ミソ
前項で各地域ごとにチーズが発展していったという話をしたが、日本でも要点のことを「ミソ」というように、各家庭で趣向を凝らした味噌を作っていた。現代においてはスーパーマーケットで簡単に味噌が手に入り、また、家庭当たりの人数が減ったり夫婦共働きが増えたりしたことで家庭で味噌を作ることはめっきり減ってしまった。
味噌というのは思うより簡単にできるものである。
準備するものは、大豆と米麹を一対一、塩をその半分弱、あとは水があればできる。麹と大豆の割合は味噌の味に関わるものである。米麹が多いと甘く、大豆が多いと香りと塩味の強いものになる。
まず、大豆をよく洗う。汚れが浮かなくなったら、大豆を一晩吸水させる。びっくりするくらい嵩が増えるため、余裕のある容器に余裕をもって水を入れる。
次に大豆を煮る。豆類に共通することだが、びっくりするくらい灰汁が出るので取り除き、四から五時間ほど指でつぶせるくらいの柔らかさになるまで煮る。
豆を煮ている間に米麹と塩を混ぜておく。米麹は蒸した米に麹菌を打って温度管理をしたり、水蒸気を飛ばしたりすれば三日ほどで作れる。麹菌から選別する場合は粥か蒸した米に草木灰を掛けながら黴がつくまで一週間ほど置いて選別、そこからさらにコロニーごとに培養していって選別していくことになる。市販の米麹を用いることを強くお勧めする。(注意)
煮あがった大豆をザルにあげ、煮汁を別容器にとっておく。大豆を挽き、ひと肌程度まで冷めたら塩と混ぜた米麹を混ぜ、煮汁を加えてハンバーグのタネくらいの柔らかさにする。そこにヨーグルト同様、古い発酵物を加える。
できあがったタネをこぶし大の大きさに丸め、ガス抜きのために味噌樽に勢いよく投げ込む。全部投げ入れたら、表面を均し、その上から軽く塩を打つ。表面部分には麹菌以外の菌が繁殖しやすいため、塩を打つのはその対策である。
タネが直接空気に触れないように、紙や晒木綿、あるいはビニル袋やラップなどで覆い、中蓋を敷き、用いた大豆の一・五倍程度の重石で押さえ、外蓋をする。
一から二か月後に一度だけ味噌を下から撹拌し、塩と酒を打って再び蓋と重石をして熟成させていく。熟成期間は酒と同じく一月ごろに仕込んだとして、半年から一年程度。その年の気候や仕込む環境にもよる。
ここで挙げた米味噌の他にも、米の代わりに麦を用いる麦みそや、大豆に直接麹付けをする豆味噌などが存在する。
2013/06/24 12:30
>酒と同じく十月
→ 酒と同じく一月 に訂正。
(注意)日本で醸造に用いる麹は長年の選別や突然変異などで無毒化されていますが、あくまでも、日本特有の品種です。日本以外のコウジカビの仲間は、塩基性に強いなどの共通の特徴は持ちますが有毒です。日本であっても有毒のコウジカビの仲間はいます。市販の米麹以外を用いるのは大変危険ですので、お近くの専門家などの指導が受けられない場合は自己責任でも行わないでください。




