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道聴塗説  作者: 静梓
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ポートフォリオ

※ 個人の意見です。

 ポートフォリオというものがある。もともとは、紙ばさみあるいはファイルといったものを指す語である。また、画家や建築家が自分の作品などを綴じ込み、顧客との契約の際に自分をアピールする為に用いられていたものだ。


 自分がどのようなことに努力しているか、あるいは何を達成したかなどについての証拠となるものを、目的や目標に照らし合わせて、系統的また継続的に収集したもののことをポートフォリオと呼ぶ。簡単にいえば自己の成長の記録である。単なる記録と異なる点は、そこに取捨選択という過程が含まれることである。


 身体的な成長であれば視覚化することは容易であるが、ものの見方や考え方といった精神的な成長というものを視覚化することは容易ではない。そもそも、成長というものは既知と未知とのかかわりの中から生まれるものであるのだから、自らがもっている考えと新しい経験が区別できていなければ、その証拠を抽出することは難しいだろう。ポートフォリオとはその助けになるものである。


 日記をつけているものであればわかりやすい。日記を一つの活動記録の集合として扱い、その中からポートフォリオに収める部分を取捨選択する過程のなかで、自己の活動に対する評価を加えることができる。また、小説、エッセイ、あるいは読書感想文のような作品やそれらにたいする自己評価の記録をポートフォリオに収めていくことによって、自らの活動を振り返り、これからの見通しを立てていくこともできるであろう。


 さらにいえば、ポートフォリオを共有し、そこに相互評価を加えていくことで、多角的な評価を加えることもできる。もちろん、ただ貶し合ったり褒め合ったりするだけでは正当な評価とは言いがたい面もあるため、ポートフォリオの目的や目標、評価規準などについても共有しすり合わせていく必要がある。


 こうしたポートフォリオを用いることで自らの思考や判断などについて、考えたり判断したりといった反省を行うことができるのである。


 ポートフォリオがある程度まとまった段階で、検討会を行うことも重要である。上述のように、ポートフォリオは顧客との契約の際に自分をアピールする為のものであった。言ってしまえば、ポートフォリオを用いて自己PRを行うのである。もう少し詳しく言えば、ポートフォリオの編集意図とその設定動機、内容物の良し悪しとその評価理由、ポートフォリオ全体に対する評価などを行う。そうした活動は課題発見や問題解決の一助となるであろう。


 ポートフォリオとは自ら節目をつける作業である。目に見えづらい精神的な成長であるからこそ、節目をつけ、自らの成長を確認する助けとすることも一つの手ではないだろうか。

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