすがたへとじゆうじざいなのじゃ!もうかまなくなったしのう!しゃすがはわらわじゃ!とってもゆうとうしぇいなのじゃ!
「あぁマリアさま、今日も変わらず麗しく…いえ、昨日よりも綺麗になられましたか?あまり綺麗になりすぎて他の男を誘惑しないでください。貴女の目に映る男すべてを殺していきたくなります。」
「……アルフ、ちょっとだまっとれ。わらわはだいじなしごとをしておるのじゃ。じゃまするでない。」
「邪魔なんてそんなそんな。ただ、あまりにもマリアさまが俺を見てくれないので、この紙を燃やしてしまおうかと思っただけですよ。」
「もやすな!これはだいじなしょるいじゃ!だいたい、おぬしのきぼうどおりわらわはつねにだっこされておろう!なにがふまんなのじゃ!」
「そうですね。マリアさまの椅子になれるなんて、こんな喜ばしいことはありません。ですが、マリアさまには常に俺を見ていてもらいたいんです。駄目ですか?」
「だめにきまっておろう!わらわはこのまかいを、へいわに、とどこおりなく、みなのこころがおだやかにすごせるようにたもっていかねばならんのじゃ!おぬしばかりをみているひまはないのじゃ!」
「…………潰してしまおうかな。」
「だめというておるにぃぃぃぃぃ!!」
まいにちこんなかんじじゃ。
まぞくとなったあとも、こやつはかわらずのきらきらで、えがおでわれをとおしてくる。
あさはおなじしんだいでおき、わらわのかおをあらい、だっこしてごはんをたべさせる。
「マリアさま、あ~ん。」
「あー、ん。(モグモグ)うまいのぉ。」
「あ、マリアさまってば、口元に付いてますよ。取ってあげますね。ん。」
「な、なめるでない!ふきんがあるではないか!」
「そんな無粋なもの使いませんよ。あぁ、これは大きすぎますね。小さくしないと。」
「くちうつしはいやじゃ!やめいというのに……んん~!」
アルフのてからたべさせられるとじかんがかかるのじゃ。しかもやたらめったらなめるしくちうつししおる。じゃから、りょうりちょうには"しょくざいはちいさく!"とげんめいしておるのじゃが、あまりこうかはない。
わらわがせいむにはげんでいるあいだも、わらわをだっこしつつうしろからくちをはさむのじゃ。たまにまともなこともいうが、たいていは
「マリアさま、キスしてもいいですか?」
「マリアさま、身体を舐め回してもいいですか?」
「マリアさま、あいつがマリアさまに色目を使うので殺してもいいですか?」
「マリアさま、監禁してもいいですか?」
とはなしかけてきおる。しゅうちゅうしてるあいだはなにをきかれても"あぁ。"としかこたえんから、ここぞとばかりにじぶんのよっきゅうにそったしつもんをしてくるのじゃ。はじめはどんなにたいへんじゃったか……おもいだしとおもない。
よるはよるで、わらわをおとなのすがたにかえ、ひとばんぢゅうむさぼりつくすのじゃ。おかげでわらわ、ようえんなおとなになれそうじゃ。…ううれしくないがの。
というかじゃ。あやつ、どこまでたいりょくがありあまってるのじゃ。わらわはついていけん。"つがい"になってしまったゆえ、にんげんかいでのあいじんとやらもあてがえないし。どうすればよいのじゃ。わらわ、おとなになりとうなくなってきたぞ。まだてかげんしてるといっておるのじゃから!
「マリアさま、今日もたくさん啼いてくださいね。他の男と話した罰です。俺がどれだけ傷ついてるか、知ってもらわないと。ふふっ、早く大人になって欲しいなぁ。そしたら四六時中抱いてられるのに。」
わらわは"まおう"じゃ!そんなことできるはずなかろう!これ!はなしのとちゅうじゃ!はなさぬか!あ、そんなとこさわるでない!なめるでない!はなしを……あぁぁぁぁ!!
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わらわは"まおう"じゃ。そのなのとおり、"ま"をすべる"おう"なのじゃ。じゃが、さいきんなやまされておる。おっとであるアルフのあいがおもすぎて。アルフはまかいの、ひいてはわらわのおんじんなのじゃ。ゆうしゃからまもってくれたからのぅしじゃから、なるべくきぼうはかなえてあげたいのじゃが、ぜんぶがぜんぶ、わらわを"ひとりじめ"したいというねがいなのじゃ。どうしたものか。ゆうしゃいじょうにあたまをなやませておる。なにかいいほうほうがあったらおしえてくれ。こっそりとじゃぞ?でないと、おぬしも、わらわもアルフにひどいめにあわされるからのぅ。なやみはつきないのじゃ。
魔力は元々高いけど、使い方がわからないので最初は何も出来ないという設定。使い方を熟知すればアルフよりも魔力は上になるけど、恐らく優位には立てない。変わらずのアルフ上位のまま。だってヤンデレ怖いんだもんっ!